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JIS X 4051(日本語文書の組版方法)改正素案への私のコメント
2002年10月31日
前 田 年 昭
ライン・ラボ代表
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財団法人日本規格協会情報技術標準化研究センター
電子文書処理システム調査研究委員会 御中
| 前田年昭/組版業(有限会社ライン・ラボ)
〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-73-101
電話03-5229-8044・FAX03-5229-8047
メールアドレス tmaeda@linelabo.com |
0)意見の趣旨
1)出版における現状はどうか
2)どういう問題がでているか
3)標準化の立場と観点はどうあるべきか
4)結論としての提案
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0) |
意見の趣旨
行末ぶら下げ処理を位置付けてほしい。
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1) |
出版における現状はどうか
文庫本ではぶら下げあり組版が大半です。朝日,岩波,角川,幻冬舎,小学館,新潮,ちくま,中公,徳間,ハヤカワ,文春,が基本的に行末ぶら下げ処理です(少数例外あり)。これに対して,講談社はぶら下げなし,該当する行末句点読点は追い出しており,行末は半角/全角です。日経ビジネスは行末半角固定です。
また,組版の技術と研究の歴史のなかでは,府川充男さん[1996]は,ご自身の著書をご自身で組まれるにあたって,1冊まるごとぶら下げ処理なさっています。逆井克己さん[1999 pp.88-90]は,行末処理のさまざまなケースの検討を通じて【行末句読点の位置を揃える】ことを慎重に提案し、そのうえで【行中の調整を回避できることが多く、その結果読みやすい組版につながるという点】を【ぶら下げの効用】と指摘なさっています。
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2) |
どういう問題がでているか
野村保惠さん[2000, p.86]は,【コンピュータ文字組版では、ぶらさげ禁止の指定があっても、ぶら下げた校正が出てくることがあります。とくにDTP組版では一冊の本の中で混じったり、行末が揃わないこともあります。また、括弧類の受けまでがぶら下がることがあるので注意しなければなりません。】と指摘しておられます。
近年,組版を教えるときには「ぶら下げてよいのは句点と読点で,括弧類はぶら下げてはいけない」などということを強調しなければいけない状況です。
組版アプリケーション「UrbanPRESS 3.0」はぶら下げを禁じており,疑問におもった筆者が質問したところ,相良直実さん(ニッシャインターシステムズ)から「JIS X 4051 に載ってないから」との返答があり,重ねて「載ってないということと禁止とはちがうのではないか」と質問すると「処理系定義にも載ってないのは禁止という解釈である」との返答だった。ユーザーで組織されているメーリングリストではトリッキーな裏技が交換されています。
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3) |
標準化の立場と観点はどうあるべきか
家辺勝文さん[2002]は,【約物まわりのファインチューニングはタイピングとは別の世界の問題】であった手書きやタイプライターの時代とちがって,パソコン上のワープロソフトによる原稿作成が主流となってきた現在は【ところが、パソコン上のワープロソフトによる原稿作成が主流となってきた現状では、書き手自身にまで仕上がりの整形への関与が多かれ少なかれ期待されるようになり、かつては専門的な工程での技能であったものが、共有されるべき知識として、新たな技術的リテラシーの構成要素になりつつある趣さえある。しかし、いま問題にしている仏文組版における約物まわりの空きの調整というものも、活版以来の道具立てに依存して蓄積されてきた技術であり、ただちにコンピュータ上の道具立てに移転されているわけではない。】と指摘されたうえで,ルール化にあたっての解決策としては【一つの解決策は、新しい道具立てを既定の技術条件として、それによる文章の組み方のモデルを創り出していこうとするものであろう。〔…〕/もう一つの解決策は、現在おそらく仏文の電子文書作成でかなり一般的に行われている方法であり、パソコンソフト上で使える道具立てによって、従来型の約物まわりの組版方法をできるだけ模倣しようとするものだろう。〔…〕】の二つだと提起なさっています。
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4) |
結論としての提案
標準化という立場からぶら下げ処理を位置づけなくてよいのかどうか,活版以降電算写植までは全角ないし半角固定だった行末の約物がDTPになって中間値の浮動を許容して版面の境界がゆらいでいることをどうみるか,ということです。
家辺さんがおっしゃるとおり,パソコンという道具が急速に普及し,書き手にも組むことへの知識が求められてきているいま,旧来の伝統をなぞるよう道具に求めていこうとする行きかた(電算写植はそうでした)だけでなく,新しい道具立てを既定の技術条件として,それによる組版モデルをつくり出していこうとする行きかたもありうるとは思います。ならばこそそのことを明記すべきではないかと私は考え,コメントを提出したしだいです。
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引用文献 |
逆井克己 1999 『基本日本語文字組版』日本印刷新聞社
野村保惠 2000 『本づくりの常識・非常識』印刷学会出版部
府川充男 1996 『組版原論 タイポグラフィと活字・写植・DTP』太田出版
家辺勝文 2000 「句読点の前後 フランス語の場合」〔連載「欧文組版を考える」第2回〕
http://www.ne.jp/asahi/yabe/masafumi
/a_batons_rompus/a020604.html
以 上
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