漢字は果たしてこれで十分なのか
人類の歴史も21世紀に突入し,中国人の漢字へのニーズもまるで時間の経過とともに増大するかのごとく,また新しい国家規格GB18030-2000が強制的に導入された。GB2312からGBKへ,GBKからGB18030へと,規格収録文字数も6,763字から27,000字までに増えた今,誰もが問いかけたくなるのは,漢字は果してこれで十分なのか?という問題である。
『説文解字』(紀元100年)の収録文字数は9,353字,『声類』(227−239年)は11,520字,『玉篇』(543年)22,726字,『唐韵』(751年)26,194字,『類篇』(1066年)31,319字,『字彙』(1615年)33,179字,『康煕字典』(1716年)47,035字,『中華大字典』(1915年)48,000字,『中文大字典』(1968年)49,905字,『漢語大字典』(1986年)は56,000字を収録している。
漢字“一族”は絶えず増え続け,『説文解字』から『中文大字典』までの約2000年間で,漢字の数量は5倍以上に増加しているのだが,私達が常用している6,000の漢字はその“一族”のほんの一部にすぎず,実際のトラブルは社会生活において頻繁に発生しており,ひいては政府政策の実施にまで影響が出る場合もある。
銀行個人預金の口座名義人本名制が実施(*)されてから二週間余りで,事前に予測できなかった問題が発生した。ある名義人の姓名は珍しい文字のため,コンピューターのフォント中にはなく,証書にもプリントアウトできず,“名なし口座”となってしまったのである。かつて,銀行では往々にして同音異字で代用し,証書上に「文字代用」と記載しておき,身分証明書は本名で,という具合であった。しかし,現在の本名制が施行されたことにより,規定を守ると預金業務が処理できなくなるのである。
〔*訳注〕この文章は2001年1月15日にアップされたので,年初からと思われるが詳細不明
同様の現象は戸籍の管理や測量・古書・辞書整理といった分野でも発生している。
最近では,大学合格者名簿上に“黒三角(▲)”というトラブルが起こっている。対外経済貿易大学の例では,2000年の合格者200名のうち,結局11名の名前がコンピューター表示できなかった。北京郵電大学や北京外国語大学の合格者名簿では,“▲”で表示された学生が10名以上出た。新聞紙上ではこの黒三角について“コンピューター表示不可能な文字である”と注釈をつけている。ある所では,このような珍しい文字に出くわした場合は,戸籍管理課が改名を要求し,再度戸籍登録させることもあると言う。測量業界では,珍しい文字へのニーズは縮尺が拡大するのに比例して増加する一方である。古書籍・辞書・中国医学・文物整理といった分野では,さらに大量の見知らぬ文字だらけの“珍字の海”を目の当たりにすることになる。
こういった現象が発生する根本的原因は,コンピューター内の漢字量が足りないということである。コンピューターの多くはGB2312規格による漢字フォントを標準搭載しているが,この旧GB2312-1980『信息交換用漢字編碼字符集基本集(情報変換用漢字コード文字記号基本集)』の収録文字数は常用漢字6763字のみで,早くから不満の声が挙がっており,ある意味から言うと,コンピューター上でも“文盲をなくす”必要があると言えよう。
こういった現象は関連業界に早めの対応を迫ることとなった。もし現行のGB2312を基準としたまま,各業界が個々に必要な漢字を制定する格好で規格を拡大していった場合,各業界内部でのやりとりの問題は解決できたとしても,異なる業界間及び国際交流の場では必然的にコードの混乱といった事態が起きるであろう。つまり,GB18030-2000規格の登場は,社会のニーズに推し出された結果と言ってよい。新規格中に収録された漢字は,数量が増加しただけではなく,その入力方法にも変革をもたらした。
GB18030-2000規格の導入は,郵政・戸籍行政・金融・地理等の情報システムにおいて急を要する人名・地名用文字問題を徹底的に解決するだけではなく,漢字研究・古書整理の領域にも統一された情報プラットホームの基礎を提供し,さらに,新規格と現行の絶対多数のOS及び中国語プラットホーム間のコンピューター内碼において優れた互換性を持ち,現行のアプリケーションシステムもカバーでき,中国語情報のインターネット上での転送と変換もトラブルなく行えるという訳である。
Jump to [トップページに戻る]