|
|
「本がでたら、盛大な出版記念パーティをやろうよ」
「玄光社のボーナスはいつ出るの? 6月10日か。ちょうどこの仕事がおわる時期だから、出版記念パーティとはいかないまでも、バーッと派手な打ち上げができるね」
「打ち上げは当然やりますけど、芸者をあげてパーッというわけにはいきませんよ。ボーナスを全部使えるわけじゃあないんだから…」
「でも組版のことをしっかりやるなら、5月末の発売は無理なんじゃないか? 半年くらいかかるかもしれないよ。終わって夏休みってとこかな?」
「いやぁ、こちらにも出版計画ってものがありまして、半年先というわけにもいかないんですよ」
以上は今年2月、デジクリ編集長・柴田さんに紹介していただいた、鈴木一誌さんや、前田年昭さん、向井裕一さんとの組版のページに関する打ち合わせの時に出た話の一部です。鈴木さんといえば、ご承知の方も多いと思いますが、あの『ページネーションマニュアル』をまとめた人です。
この時の鈴木さん(だったと思う)の進行の読みは正しかった。不勉強なわたしは、『クリエイターのための印刷ガイドブック』の次号で組版をメインの柱にしようと思ってはいても、組版の奥の深さが分かってはいなかったのです。
わたしが今の会社に入った頃は、まだ活字が元気でした。出張校正の合間などに、組版現場に入り込んでは、文選や植字の作業をよく見ていました。写植では、文字を詰められることと変形をかけられることが大きな驚きでした。
そしてDTP …。実際に自分で文字を組んだことがあるわけではないから、組版を行なうことのむずかしさは知りません。時間がとれる時は“日本語の文字と組版を考える会”のセミナーを何度か聴きにいったりして、自分なりに勉強もしましたが、悲しいかな、実際に組版を行なう人との知識を吸収しようとする意欲の差、あるいは経験の有無による差なのでしょうか、まだまだ組版のことはわからない。
しかし、わたしにとっては、それでいいのだろう、とも思います。写植の時は、書体・級数・組み方向・字送り・行送りと1行の字詰めを指定すれば、大抵はオペレーターがうまく組んでくれました。このように、実際に組版を行なう人がしっかりしていれば、安心して仕事を任せることができるのです。
DTP でデザイナーに文字組みまで依頼するのであれば、組版の知識を持った人にお願いすればよいのではないか。ただし、当たり前のことかもしれないが、変な組み方を変と思う目だけは養っておきたいと考えています。
『クリエイターのための印刷ガイドブック』で組版を取り上げることにしたのは、こういう理由もあるのです。他のページはすでに校了直前、という時期まで粘っただけあって、組版のページは見るからにボリュームたっぷりに仕上がりました。普通に組んだら新書判1冊分はあろうかというほどの濃い内容です。
最初の打ち合わせの時から約半年をかけて、7月29日の発売。あまり派手にはできないけれど、打ち上げは本当に夏休みあけになりそうです。
『明解 クリエイターのための印刷ガイドブック DTP実践編』
【B5判】
【本体定価2,100円】
【主な内容】
■Part1=明解 日本語文字組版=鈴木一誌/前田年昭 組版=向井裕一
●明解日本語組版チャートの読みかた
●A.組版の実践
明解日本語文字組版ルール集/組版は行によって成立する/行組版とは改行位置の発見と実行/字送り・字間の三つの制御法/メカニックな改行と意味による改行/行頭・行末・分離禁則/行頭・行中・行末の関係/4通りの行末の揃え方/ぶら下げは行末の並び線を揃える技術/4通りの組版ルール/縦組みと横組みの違い/追い出しと追い込みのふたつの調整法/仮名詰めと食い込み詰めの調整/限定調整と広域調整を見きわめる
●B.組版の計画・フォーマット
フォーマットを考える単位/フォーマットを作る/書体をどう選ぶか/行間は二分からスタートする/誌面の大きさから行数を割り出す/段組みとグリッド/余白の配置/行以外のさまざまな切断単位/ふたつの視覚単位/ページネーション
●C.データの交通・入稿と出校
台割りとレビューシート/印刷物制作のワークフロー/原稿受け渡し・入稿・色校正・印刷立ち会いでのチェック項目
●流れの演出・ブックデザイン
「切断」と連続性
●コラム
■Part2=DTPのための画像処理術=伊藤哲/尾崎公治/佐藤正幸/早川廣行
●原稿のデジタル化と画像データ
原稿のスキャニングと解像度/画像のトリミングと切り抜き
●モノクロ原稿を元にした処理
階調を再現するポイント/きれいに見せるための各種補正/明部・暗部の階調を重視した補正/新聞印刷に最適な原稿を作る/ダブルトーンで階調豊かに表現/モノクロ4色印刷で深みを出す
【カラー原稿を元にした処理】
カラー原稿の2色製版/部分的に特色を使った2色刷り/原稿の明るさを補正する/フラットな画像をくっきり見せる/色かぶりを起こした写真の補正/ハードな表現を行なうための補正/ソフトな表現を行なうための補正/カラー原稿をモノクロで表現する
●画像データのファイル形式
■Part3=データ交換とネットワークの構築=山本英司
コンピュータで扱うデータ/デジタルデータのコンバート/デジタルデータの移動/ネットワークの利用/異機種混在ネットワーク/インターネットの利用
■Part4=「Publisher」による手軽なDTP=岡田洋一
「Publisher 」の機能と特徴/制作ケーススタディ:招待状を作る/パンフレットの作成/完成データのハイエンド出力
・超という字がいくつもつくものすごい本が現われた。《明解日本語組版》が、B5判76ページにわたってギッシリ! 組版もじつに美しい。まさに奇蹟の組版読本である。キャプション級の大きさの文字で組まれたコラムも面白い。この本に書かれたルールを頭にいれた編集者がワークフローを組めば、理想的な仕事ができるだろう(夢のような話だが)。編集者、デザイナー、DTP オペレーター必読! 印刷営業も必読! (裏話)DTP のツボ、校正がズタズタで関係者全員がキレまくったとか。組版の向井さんよく耐えたなあ。(柴田忠男)
|