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読書録 総集編 vol.9 ver.050521

特集:強制連行の朝鮮人遺骨



北朝鮮の金日成・金正日政権による日本人拉致に対する「尋常でない」日本ナショナリズムの沸騰を機に、葬られつづけてきた“まつろわぬ民”の歴史への見直しが再度、はじまっています。このほど見つかった札幌の朝鮮人遺骨合葬問題もそのひとつです。この問題については、いまのところ『北海道新聞』以外には「共同通信」『河北新報』による記事などがあり、また、ウェブ上では「浄土真宗本願寺派札幌別院朝鮮人強制連行者遺骨問題」があります。また『朝鮮新報』の2003年1-7月連載「動き出す朝鮮人強制連行・強制労働問題」(全20回)、「笹の墓標ネットワークス」は必読です。ここでは「読書録」に抜粋紹介したものを再掲したほかウェブ上の記事を再編集しました〔昇順〕。なお、『北海道新聞』記事は2週間が経過するとリンク切れになるようですが、初出のままにしてあります。(敬称略)

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  • 毎日新聞』2005年5月21日 21:15
    表題「民間遺骨:朝鮮人徴用者の調査で、25日に日韓初協議」

    URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/america/news/20050522k0000m030074000c.html

    【 第二次世界大戦中に日本企業に徴用された後に死亡した朝鮮半島出身者の遺骨返還を進めるため、初の日韓審議官級協議が25日に東京で開かれることが決まった。日本政府は昨秋から朝鮮人徴用者の遺骨の実態調査に乗り出し、100柱以上が全国各地の寺院に安置されていることがすでに判明している。しかし、調査を通じて徴用者の悲惨な労働実態が明らかになり、韓国内で対日補償要求が強まることも予想されるため、政府内では「パンドラの箱を開けてしまうのでは」と警戒する声も出ている。
     朝鮮半島出身の民間徴用者については、90〜92年の旧労働省調査で10万8000人分の名簿の存在が判明している。しかし、日本政府は徴用者について「国と直接雇用関係になかった」として遺骨調査を避けてきた。
     ただ、05年が第2次日韓協約の締結から100周年を迎えることから、政府は歴史問題に取り組む姿勢を示すため、昨年9月から108社の企業を対象にアンケートを開始した。昨年12月の日韓首脳会談では盧武鉉(ノムヒョン)大統領が民間徴用者の遺骨収集・返還への協力を要請。今年4月の日韓外相会談で町村信孝外相は夏までに調査を完了させる方針を潘基文(バンギムン)外交通商相に伝えた。
     5月初旬の段階で調査を依頼した企業のうち約3分の1から回答が得られ、2社の回答で100柱以上の遺骨が寺院などに安置されていることが判明した。政府は今後、全国の寺院や自治体を通じて旧炭鉱など朝鮮半島出身者が働いていた現場についても実態調査を要請する方針だ。
     25日の協議会には外務省、厚生労働省、内閣官房などの担当者が出席。韓国側は、政府や民間団体などから構成され、遺骨返還事業を所管する「日帝強占下強制動員被害真相糾明委員会」の幹部らが参加する。現在の北朝鮮出身者の遺骨も多く含まれているとみられるが、多くの遺骨が合葬され身元判明は不可能なケースが大半とみられる。
     調査が進めば、朝鮮人徴用者に対する過酷な労働を強いた現実が次々に明らかになる可能性が高いため、政府筋は「植民地支配に伴う補償のやり直しを求める運動が高まる可能性がある」と警戒している。【高山祐】】


  • 朝日新聞』2005年5月20日 07:13
    表題「遺骨調査、全国の寺院に要請 徴用朝鮮人、政府が方針」

    URL:http://www.asahi.com/national/update/0520/TKY200505190359.html

    【 第2次世界大戦中に日本企業に徴用・雇用されて死亡した朝鮮半島出身者の遺骨の所在を調べるため、政府は遺骨が仮安置されている可能性がある全国の寺院に協力を要請する方針を固めた。戦時中の埋葬や火葬に関する資料を保存している自治体にも協力を求める。日韓両政府は25日に東京で審議官級協議を開くことで合意、日本側はこの場で寺院や自治体に協力を求める方針を伝える。
     政府は徴用した企業約100社に対する調査に着手しているが、さらに寺院や自治体の協力を得て実態を解明し、韓国への遺骨返還につなげたい考えだ。審議官級協議では、日本側が南太平洋など海外で行っている旧日本兵の遺骨収集事業で、今後は朝鮮半島出身者も対象に含めるよう検討することも伝える方針だ。
     寺院などに協力を要請するのは、(1)徴用企業に対する実態調査で遺骨は寺院に仮安置されているとの報告があり、報告内容を寺院側に確かめる必要がある(2)徴用企業には倒産などでなくなっているものも多く、補完のため寺院や自治体からも情報を集める必要がある――との理由からだ。具体的な要請内容を外務省や総務省、文化庁など関係省庁で協議し、各宗派の本山を経由するなどして協力を求める方向だ。
     朝鮮人徴用をめぐり、日本政府は90年から92年にかけ、終戦直後の46年に旧厚生省の指示で都道府県が行っていた調査などをもとに、計10万8000人分の徴用者名簿が存在することを初めて明らかにし、そのコピーを韓国政府に引き渡した。
     これまで政府は徴用期間中に炭鉱事故などで何人が死亡したかや、遺骨がどこにあるのかは「民間徴用者は国と直接の雇用関係になかった」ことなどを理由に調べていなかった。日韓関係改善のため、昨年9月から108社を対象にした調査を開始。5月上旬までに約3分の1が回答し、2社から100柱余りの遺骨が寺院に預けられているという報告があった。
     それでも、これらは徴用期間中に亡くなった人の一部とみられる。徴用者は少なくとも70万人前後いると言われており、研究者や弁護士、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)関係者らによる「朝鮮人強制連行真相調査団」は42万8千人分の名簿を入手、公表している。同調査団によると、徴用期間中の死者は2万3000人にのぼるという。
     調査団関係者は、名簿が判明していない民間徴用者をあわせ、少なくとも全国で数万人の朝鮮人が死亡した、との見方を示す。このうち一部が徴用企業の関係者らによって周辺の寺院に預けられたとみられている。
     自ら実態調査に乗り出す寺院もある。札幌市の本願寺札幌別院は、99年から院内にある朝鮮半島出身者とみられる「無縁仏」の調査を開始。03年11月にまとめた「遺骨問題調査報告書」によると、42年ごろから終戦直後にかけて当時の徴用企業計11社から「一時保管」の名目で朝鮮人犠牲者の遺骨が預けられ、計101柱分の遺骨の存在が判明した。
     見つかった遺骨は97年までに企業側の意向で2度にわたって合葬されており、だれのものか判別が難しい状態だった。別院は調査の過程で札幌医科大にDNA鑑定を依頼したが、101人のうち成人数体分しか確認できなかった。
     別院の山内教嶺・輪番は朝日新聞の取材に対し、「11社のうち1社の経営者が当時、うちの門徒総代だった因縁から、『とりあえず遺骨を別院に預けよう』となったようだ。ただ、戦後60年近くも身元捜しをしなかった人道的な責任は否定できない。今後はできる限り遺族を捜したい」と話している。】


  • 東亜日報』2005年5月16日 23:19
    表題「日本政府の「徴用朝鮮人遺骨調査」構想…実施は一部に限定か」

    URL:http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2005051763358

    【日本政府が、第2次世界大戦の時に強制徴用されて死亡した朝鮮人労働者の遺骨に関する実態調査を実施する考えを明らかにしたが、対象企業が実際に朝鮮人を雇った企業のうち極めて一部に過ぎず、形式的な調査にとどまる可能性が高いと、朝鮮人強制連行真相調査団が指摘した。
    1972年から強制徴用労働者の遺骨返還運動を行ってきた真相調査団は、「独自に把握している強制徴用被害者は100万人以上であり、彼らを雇用した企業も4000社を上回る」として、強制徴用被害者の遺骨の全面的な調査を求めてきた。
    真相調査団は16日、東京で記者会見を開き、日本政府が保管中の朝鮮人徴用者名簿から6万7609人の勤務場所などを分析した結果、三井三池炭鉱など406企業、502の事業所で強制労働させられたことが分かった、と明らかにした。
    洪祥進(ホン・サンジン)真相調査団事務局長は、「日本政府が公式的に明らかにした徴用者は66万7684人だが、学界では100万人が超えるというのが通説だ」とし、「このうち、約6万7000人を雇った企業だけでも400社を上回るが、わずか100ヵ所だけを調査するということは、日本政府がこの問題を適当に処理して終わらせようとするものだ」と主張した。
    読売新聞は、「小泉純一郎首相が、6月末に予定された韓日首脳会談で、このような考えを表明する予定だ」とし、これは韓国内の反日感情を静める狙いもあると伝えた。】


  • 中央日報』2005年5月16日 20:43:14
    表題「日本政府、強制徴用も縮小・歪曲か」

    URL:http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=63579&servcode=200§code=200

    【 日本政府が進めている朝鮮人徴用者遺骨調査が、極めて一部の企業を対象に行われており、正確な実態解明にはほど遠い縮小調査だという疑惑が提起された。朝鮮人強制連行真相調査団は16日、記者会見を行い、「朝鮮人徴用者が働いていた企業は、日本政府の資料から確認されたものだけでも400カ所以上にのぼるが、日本政府の調査は100社余にすぎない」と明らかにした。また「日本政府が形式的な調査を行って一部の遺骨だけを返還し、強制徴用問題を早期に片付けてしまおうという意図があるのはでないか疑わしい」と指摘した。調査団は、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)系の同胞と日本人学者・弁護士などが1972年に組織し、およそ30年間にわたり調査活動を行ってきた。
     ◇広範囲にわたる強制連行=植民地時代の朝鮮人徴用者の数は少なくとも60万人、多ければ100万人以上と推定されている。日本厚生労働省の集計では、1939〜45年に66万7684人の朝鮮人が日本企業に徴用されたという。うち、およそ1割にあたる6万7609人の名簿が、91年、日本政府の実態調査で確認された。韓国政府もこの名簿を譲り受けた。真相調査団がこの名簿を分析した結果、朝鮮人徴用者は三菱鉱業、麻生鉱業など計406社の502事業場に投入されたという事実を確認した。徴用者1000人以上を雇用した企業だけでも、三井炭鉱(1万989人)など30社にのぼることが分かった。調査団のホン・サンジン事務局長は「算術的には4000社、作業場が重複するケースを勘案しても1000社以上で働いたと推算される」と語った。
     ◇放置された遺骨=真相調査団は60万〜100万人の徴用者のうち、数万人は日本で死亡し、うち数千人の遺体は縁故者が確認されず、日本各地に放置されていると見ている。日本政府は、強制連行者のうち軍人・軍属として働いて死亡し、遺族が確認できない1136人の遺体を東京の裕天寺に保管中だ。しかし民間企業で働いて死亡した人については「政府が関与する事項ではない」として放置してきた。このため遺骨に関する正確な資料はどこにもない。こうした中、昨年の韓日首脳会談で、日本が縁故者が分からない徴用者遺体の実態を調査し、韓国に返還することに合意した.これを受け、外務省は今年初めから企業100社余を対象に調査に着手した。2社が遺体を付近の寺院に保管している事実が確認され、韓国への返還問題を協議中だ。】


  • 公明新聞』2005年5月8日
    表題「韓国の独立記念館を見学 望郷の丘で献花も 二度と過ち犯さない/自公訪韓団【写真】」

    URL:http://www.komei.or.jp/news/daily/2005/0508_03.html?kw=%B0%E4%B9%FC

    【 自民・武部勤、公明・冬柴鉄三の与党幹事長訪韓団一行は7日午後、天安(チョンアン)市を訪れ、戦時中に強制連行された犠牲者など海外で死亡した韓国人の遺骨が埋葬されている「望郷の丘」で献花し、平和への誓いを新たにした。また、日本の植民地支配時代の過酷な実態などを展示した韓国の「独立記念館」を視察した。公明党からは赤羽一嘉副幹事長が同行した。
     望郷の丘には、朝鮮人遺骨返還事業により、日本各地から返還された遺骨も埋葬されている。北海道内の寺院から集めた朝鮮人遺骨254柱の返還に尽力してきた武部幹事長は「28年振りに訪れ感無量。安らかに眠ってほしい」と述べた。
     一方、独立記念館で一行は、展示物の説明を受けながら韓国の国難克服の歴史を見て回った。感想を求められた武部幹事長は「植民地支配という非常に間違った行いについて私たちは二度と過ちを犯してはならない」と強調。冬柴幹事長も「厳粛にお詫びしなければならない。反省が言葉だけであってはならない」として不戦と平和の決意を語った。
     一行はこれに先立ち、同日午前、ソウル市内の日本人墓地を訪れ、在韓日本人物故者の慰霊碑前で献花した。】


  • 北海道新聞』2002年11月22日 08:00
    表題「強制連行の朝鮮人遺骨 100人分が札幌の寺に 遺族に返還検討【写真】」

    URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20021122&j=0022&k=200211227425

    【 戦前、戦中に強制連行された朝鮮人とみられる多数の遺骨が、西本願寺札幌別院(札幌市中央区)に保管されていることが二十一日、分かった。朝鮮人名や死亡月日などが書かれた百二人分の名簿も見つかり、同院は名簿に掲載された人たちの遺骨とみている。遺骨は保管の過程で一緒にする「合葬(がっそう)」にされ、一人ずつの識別はできない。同院は近く、遺族への返還も含めて対応策を政府などと協議する。
     強制連行を研究している専門家らによると、朝鮮人の遺骨を日本の寺院に納めることは当時あったが、これほど多くの遺骨が戦後見つかったケースはない。
     見つかった遺骨は、三つのスチール製箱(縦八十センチ、横六十センチ、高さ四十センチ)に詰めて納骨壇に納められていたほか、同院内の「合葬場」にあった。合葬場の骨は発見後、三つのつぼに戻された。
     名簿は「遺骨遺留品整理簿 昭和四十四年七月十一日」と表紙に記され、朝鮮人名と、それぞれに対応する死亡月日、本籍、徴用先の日本企業名などが書き込んである。日本人名も含まれている。この名簿は、朝鮮人労働者の大口の徴用先だった地崎工業(本社・札幌市)から一九九七年、西本願寺別院に提出されたという。
     同院の関係者によると、九九年暮れから内部調査を開始。調査に当たった「遺骨問題にかかる調査委員会」は今年初めまでかけ、同院に過去に勤務していた職員や僧侶らから事情を聴いていた。
     調査によると、遺骨はかつて一人分ずつ木箱に納められていた。地崎工業で働いた記録が名簿にある二十一人分は九七年三月、同社社員と西本願寺別院僧侶が協議して、合葬場に移された。残りの遺骨は、八四年に納骨堂が増築された際、合葬されてスチール箱に納められたとみられる。

    <写真:合葬され、身元の判別はつかない状態になっている強制連行された朝鮮人の遺骨>】


  • 北海道新聞』2002年11月22日 11:30
    表題「「合葬」で身元特定不能 事実解明なお遠く 札幌・西本願寺に朝鮮人遺骨」

    URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20021122&j=0022&k=200211227538

    【 くすんだ白色の、物言わぬ骨の破片――。西本願寺札幌別院(札幌市中央区)で見つかった強制連行の朝鮮人らとみられる遺骨は、「合葬」によって個人を特定できない状態だった。寺側の内部調査で遺骨の存在は分かったが、骨の「主」たちはどこから、どのようにやって来たのか。骨はなぜ今、ここにあるのか。「事実」を解き明かす道は、あまりに遠い。
     「私は別院に勤務していた当時、朝鮮人の遺骨を整理した記憶がある。朽ちて字もみえない木箱に入れられていた」。西本願寺別院が一九九九年から始めた内部調査で、別院に長く勤務していた僧侶は、そう答えた。彼らの証言をつなぎ合わせた結果、納骨堂の中に忘れられていた遺骨があることが判明、やっと日の目を見たのだった。
     おびただしい遺骨を前に、別院の幹部は「遺族への返還しかない」という。しかし、遺骨はスチール製箱や、つぼに一緒に詰められている。遺族を突き止めても、どうやって分けて渡すことが可能かなど、詰めなければならないことはあまりに多い。
     合葬のいきさつも判然としない。合葬は、遺族の了解のもとに行う「最終的な安置方法」とされる。それなのに九七年、朝鮮人の大口の雇用主だった地崎工業(本社・札幌)の社員と別院幹部が、二十一人分とみられる遺骨を合葬してしまった。この別院幹部は、責任者である「輪番」の僧侶の許可も得ていなかった。内部調査に当たった僧侶たちは、この行為を「独断的処理」と報告書に書き込んだ。
     西本願寺別院は今月二十六日、道内にいる別院の宗派僧侶たちを集めて、遺骨の扱いについて今後の対応を決めるつもりだ。
     「政府との協議も、どこを窓口にし、どのように進めたらいいのか」。事実の重大さに、別院の幹部たちは頭を悩ませている。

    ◆預かった責任はある
     強制連行被害者の遺骨返還運動などに携わる橋本信・拓殖道短大教授の話 朝鮮人の遺骨を保管する寺の中には、現在でもきちんと一体ずつ保管しているところも多い。合葬により身元確認は難しくなっており、安否を気遣う遺族感情への気配りが感じられない。札幌別院は企業から遺骨を預かった立場であるにせよ責任があり、保管方法は問題がある。遺族のことを考えるのであれば、遺骨の返還作業や身元の確認などで、できる限り誠実な対応をするべきだ。

    ◆遺族の気持ちを考えて
     強制連行問題などに詳しい田中宏・龍谷大教授の話 強制連行を行った企業のぼだい寺などで中国人、朝鮮人の遺骨が納められていたことは過去にも確認されているが、これだけ大量の発見は聞いたことがない。中国人の場合は戦勝国への補償として、戦後、日本国内で犠牲者の調査が進んだが、朝鮮人についてはほとんど手つかずだ。拉致問題で、国内の今の世論は北朝鮮に対する被害者意識が強すぎる。強制連行被害者の遺族の気持ちを考えた対応が必要だ。】


  • 北海道新聞』2002年11月22日 11:30
    表題「求められる真摯な対応 札幌・西本願寺の朝鮮人遺骨問題」

    URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20021122&j=0022&k=200211227551

    【<解説>西本願寺札幌別院で見つかった多くの朝鮮人の遺骨は、拉致問題で揺れる日本と朝鮮半島の間に、新たな波風を立てるかもしれない。同院の関係者は「最悪のタイミングではないか」と恐れる。だが、こうした時機だからこそ、すべてをさらしての真摯(しんし)な対応が求められる。
     同院が戦後長い間、事実把握を怠ってきたことに加え、ほんの五年前に「合葬」を行ったことなど、不可解な点は多々ある。在日本大韓民国民団(民団)幹部によると、情報をすでに入手した韓国メディアは札幌入りを希望しているといい、同院の「措置」に批判が集まる可能性もある。
     一方で、自主的な調査で遺骨の存在を明らかにしたことは、一つの救いといえるだろう。内部調査に当たった僧侶の一人は「調べていくうちに大きなショックを受けた」と、正直な気持ちを語った。朝鮮人の徴用先だった地崎工業も「別院から何か要請があれば対応を検討する」という。
     西本願寺別院はすでに、民団と朝鮮総連に対し、遺骨の存在を説明している。両団体は、近く正式な対応策を決めるとする同院の動きを注視しているところだ。名簿の中には、「北」を本籍地とする名前も十人ほどある。
     同院が今後、遺族を探し出すにしても、在日社会などの協力が欠かせない。自主的な調査を始めた姿勢を続けられるかどうか、「試練」のときがくる。(斎藤正明)】


  • 河北新報』2002年11月22日 11:30
    表題「朝鮮人労働者の遺骨発見 101人分か、寺が保管」

    URL:http://www.kahoku.co.jp/news/2002/11/2002112201000144.htm

    【 終戦前に朝鮮半島から北海道に強制連行された朝鮮人とみられる多数の遺骨が、札幌市中央区にある浄土真宗の本願寺札幌別院に「合葬(がっそう)」されていることが22日、分かった。
     同院によると、見つかった遺骨は、3段式のスチール製箱と3基の骨つぼに合葬して納骨堂に納められていた。また、101人分の朝鮮人名や死亡年月日などが書き込まれた1969年7月11日付の「遺骨遺留品整理簿」も、金庫に保管されていたことが分かった。
     1度にこれだけ多数の強制連行者の遺骨が発見されたのは、全国的にも珍しいという。同院は26日に会議を開き、遺骨を遺族に返還する方向で対応策を決める。
     同院は1999年から内部調査を始め、遺骨は朝鮮から強制連行された労働者の大口徴用先だった土木建設会社(札幌市)など10社から持ち込まれたことが分かった。時期は不明としている。】


  • 北海道新聞』2002年11月23日 02:21
    表題「地崎工業が合葬認める 西本願寺の朝鮮人遺骨 労働確認の23人分」

    URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?&d=20021123&j=0022&k=200211238208

    【 西本願寺札幌別院(札幌市中央区)で保管されていることが分かった戦前、戦中に強制連行されたとみられる多数の朝鮮人の遺骨をめぐり、別院の調査で遺骨を同院に納めたとされた地崎工業(本社・札幌)は二十二日、遺骨の一部について合葬を行ったことを認めた。
     別院の調査では、三つのスチール製箱と三つのつぼに人骨が納められていた。
     地崎工業は、三つのつぼに収められていた遺骨については、同社で働いていた朝鮮人のものであることを確認。遺骨は別院の説明する二十一人分ではなく二十三人分と指摘した。一九九七年に合葬した理由について、会社の経営危機で供養を継続できない懸念が出た際、別院から「合葬すれば会社がなくなっても永代供養できる」と提案されたため、としている。
     しかし、残りの遺骨については「戦中の社長が別院の檀家(だんか)総代と土木業者の団体の理事長を務めていたことから、同社以外で働いていた朝鮮人の遺骨も一緒に納骨したのではないか」とし、同社との関係を否定した。
     同社社長室の松浦敏裕室長は「合葬した当時、担当者が遺骨の返還の可能性を考えなかったとみられ、認識の甘さは反省している」と述べた。
     一方、別院は地崎工業から提供を受けた遺骨遺留品整理簿に記載されている朝鮮人の人数を百二人から百一人と修正した。今後の対応についは、「二十六日に決めるので、詳しい説明は控えたい。そっとしてほしい」と繰り返した。】


  • 北海道新聞』2002年11月24日
    表題「《社説》朝鮮人遺骨*「人権」が問われている」

    URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?&d=20021125&j=0032&k=200211259903

    【 戦前、戦中に強制連行された朝鮮人とみられる多数の遺骨と名簿が、西本願寺札幌別院で見つかった。
     名簿には百一人分の氏名や死亡月日などが書かれており、多数の遺骨は名簿に記載された人たちと思われている。
     残念なことに、遺骨は保管の途中で、他人の遺骨と一緒にする「合葬」にされ、だれの遺骨か分からなくなってしまっているという。
     かつて日本が犯した強制連行が、人道にもとる恥ずべき行為であったことはすでに歴史的事実として証明されている。その反省に立って戦後、再出発したはずである。
     だが、本来遺族の了解を得るべき「合葬」が戦後に入ってから、しかも一九九七年まで行われていたことには、驚きを禁じえない。人権を軽視する姿に、身が縮む思いがする。
     いま、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による拉致問題に関連して、北朝鮮の拉致被害者の遺骨や墓地に対する非人道的な扱いに対し、非難が噴出している。
     わが身も正さなければならない。今後、北朝鮮との交渉で、説得力を持つためにも、札幌別院や朝鮮人労働者の徴用先だった企業はもとより、政府も誠心誠意、身元の確認や遺骨の返還に努力する必要がある。
     強調したいのは、中国人や朝鮮人の強制連行問題を早期に決着しなければならないことだ。
     一連の戦後補償裁判で、強制連行は国の政策であったこと、国と企業が共同して計画し、実行したことが認定されている。
     ところが、国や企業の取り組みはまったく不十分だった。中国人については犠牲者の調査がある程度進んでいるものの、朝鮮人はほぼ手付かずの状態に置かれているとの指摘が出ている。
     今回の遺骨もいまのところ、いつ、どこから持ち込まれたのか。寺側はどのような保管をしていたのか、判然としない。うかがえるのは、犠牲者の尊い遺骨をいかにも、ぞんざいに扱っていたことだけだ。
     いかなる理由、経緯があったにせよ、とても許されることではなかろう。
     札幌別院や、地崎工業など徴用先の企業は、在日本大韓民国民団(民団)や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の協力も得て、遺骨の身元確認や事実解明に向けて徹底的に調査し、返還に全力を尽くさなければならない。
     政府が当事者として、きちんと対応すべきことは言うまでもない。それが、国策と断罪された政府の責務と思うからである。
     国内には、このほかにも多くの強制連行犠牲者の遺骨が無念の思いで眠っている。
     これ以上、戦後補償問題を放置していては日本の人権意識が問われる。】


  • 北海道新聞』2002年11月27日 07:30
    表題「朝鮮人遺骨合葬問題 結論出ず先送り 西本願寺札幌別院協議」

    URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?&d=20021127&j=0022&k=200211261077

    【 戦前、戦中に強制連行あるいは日本政府の募集に応じて道内で働いた朝鮮人とみられる多数の遺骨が、西本願寺札幌別院(札幌市中央区)で合葬されている問題で、同別院は二十六日、調査委員会を開き、遺骨の今後の取り扱いを協議した。しかし結論はまとまらなかった。
     道内外の僧侶や檀家(だんか)ら二十二人が出席。「遺族への遺骨返還に向けて最大限努力し、遺族探しに尽力する」との方針で一致したが、具体的な方法は決められなかった。】


  • 北海道新聞』2002年12月4日 10:12
    表題「北大、韓国と共同研究 強制連行 中国などの参加も視野」

    URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?&d=20021204&j=0022&k=200212035950

    【 道内の炭砿などで戦前、戦中に行われた朝鮮人の強制連行の実態研究のため、北海道大学が近く、韓国の国立研究機関「国史編纂(へんさん)委員会」と所蔵史料の情報交換に乗り出す。北大と同委員会との連携は初めて。北大は「国によって違なる歴史認識の相互理解を進めることで、より客観的で広域的な研究が可能になる」と言い、将来的には中国、台湾を加えての共通データベース作りも視野に入れている。
     北大付属図書館には現在、北海道炭砿汽船(北炭、本社・東京)が一九九四年に寄贈した強制連行に関する史料百四十四点がある。第二次世界大戦中の四三年から四五年にかけて、同社釜山出張所の社員が、日本に連れて行く朝鮮人労働者がなかなか見つからないことを本社に伝えた電報など、強制連行の実態を浮き彫りにする貴重な史料が多数含まれている。
     一方、韓国では強制連行被害者の証言収集とその研究は続いているが、企業の内部文書などの資料分析はあまり進んでいない。このため、国史編纂委員会は韓国内外に散らばっている強制連行関係資料のデータベース化に取り組んでおり、北大に協力を求めてきた。
     同委員会は今月十六日から六日間、ソウル近郊の果川市で、日本、中国、台湾の計十八研究機関から専門家を招き、史料研究の国際学術会議を開催する。日本からは北大大学院文学研究科日本史学講座の白木沢旭児(あさひこ)教授が参加して所蔵史料の説明を行うほか、東大と京大、学習院大からも研究者が参加する。
     道内研究者が九九年に行った朝鮮人強制連行の実態調査にも加わった白木沢教授は「情報の共有化で、これまで見つかっていない史料の発見や深い研究が期待できる」と話している。九九年の実態調査では、三九年から四五年までの七年間で、道内に約十四万五千人の朝鮮人が強制連行されたことが判明している。
         ◇
    <国史編纂委員会> 韓国史関係史料の収集、保管などを行うため、1946年に設立された国立研究機関。ソウル近郊の果川市に庁舎があり、日本による植民地統治時代の史料などを集め、国内外の研究者に公開している。】


  • 北海道新聞』2002年12月6日 23:00
    表題「合葬を謝罪し遺骨返還に尽力−朝鮮人遺骨問題で西本願寺札幌別院」

    URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?&d=20021206&j=0022&k=200212068134

    【 戦前、戦中に強制連行あるいは日本政府の募集に応じて道内で働いた朝鮮人とみられる多数の遺骨が、西本願寺札幌別院(札幌市中央区)で合葬されている問題で、同別院は六日、記者会見し、同別院が主体となって、遺族の消息調査や遺骨の返還に尽力すると表明した。
     同別院の責任者である升巴隆夫輪番は「遺骨を遺族に返す努力をせず、さらに合葬によって遺骨の個別性が失われたことをおわびする」と謝罪。「遺骨返還に誠実に取り組んでいく」と話した。
     同別院は今後、在日本大韓民国民団(民団)や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)、国内外の研究者の助言や協力を得ながら、遺族の消息を調査し、謝罪する方針。DNA鑑定などで遺骨の個人特定を進め、遺族へ返還したいとしている。
     ただ、DNA鑑定は遺族が判明しなければ不可能。合葬状態の中から個人の遺骨を判別し、遺族に返還するのは極めて難しいとみられる。
     また合葬の経緯について同別院は、戦中から戦後にかけて百一体の遺骨が預けられた当初は一体ずつ保管していたが、遺骨が入った木箱や包んでいた布の損壊が進み、地崎工業が安置していた約二十体を除き、一九八四年に約八十体を合葬したと説明。その後、遺骨の所在が不明になったのは、「輪番が二年ごとに交代し、引き継がれなかったため」とした。地崎工業の約二十体は、九七年に合葬された。
     会見に先立ち同別院は遺骨の追悼法要を行い、民団、朝鮮総連などの関係者も参列した。】


  • 北海道新聞』2002年12月7日 08:30
    表題「名簿に6人の中国人 外務省報告では「返還」 西本願寺札幌別院」

    URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20021207&j=0022&k=200212078236

    【 戦前、戦中に募集または強制連行で日本に来た朝鮮人とみられる多数の遺骨が、西本願寺札幌別院(札幌市中央区)に合葬されている問題で、同別院が保存している「遺骨遺留品整理簿」の中に、六人の中国人の名前が含まれていることが六日、明らかになった。外務省が終戦直後の一九四六年に作成した報告書では、六人と同名の遺骨は中国に返還されたと記されているが、実際は返されておらず、虚偽だった可能性が強まっている。
     別院の整理簿によると、この六人は「李成」「●書建」「王洪三」「宋紀憎」「謝運興」「●照禄」。死亡年月日、死亡時の年齢が記載され、「李成」を除く五人が地崎組で働いていたとされている。
     別院は六九年、当時残っていた遺骨箱などを元に「整理簿」を作成し、この六人と朝鮮人らの名前を記載した。
     一方、外務省が四六年に地崎組に提出させた「華人労務者就労顛末(てんまつ)報告書」にも同じ六人の名前があり、添付された中国人強制連行者慰霊祭の写真の位牌(いはい)にも、「李成」を除く五人の名前があった。
     同報告書を管理する東京華僑総会によると、六人の死亡年月日、死亡時の年齢などは、別院の「整理簿」と全く同じ内容。ただ、死亡場所が地崎組伊屯武華(いとむか)出張所(網走管内留辺蘂町)だったことや、六人の出身地や死亡原因など、整理簿にはない事実も記していた。
     外務省の報告書は終戦直後、地崎組の申告に基づいて作成されており、「虚偽申告」の疑いがある。地崎工業社長室も「報告書の作成経緯は分からないが、終戦後の混乱を考えると、遺骨が送還されたとは考えにくい」としている。
     強制連行の実態に詳しい北海道史研究家の白戸仁康さん=美唄市=は「中国から連行された人たちは軍属が多く、ひどい扱いが発覚すれば戦犯問題に発展する可能性が高いため、でたらめな報告が多かった」と言い、外務省報告書は虚偽だった可能性が高いと指摘している。

    【注】●は最初が「高」へんに「おおざと」2つ目が「門」の中に「敢」】


  • こだま』70号、2003年1月1日
    表題:北海道教区 一乗寺住職 殿平善彦「追悼されざる犠牲―札幌別院朝鮮人犠牲者遺骨問題」

    URL:http://www.geocities.co.jp/Berkeley-Labo/6421/70.html

    【「天皇の兵士たち、水兵たちがひきおこした何百万の死については、単に数字としてではなく、ひとりひとりの人間としては、まだ想像できなかった。日本人以外の死者には顔がないままだった。その中に見知った姿がなかったからである。」(ジョン・ダワー『敗北を抱きしめて』)

     本願寺札幌別院の納骨堂に朝鮮人の遺骨が残されているらしいという密かな噂は、ずいぶん前からあった。しかし、そのことが札幌別院にとって、或はその噂を知る個々人にとって何を意味しているのかを感じるものは皆無であった。
     北海道教区基幹運動推進委員会の一部のメンバーによって調査がはじまったのは、一九九九年末。その調査の過程で驚くべき事実が判明していった。
     百名以上の氏名が記された犠牲者名簿とともに、名簿に相当すると思われる遺骨が別院内で見つかった。遺骨を預けたのは札幌別院の有力檀家である地崎組(現・地崎工業株式会社)と、それに関係する業者であり、一時預かりの名目であったのが、そのまま放置され、反世紀以上が経過していたのである。
     名簿には遺骨の氏名、死亡年月日、本籍、所属企業又は業者名、一部には年齢などが記載されており、名簿から、それら遺骨が戦時下の強制労働による朝鮮人犠牲者のものであることが推測された。
     しかし、朝鮮人犠牲者の遺骨は、既に二度にわたる合葬の措置によって、他の遺骨と分かち難い状況にあった。
     職員の証言から、合葬された遺骨もかっては名簿にあるとおり個別に木箱に分けられて安置されていた。一九八四年には別院の手で、一九九七年には別院と業者との合意による合葬の際に遺骨の木箱も廃棄されたため、遺骨の個別性は失われてしまっていた。
     「合葬」とは一般に、他のお骨と混合して一ヶ所に安置するという、納骨の最終的手段を意味する。遺骨が全く身元不明である場合を除いて、合葬は遺族の合意があってはじめてとらるべき手段であり、遺骨を預かっている側(業者も含まれる)が遺族に無断で、一方的に実施できるものではない。
     現に、札幌別院に安置されてきた遺骨には対応する名簿があり、遺族が特定される可能性は充分にある。
     だが、名簿の本籍住所を尋ねれば遺族を発見することは容易だと考えるのは、恐らく調査が進行した今だからこそ言い得ることなのかもしれない。遺骨が預けられた経緯からすれば、別院はあくまで業者から預かったのであり、朝鮮半島に居住する遺族を捜しだすなど想像すらしなかっただろう。遺骨自体は別院の責任において納骨壇に納められ、毎朝読経もされてきた。
     しかし、それらの宗教的儀礼も、「合葬」という行為によって、すべて消し飛んでしまったかに見える。
     「合葬」に至った経緯、その真相は今も不明な点が多い。真相の解明は行われるべきだ。
     とまれ、今は、朝鮮人遺骨問題を自己に引きつけて考えてみよう。発見された名簿には、ひとつひとつの命であり、人として生きた個人が記録されている。しかし、戦時下の日本人には、強制連行された朝鮮人の、死に至ったその人の悲しみに心寄せることは不可能だった。その人の妻が、子が、家族があり、忘れがたい友があったことを想像することは日本人には不可能だった。  三十五年間植民地として支配し、同化政策の中で相手を支配してきた日本人にとって、朝鮮人に家族があることなど、想像の外だったのだ。
     「大東亜」「五族協和」を僭称し、自らをアジアの指導民族であると称し、朝鮮人や中国人を劣等な民族とみなすことを日常の意識にしたからこそ、十五年間の戦争を戦いえたのであり、敗北して、なおその意識に変化を加えねばならぬ特別な努力など戦後五十七年間にしてこなかった。
     つまり今日まで、かっての十五年間の戦争に対して、あの戦争は何であり、私たち日本人にとって何が根本的な問題だったのかを考えることをしてこなかった。政府も国民もちゃんと公式にそれを克服しようとはしてこなかった。「靖国問題」の本質はここにある。
     札幌別院に残る百体を超える朝鮮人の骨は生々しくその答えを求めている。考えられなかったのなら今からでも良い。百体を超える朝鮮人の骨を前に深刻に考え始めろと要求している。
     「従軍慰安婦」問題が日本の中で公然と問題にされたのはようやく九十年代に至ってからだった。強制連行に関してはこれから私たちの課題にできるか否かが問われている。しかし今私たちは「拉致問題」をめぐる「大合唱」のなかで課題とすべき強制連行を後景に追いやっている。
     「国立追悼施設」どころではない。目の前の犠牲、五十七年間追悼されざる犠牲にどう応えるのか。この追求から身をそらしていては私たちの教団は戦時教学から少しも抜け出られずにいることを証明することになるのではないか。現代におけるラジカルなテーマに、私たちは、教団は直面している。】


  • 朝鮮新報』2003年1月8日
    表題「101体の遺骨に思う」

    URL:http://www.korea-np.co.jp/sinboj/j-2003/j01/0301j0108-10001.htm

    【 新しい1年の始まりを祝う今年の正月、北海道札幌市の西本願寺札幌別院を訪れた。日本帝国主義の植民地支配によって戦前、北海道に強制連行された朝鮮人の遺骨が保管されている寺院である。雪景色のなかにライトアップされた立派な外観。眺めながら、死亡者名簿が存在したにもかかわらず一部関係者らが独断で「合葬」したため身元の確認さえもできなくなってしまった101体の遺骨に思いをはせた。
     多くの朝鮮人が強制連行され、炭鉱や建設現場などで過酷な労働を強いられた日本最北の地、北海道。その労働のあまりの辛さに逃亡し、捕らわれた彼らを待ち受けていたのは、耐えがたい拷問だった。「コンクリ床に正座させられ、手には水いっぱいの洗面器を持たされ、少しでも姿勢がくずれようものなら、ところかまわずムチが、椅子が飛ぶ。気を失えば水をかけられる。手も足も縄で縛られ、その上にムチが飛び、のたうち回る光景はとても正常では見ていられるものではありませんでした…」(現場を目撃した札幌在住のある主婦の談話。「札幌別院納骨堂に置かれた朝鮮人遺骨合葬問題に関する報告」から)
     寺院の奥底からは、このような強制連行、強制労働の末に無念の死を遂げ、半世紀以上もの間、家族のもとへ帰ることができないでいる彼らの慟哭が聞こえて来るようだった。
     この問題の加害責任が強制連行、強制労働を行った日本政府にあることは言うまでもあるまい。自らの犯した罪に顔をそむけず、平壌宣言の精神に沿い、加害責任者が責任を持って遺族のもとへ遺骨を返還していく過程こそが、過去を清算し、平和な未来を築く道へとつながる。
     家族・親せきが集い、楽しいひと時を過ごす正月にも、心をすり減らすような思いで祖父や父の消息を待ち続けている遺族たちがいることを、日本政府は忘れてはならない。(花)】


  • 北海道新聞』2003年1月29日 00:30
    表題「朝鮮人遺骨問題で来月5日「フォーラム」設立−民団や総連」

    URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?&d=20030129&j=0022&k=200301293644

    【 戦前、戦中に強制連行あるいは日本政府の募集に応じて道内で働いた朝鮮人らとみられる遺骨が西本願寺札幌別院(札幌市中央区)に保管されている問題で、遺骨の返還方法などを探る組織「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」が二月五日に設立される。
     設立にかかわる在日本大韓民国民団(民団)と在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)などが二十八日、明らかにした。他に本願寺派一乗寺(深川市)や日本キリスト教会札幌白石教会(札幌市)など三十二の団体・個人が参加する。
     遺骨と一緒に見つかった名簿に書かれた人たちの死亡経緯の調査を進め、別院が予定している遺骨返還について、遺族への謝罪のあり方などを提言していく。
     別院による遺骨返還に向けては具体的な話が進んでおらず、「別院内でだれが主導して解決するかも決まっていない」(別院の脇谷宏明・副輪番)状況だ。フォーラム設立は、遺骨の早期返還など問題解決を促す狙いもある。
     フォーラムは二月五日の結成集会を経て、第一回フォーラムを同月十六日午後一時、札幌別院で開き、日朝関係の専門家による記念講演やシンポジウムを行う。一般の参加費千円。問い合わせは別院(電)011・611・9322まで。】


  • 北海道新聞』2003年1月29日 10:47
    表題「朝鮮人遺骨返還求めフォーラム設立」

    URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?&d=20030129&j=0022&k=200301293773

    【 戦前、戦中に強制連行あるいは日本政府の募集に応じて道内で働いた朝鮮人らとみられる遺骨が西本願寺札幌別院(札幌市中央区)に保管されている問題で、遺骨の返還方法などを探る組織「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」が二月五日に設立される。
     設立にかかわる在日本大韓民国民団(民団)と在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)などが二十八日、明らかにした。他に本願寺派一乗寺(深川市)や日本キリスト教会札幌白石教会(札幌市)など三十四の団体・個人が遺骨と一緒に見つかった名簿に書かれた人たちの死亡経緯の調査を進め、別院が予定している遺骨返還について、遺族への謝罪のあり方などを提言していく。
     別院による遺骨返還に向けては具体的な話が進んでおらず、「別院内でだれが主導して解決するかも決まっていない」(別院の脇谷宏明・副輪番)状況だ。フォーラム設立は、遺骨の早期返還など問題解決を促す狙いもある。
     フォーラムは二月五日の結成集会を経て、第一回フォーラムを同月十六日午後一時、札幌別院で開き、日朝関係の専門家による記念講演やシンポジウムを行う。一般の参加費千円。問い合わせは別院(電)001・611・9322まで。】


  • 北海道新聞』2003年2月5日 00:30
    表題「朝鮮人遺骨 西本願寺が全国で調査」

    URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20030205&j=0022&k=200302048854

    【 戦前、戦中に強制連行や日本政府の募集に応じて働いた朝鮮人らとみられる多くの遺骨が西本願寺札幌別院(札幌市中央区)で見つかった問題で、西本願寺(京都市)は四日、全国の他の別院でも同様のケースがないか調査していることを明らかにした。
     西本願寺の直属寺院として全国に四十五ある別院に対し、朝鮮人らとみられる遺骨や名簿など関連資料の有無について、詳細な報告を求めている。道内の別院は札幌のほかに帯広、小樽、函館、江差の四寺院。
     西本願寺は、大量の遺骨が札幌別院で保管されていたことから、他の寺院にも残っている可能性があると判断した。二月いっぱいで報告をまとめ、新たに遺骨などが見つかった場合はケースごとに対応を検討する。西本願寺は「戦争に協力した過去もある教団として、非戦や平和のためにできる限りのことを行う」(基幹運動本部事務局)と説明している。
     一方、札幌別院は四日までに、補足調査を行うことを決めた。同院に務めた経験がある僧侶約二十人から聞き取りを行い、「日報」などの保存資料と突き合わせて、遺骨を預かった経緯を詳しく探る。調査には二、三カ月かかる見通し。
     問題になっている遺骨は昨年十一月、札幌別院の内部調査によって存在が明らかになった。】


  • 北海道新聞』2003年2月6日 01:00
    表題「遺骨80人分は朝鮮人でない? フォーラム結成集会で報告」

    URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20030206&j=0022&k=200302069774

    【 戦前、戦中に強制連行や日本政府の募集に応じた朝鮮人らとみられる遺骨が西本願寺札幌別院(札幌市中央区)で見つかった問題で、発見された百一人分とみられる遺骨のうち、相当数について朝鮮人らのものではない可能性のあることが五日、明らかになった。
     遺骨の返還方法などを探るため、札幌別院で同日に開かれた「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」の結成集会で、別院側から報告された。
     報告によると、約八十人分の遺骨について、「朝鮮人らのものだ」としていた札幌別院の元僧侶が「思い込みがあった」などとして証言を翻した。これらの遺骨がだれのものかは依然不明。補足調査を進めている札幌別院幹部は「新たな証言を集めて真相を突き止めたい」と話している。】


  • 北海道新聞』2003年2月12日 01:30
    表題「日本と朝鮮半島の将来を話し合おう 14日から幌加内でワークショップ」

    URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?&d=20030212&j=0022&k=200302113775

    【 【幌加内】日韓、在日韓国・朝鮮人の若者が強制連行や強制労働の歴史を学び、日本と朝鮮半島の未来を考える「2003冬の東アジア共同ワークショップ」(空知民衆史講座など主催)が十四から十六日まで、空知管内幌加内町朱鞠内の旧光顕寺で開かれる。
     西本願寺札幌別院で見つかった遺骨の返還問題や、北朝鮮による拉致事件などを話し合うため、企画された。日韓の大学生や朝鮮大学校の学生、長野県の高校生らが参加する予定。
     十四日は、韓国・済州島で昨夏行われた日韓共同ワークショップの様子を報告。十五日は大阪経済法科大の吉田康彦教授が「遺骨発掘のあり方」について講演後、討論する。強制連行被害者の資料館になっている旧光顕寺で雪下ろしのボランティアも行う。学生らは十六日に西本願寺札幌別院で行われるフォーラムにも参加する予定。
     費用(資料、食費などを含む)は一般一万円、大学生六千円、高校生三千円。申し込みは〒074・0141 深川市多度志町一乗寺、東アジア共同ワークショップ事務局へ。問い合わせは一乗寺(電)0164・27・2359へ。】


  • 北海道新聞』2003年2月12日 13:30
    表題「強制連行の歴史、本願寺で考えよう 16日、札幌でフォーラム」

    URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20030212&j=0022&k=200302124142

    【 戦前、戦中に強制連行や日本政府の募集に応じて道内で働いた朝鮮人らとみられる遺骨が、西本願寺札幌別院(札幌市中央区)に保管されている問題に絡み、同別院の遺骨返還作業を支援する「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム準備会」が十六日午後一時から、同別院で、強制連行の歴史を見つめ直すフォーラムを開く。
     講演やパネルディスカッションを通じて、遺骨返還作業など問題解決の糸口を探る。第一部は、近代日朝関係史・思想史が専門の尹健次・神奈川大教授が「過去をどう克服するのか―日朝関係と歴史認識の歪(ゆが)み」と題して講演する。
     第二部は、日韓の研究者や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の担当者らが遺骨問題を軸に日朝関係の将来について話し合う。
     参加料千円。高校生以下無料。問い合わせは札幌別院(電)011・611・9322へ。】


  • 強制連行の掘り起こしを全面的に!」(伊田稔のホームページ:各地のイベント情報)
    表題「「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」結成集会のご案内」

    URL:http://www2.jan.ne.jp/~ida-noru/menu/ibento-jyoho.html

    【北海道フォーラム準備会共同代表:席占明(北海道華僑総会) 殿平善彦(一乗寺) 古賀清敬(目本キリスト教会札幌白石教会) 薛鎭鐵(在日本大韓民国民団北海道) 蔡鴻哲(在日本朝鮮人総聯合会)
    「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」結成集会のご案内

     札幌別院の朝鮮人・中国人の強制連行・強制労働者の遺骨をめぐり、別紙呼びかけ文にありますように、『強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム(広場)』結成集会を開催いたします。
     この問題は、直接の関係者と共に日本の国民の問題でもあります。
     どうか、皆様におかれましては万障お繰り合わせの上、是非ともご出席下さいますようご案内申し上げます。
     また当日は、井上勝生氏(北海道大学)より『遺骨返還から学ぶ』と題してご報告をいただく予定となっておりますこと申し添えます。
    ============
    北海道フォーラム 結成集会
     ◇と  き: 2003年 2月 16日(日) 午後1時〜
     ◇ところ: 本願寺札幌別院(中央区北3条西19丁目)
     ◇参加費 1,000円(資料代込)
     ◇記念講演 尹健次氏(神奈川大学教授)「過去をどう克服するのか −日朝関係と歴史認識の歪み」
     ◇報告 姜萬吉氏(韓国・尚志大学総長・高麗大学名誉教授)
           金廣烈氏(金云大学助教授・「日帝強占下強制動員被害真相究明等に関する特別法」制定推進運動本部)
           席占明氏(北海道華僑総会)
           吉田康彦氏(大阪経済法科大学教授・北朝鮮人道支援の会代表)
           洪祥進氏(朝鮮人強制連行真相調査団事務局長)  ほか
    ============
    呼びかけ文
    「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」への参加の呼びかけ

     21世紀を迎えた私たちは、戦争と抑圧、憎悪と対立によってではなく、対話と信頼による新しい時代を築いていきたいと希望しました。しかし、新世紀の幕開けは、その希望とは対極にある凄惨な暴力の応酬でした。
     東アジアもまた、20世紀の闇の記憶を引きずったままの幕開けとなりました。
     去る2002年12月6日、本願寺札幌別院は、別院納骨堂に納められてきた朝鮮人と中国人の100体を超す遺骨の存在を公表しました。
     これらの遺骨は、十五年戦争下に強制的に連行され、強制労働によって死に至らしめられた犠牲者の遺骨とみられ、道内土建業者から札幌別院に預けられ、遺族に返還されることもないまま、戦後57年の間、別院納骨堂に置かれてきたものです。
     100体を超えるもの言わぬ遺骨は、私たちに否応なしに20世紀の記憶を呼び覚まします。すなわち、侵略戦争、植民地支配の歴史と、それらを清算することなく放置してきた国家、企業、そして私たちの記憶です。
     札幌別院は、遺骨問題に関する真相究明とご遺族への遺骨返還に向けて努力することを表明しました。
     私たちは、札幌別院に置かれてきた遺骨をはじめとした強制連行・強制労働の歴史の真相究明と、遺族への遺骨の返還に共に力を合わせたいという思いで集うものです。
     拉致問題を巡って国交正常化など無視するがごときマスメディアの報道が続いており、小泉首相が靖国神杜参拝を強行しました。いま、私たちの周りには内向きのナショナリズムの旋風が吹き荒れています。
     こんな時こそ歴史の闇から届けられた遺骨の無言の訴えに耳を傾け、20世紀の闇の記憶である国家の非行に対時していくことで、アジアの人々と出会い、和解のあゆみをすすめることこそ歴史に対する誠意でありましょう。
     長く続いてきた越えがたい国境と自民族中心の壁をつき崩して、人と人が出会い、心と心を通わせることで、歴史の闇を超え、和解と友好の時代を創り上げていこうではありませんか。
    「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」に、是非ともご参加ください。

    ≪呼びかけ人≫
    浅井 俊雄 / 石田 明義 / 石田 国夫 / 稲場 輝夫 / 井上 勝生 / 林 柄澤 /上野 正之 / 打本 顕 真 / 小野寺正巳 / 加藤 博史 / 金石 晃陽 / 菊池 真一 / 古賀 清敬 / 白戸 仁康 / 杉浦 香 / 席 占明 / 薛 鎭鐵 / 滝沢 正 / 田中 了 / 田端 宏 / 蔡 鴻哲 / 殿平 善彦 / 永江 雅俊 / 西丸 栄次 / 橋本 信 / 林 恒子 / 卞 東運 / 平井 敦子 / 星野 孟 / 堀口 晃 / 松本 成美 / 森 亮一 / 森岡 武雄 / 森山軍治郎 / 山本 光一 / 山本 三樹】


  • 北海道新聞』2003年2月17日 01:30
    表題「強制連行の歴史直視すべき 札幌でフォーラム」

    URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20030217&j=0022&k=200302177193

    【 戦前、戦中に強制連行あるいは日本政府の募集に応じて道内で働いた朝鮮人らとみられる遺骨が札幌市中央区の西本願寺札幌別院に保管されていた問題で、強制連行の歴史を見つめ直すためのフォーラムが十六日、同別院で開かれた。
     同別院が進める遺骨返還作業を支援する「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム準備会」の主催で、市民ら約三百人が参加。
     近代日朝関係史などが専門の尹健次・神奈川大教授は講演で、北朝鮮による日本人拉致問題に触れ、「北朝鮮を一方的に悪者ととらえる風潮が日本ではびこっているが、かつて日本が朝鮮に犯した事実をどれだけの人が認識しているのか」と述べ、日本と朝鮮半島の歴史を直視する必要性を強調した。
     また研究者らによるパネルディスカッションでは「遺骨返還作業は、それぞれの政府が責任を持って行うべきだ」「日本、韓国、北朝鮮などの関係者が問題解決のために一致団結すれば進展する」などの意見が出された。】


  • 朝鮮新報』2003年2月25日
    表題「ゆがんだ歴史認識正そう−北海道で強制連行・労働犠牲者考えるフォーラム」

    URL:http://www.korea-np.co.jp/sinboj/j-2003/j02/0302j0225-00001.htm

    【 第1回「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」が16日、札幌市の本願寺札幌別院で開かれた。日本の植民地支配下、北海道に強制連行され強制労働を強いられた朝鮮人らのものと見られる100体以上もの遺骨が昨年11月、同寺院で発見されたことがきっかけとなって企画されたもの。調査にあたった同院関係者、地元の総聯、民団、宗教家、学者、民衆史研究グループらが「これを機に遺骨処理問題をともに考えていこう」と呼びかけ人になり、日本各地、南から同胞、日本市民ら約300人が参加した。
     調査にあたった「遺骨問題にかかる調査委員会」(本願寺宗派の僧侶らで構成)によると、同院で発見された遺骨は、地崎組(現・地崎工業)、川口組、菅原組、鉄道工業など道内の土建業者による強制連行、強制労働が原因で亡くなった朝鮮人らのものと見られ、戦前、戦後を通じ同院に預けられたという。
     これは、地崎工業が保持してきた遺骨遺留品整理簿(朝鮮人犠牲者の遺骨・遺留品一覧表)の資料とほぼ一致している。本籍は多くが南だが、なかには黄海道、平安南道など北の出身者も見られる。名簿があったにもかかわらず、地元企業と同院の一部関係者の独断で「合葬」され、今では身元がわからなくなってしまった。
     フォーラム開始にあたって参加者全員が、強制連行・強制労働の犠牲者を弔うため黙とう。続いて「過去をどう克服するのか―日朝関係と歴史認識の歪み」と題し、神奈川大学の尹健次教授が基調講演を行った。
     尹教授は、過去に日本が犯したアジア侵略の歴史について解説。「いまだ日本社会で続く民族的差別によって植え付けられた、ゆがんだ歴史認識を(加害者と被害者との関係のなかで)正していく作業が非常に重要だ」と述べ、そのためには「自分の身近にある矛盾に対して声を上げていくべきだ。その積み重ねがひいては東アジアの平和につながる」と強調した。
     その後「歴史の真実を見つめ東アジアの人々が共に生きる未来を考える」と題したシンポジウムが行われ、朝・日合同による朝鮮人強制連行真相調査団の洪祥進事務局長、南で強制連行問題などを研究している金廣烈・光云大助教授、席占明・札幌華僑総会会長らが発言した。
     洪事務局長は「強制連行・強制労働は日本政府と相手企業が共同して計画・実行したもの。それによって犠牲になった人々の遺骨は、彼らが責任を持って遺族のもとに返さなければならない。被害者の願いはこのような国家犯罪が2度と繰り返されないように、政府と企業がしっかり責任を取ることだ」と強調した。
     同院側は同日、遺骨が焼骨されているため、DNA鑑定による身元特定が事実上不可能となったことを明らかにしながら、あらためて関係者から当時の事情を聞き、遺骨が誰のものか再調査すると述べた。
     フォーラムでは「(100体を超えるもの言わぬ遺骨は)侵略戦争、植民地支配の歴史とそれらを清算することなく放置してきた国家、企業、そして私たちの記憶を呼び覚ますもの。遺骨問題に関する真相究明とご遺族への遺骨返還に向けて努力する」(呼びかけ文)ことが表明された。
     フォーラム共同代表の1人で、民衆史研究を長年続けている本願寺派一乗寺(北海道深川市)の殿平善彦住職は、「内向きのナショナリズムが猛威を振るうこのような情勢のなかで、今回のフォーラムを開催できたことはとても意義がある。東アジアに真の和解と友好をもたらす第一歩を、この場に集まった人々とともに切り開いていきたい」と語っていた。(李明花記者)】


  • 朝鮮新報』2003年2月25日
    表題「北海道強制連行フォーラム−シンポジウムでの主な発言内容」

    URL:http://www.korea-np.co.jp/sinboj/j-2003/j02/0302j0225-00002.htm

    【 第1回強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラムのシンポジウム「歴史の真実を見つめ東アジアの人々が共に生きる未来を考える」での、パネリストたちの主な発言内容を紹介する。

     朝鮮人強制連行真相調査団の洪祥進事務局長

     1995年のアジア女性基金は被害者の総すかんを食った。その理由は日本人が相手の気持ちも確認せず、自らの勝手な善意を押し付けようとしたからだ。遺骨もしかり。善意で簡単に片付けられる問題ではない。被害者が望んでいることは、このような国家的犯罪が2度と起こらないように政府と企業がしっかり責任を取ることだ。強制連行・強制労働は日本政府と相手企業が共同して計画し実行したものであり、それによって犠牲になった人々の遺骨は、彼らが責任を持って遺族に返さなければいけない。
     日本弁護士連合会は昨年10月、日本に住む被害者およびその遺族に対して、国際法の観点から人権を救済し、尊厳を回復させていくべきことを小泉首相と連行者の企業に勧告した。同勧告を1つの基準として、研究者らが足並みをそろえて問題解決に取り組んでいくべきだ。強制連行・強制労働問題は、日本も批准している「強制労働ニ関スル条約(ILO第29号条約)」など国際法の観点から解決されなければならない。

     南で強制連行・強制労働の実態について研究している金廣烈・光云大教授

     在日朝鮮人および日本の研究者や市民運動団体による研究や調査がかなり蓄積されているのに比べ、南では被害当事国であるにもかかわらずそのような取り組みが質・量ともに劣っていた。研究が本格的に開始されたのは90年代に入ってからだ。一昨年9月には政府レベルでの解決を求め、南の研究者らで「強制動員真相究明特別法」制定推進委員会を結成。今年1月には政府がより積極的にこの問題に取り組むよう、次期大統領にあてた意見書を提出した。
     被害者とその遺族にとって、戦争は現在進行形。彼らに残された時間は少ない。日本国は植民地支配をした国家として、また被害者の尊厳を回復させるためにも個人に対する補償を行わなくてはならない。問題は南の政府、政治家、マスコミの無関心にもある。この場を通じてアジアの研究者たちとのネットワークを構築していきたい。

     中国人の遺骨調査作業に取り組んできた席占明・札幌華僑総会会長

     1953年に北海道中国人殉難者慰霊実行委員会を設立。主に各地の寺に保管されてきた遺骨の遺骨収集、慰霊祭、中国本土への返還作業を行ってきた。しかし近年、遺骨調査が非常に難しくなっている。当時の関係者が高齢または他界し情報が得られないためだ。
     良心に従って遺骨調査作業を続けてきたが、個人の力ではもう限界だ。日中国交正常化から30年以上経つが、遺骨問題は1つも解決されていない。加害国である日本政府の責任で遺骨調査、返還作業がなされるべきだ。】




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