2000年
4月22日 『安田さんを支援する会News』No.13(2000年4月15日付)に岩井信「安田裁判公判報告 第24回〜第27回」。【…この4回の反対尋問で事件の全体像と弁護団の反論の方向性がおぼろげながら示されたように思う。まず第一に、謀議は1993年…2月19日にはなかったということである。安田さんは「アドバイス」だけで犯罪に問われているので、そのアドバイスがあった(「謀議」があった)ことを検察側は立証しなければいけない。逆にいえば、もし立証できなければ、安田さんは無罪になる。…検察側は、I証人のあるメモの部分が2月19日の会議結果を書き記したものとしているようだが、…2月19日と特定する情報はどこにも書いておらず、I証人も反対尋問ではよく覚えていないという。次に、元住専の担当者自身がS社の内部事情を知っていたということである。つまり知っているのであれば、そもそも強制執行の「妨害」はありえないということになる。そそて第三に、安田弁護士がアドバイスした再建計画の内容については、安田弁護士自らが関与して実現したもの(…)を軸に理解しなければならず、それらは一貫して、S社が消滅して債務を返済すると共に、貸借部門を分社化独立させることで、生き残ることをアドバイスしたということがはっきりしてきたこと。逆にいえば、検察の主張する謀議の内容は、全体の流れの中できわめて突出して、安田さんがそれをアドバイスしたとするのはあまりに不自然であることが明らかになったのである。】。次の公判日程は第28回公判:4月26日(水)第29回公判:4月27日(木)。
1月14日 『現代』2000年2月号の魚住昭「麻原彰晃主任弁護人逮捕は『冤罪』である」が安田好弘弁護士不当逮捕事件をわかりやすくまとめ、また本質をとらえていて必読!
1999年
8月11日 宮崎学「全体主義化とアウトローの今後の道」(問題実話1999年9月号)。【日の丸・君が代があり、総背番号制があり、ガイドラインがあり、組対法3法があるという、明らかに全体主義化の方向というのは明確に見えてきている。/新しい全捧主義化の社会というのは、清潔な市民みたいな論理が優先する社会になっていくと思うのだが、そうなれば、排除すべき人というのがいっぱい出てくる。/PTAのおばさんたちのやっているようなことが社会の中心的なアイデンティティーになっていった場合、まずオレが排除されるだろうし、つぎは「問題実話」が排除されるという、そういう方向に進んでいく時代の境目が今なのであろう。/アウトローもいまのアウトローからもう一度ドロップアウトして、真のアウトローになるということでしか生きていく道がないのかもしれない。/いまの社会の中でわけのわからない差別とかを受けて、アウトロー全体としては変則的なマフィア化する方向にいかざるを得ない。だがマフィア化することによって得られるものは何もないという、時代の境目は、アウトローの境目にもきたのだ、とこう思うね。】
8月1日 『実話時代』1999年9月号「山口組最新情報」が「二人の若頭補佐の銃刀法裁判」を報じている。【七月二日…ボディーガードの組員が拳銃を所持していたとして銃刀法違反罪の共犯に問われた三代目山健組・桑田兼吉組長…に対する論告求刑公判…懲役十年を求刑した……ガードの組員が組長からの指示を一貫して否認し、もちろん本人も容疑を完全否認したにもかかわらず、東京地検は「拳銃所持は組長護衛が目的なのは明白だから、組長本人が所持していなくても、組長との共謀関係が成立する」という解釈によって、起訴……】に対して【懲役十年の求刑というのは、銃刀法違反事件では極めて重い、異例の求刑と言わざるを得ない】と評し、また【同様の銃刀法違反事件で逮捕・起訴された司忍・弘道会会長…が七月九日午後、保釈金十億円で拘留先の大阪拘置所を保釈出所】に対して【十億円の保釈金は史上二番目の高額保釈金で、被害額が巨額な経済事件以外では極めて異例なこと。十億円という額が奈辺からの判断から出されたものなのか、興味がひかれるところ】と評している。安田好弘弁護士に対する保釈請求が三度、東京地裁が認めたものを7月30日、東京高裁が却下(最高刑2年の強制執行妨害罪容疑に対してすでに勾留8か月)という事態は、支援運動の一部にあった“そこまではやらんだろう”という幻想を事実でうち破ったが、無数の「異例」は関連しあっており、国家権力の内的再編成の反映、すなわち日米ガイドラインにそった周辺事態法や内なるガイドラインとしての盗聴法などすべてファシズムへの構造的な法的整備の反映として一体のものである。「安田弁護士よりのメッセージ」は【借金を返済するか否かという民事以外の何ものでもない問題でさえ、声高に天下・国家を云々され、あるいは倫理に悖るとされて、断罪され、また、オウムというだけで住むことを拒否され、また家宅捜索を受ける事態を目の前にして、正直言って、私たちが有していた価値観と行動様式は、もはや存在できなくなった、すでに時代が変わったのか、とさえ実感させられます。】ときわめて的確に指摘している。民事不介入の権利を守りぬこう! 幻想を捨てて闘争を準備しよう!
7月30日 ICのページに李宇海(第二東京弁護士会所属)「安田会員逮捕と公共性の問題」。【安田会員が逮捕された後に告発した住管の中坊社長は、つねづね「弁護士の公共性」を言っている。……中坊流のこのような弁護士観は、弁護士業務に「それ自体としての公共性」という外延を設け、弁護士の依頼者に「公共性に親和した市民達」という内包を要求することになる。すると一見して分かるのは、ここでは犯罪者の人権を擁護するという刑事弁護人としての弁護士像は極端に薄れてくるし、凶悪犯罪者、組織的犯罪者ら社会・公共の敵達の人権を擁護しようとする弁護士像は跡形もなくなるのである。もっというと、中坊流の弁護士観は、悪い奴の人権や利益を擁護するような弁護士は、山之内弁護士と同じ目に遭いますよという公権力の恫喝を後押しするものに他ならないのではないか。このような中坊流弁護士観が、安田会員を世間の目の前で「屠ろう」とする警察・検察のやり方に協力し、逮捕後の告発というお墨付きを出した住管の手法として顕現していると思えてしかたがない。ことしの年初に法務大臣が「オウム事件や和歌山のカレー事件で、弁護士はあんなにひどいのかという国民の声が広がっている。」などと発言したらしい。一読しただけでは弁護士の何を非難しているのかよく分からないこの発言は、刑事弁護人という弁護士の役割の半分を根底から非難し、「世間の皆さん・善良な市民・国民」にとって要らないものだといっているように聞こえる。「戦後未曾有遊の凶悪組織犯罪の首謀者の裁判を、死刑廃止まで先送りさせることを狙って不当に遅延させる弁護団の主任弁護人などは、世間は要らない。」「善良な市民が楽しみにしていた夏祭に、カレーに毒物を混入させて四人も殺した夫婦に黙秘させるような弁護士を国民は許せない。」。法務大臣は国民に向けてこう言っている。そして、中坊社長はこの発言が出てきた場所のほんの少しだけ手前で、「欲にかられて云々」と安田会員を誹謗したのにほかならない。さらに、中坊流の弁護士観は、弁護士像としてだけでなく、弁護士も含めた個々人の利益をあたかも賎視している意味においても不気味である。個々人の利益より公共の利益を重んずる。個より公を尊ぶ。どこかのアホな漫画家と相似形をなす個的利益の賎視を感じさせる。そして、もっというと、戦前に忠君憂国思想をたたき込まれたであろう中坊社長は、その思想の器を残したまま、中身の「忠君愛国」を「公共性への滅私奉公」へと変容させ、個的利益を賎視することは変わらないまま生きていたのではないか、という思いを私は消せない。おそらく、中坊社長は、住管で戦後のご奉公をしたい、と思っているのだろう。そしてご奉公先は、清く正しく美しい市民社会であって、そのためには優秀で清く正しい警察とも大いに協力するとでも言いたげである。】全文必読!
7月25日 7月24日「なぜ、安田弁護士は保釈されないのか?! 7.24集会」が東京・星陵会館で開かれ、300人が参加した。集会では、はじめに「弁護団からの報告」として田鎖麻衣子弁護士が保釈請求の闘いの経過を報告、7回目は東京地裁の事件担当部が6回目の保釈請求却下にもかかわらず“自信を持って”保釈決定、これを却下した東京高裁は不当であること、また7か月をこえる長期勾留は強制執行妨害罪の法定刑(2年)にてらしても異常で不当だと指摘した。「パネルディスカッション」では、宮崎学さんが「安田弁護士逮捕は情勢と密接不可分。まさかそこまではやらないだろうと反対運動側はおされてきたが、肉感に裏打ちされた“やられたらやりかえす”闘い、たとえば検事や判事を名指しで社会的に批判することが必要」と述べ、辛淑玉さんは「盗聴法や住民基本台帳の問題など、指紋押捺のようにかつて朝鮮人にかけられた圧迫が、今そのまま日本人全体に加えられようとしているということに他ならない」と指摘、佐高信さん、海渡雄一さんと討議をかわした。「安田弁護士よりのメッセージ」が発表され、参加者は集会後、デモ行進で安田弁護士不当勾留への怒りを表明した。詳報は→メディアの辺境地帯・安田弁護士支援活動(3)
7月9日 大阪弁護士会(滝井繁男会長)は7月7日、安田好弘弁護士に対する東京高裁の再三の保釈取消しに抗議する「会長声明」を発表した。声明は【…この事件は、同弁護士が昨年12月6日強制執行妨害罪を被疑事実として逮捕され、同月25日に起訴されたのち、既に9回の公判を経て審理が相当程度進んだにもかかわらず、勾留が半年以上に及んでいることから、全国各地の3357名にも及ぶ弁護士から長期にわたる勾留に抗議する声もあがっている。これは、強制執行妨害罪という懲役2年以下と定めた公訴事実に照らし、このような長期にわたる勾留の異常性によるものであり、原裁判所が漸く6月11日に至って、…保釈決定したのである。これは遅きに失したとはいえ当然の決定であった。然るに、東京高等裁判所は、このような厳格な条件を付した上であってもなお、罪証隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとして保釈決定を取消し、更に、本月5日改めて厳格な条件を付してした上でした保釈決定をも再度取消したものである。然しながらも受訴裁判所が審理の経過を含めて諸般の事情のもとで罪証隠滅するおそれがないとして保釈決定しているのであるから、これを取消す場合にはその判断の請われる所以を具体的に措置すべきである。然るに、東京高等裁判所は、格別の理由を付することもなく、これを再度取消した。】とし、【近時、このような勾留実務の現状は、刑事訴訟法に定めた制度の趣旨を踏みにじるものであって、私達は到底容認できない。…私達は、この機会に、刑事訴訟法が本来の趣旨にたちかえって、基本的人権の保障を全うしつつ、事実の真相を明らかにするよう運用されることを求め、そのために弁護人として責務を果たすため全力を尽くすことを決意するものである。】と結んでいる。
7月7日 安田好弘弁護士に対して7月6日、東京高裁は東京地裁の保釈決定(7月5日)を取り消し、保釈請求を却下した。不当であり、満腔の怒りをもって抗議する。詳細は「社長日記(安田弁護士支援モード)」参照。
6月13日 権力によって不当に身柄を拘束されている安田好弘弁護士に対して6月11日、東京地裁刑事第一六部は「保釈許可決定」したが、同日、東京高裁第一刑事部は「原決定取り消し。保釈請求却下の決定」を出した。不当であり、許せない。
3月25日 『安田さんを支援する会 News』No.2、1999.3.15、安田さんを支援する会・東京(東京都港区赤坂2-14-13港合同法律事務所気付、FAX044-865-1445)は、3月5日に安田弁護士の接見禁止が解除されたことを報じ、「しかし、残念ながら東京拘置所の面会は1日1回です。現在、家族や裁判関係の打合せのための面会が連日予定されていますので、しばらく一般の面会はお控えください。手紙は届きますし安田さんも楽しみにしているそうです(宛先:東京都葛飾区小菅1-35-1A安田好弘様)。ただし、みなさんに直接返事を出すのは、獄中にあっても公判の準備等でいよいよ多忙になる上に発信数の制限もありますので当面難しいかと思われます。ご理解とご協力をお願いします。」と訴えている。【第2回公判:3月29日(月曜)、第3回公判:3月30日(火曜)、第4回公判:4月21日(水曜)(予定)、いずれも東京地裁、午前10時から ※整理券交付の締切は9時20分です。それまでに並んでください。】
3月22日 『安さんの会NEWS 第9号』1999年3月19日付は、裁判所による麻原裁判国選弁護人解任策動を伝え、安田好弘弁護士が3月15日に麻原裁判担当の東京地方裁判所刑事第7部に対して提出した以下の意見書を載せている。【●安田好弘意見書●私において、辞任を申し出る意思はありません。また、私が解任されるとすれば、それは不当であり、およそ承服できません。 私が麻原法廷に出廷できないのは、これを妨害されているからであって、私の意思によるものではありません。私は従前どおり、弁護活動に従事する意思を有しています。私は無実であり、私に対する身柄拘束は不当です。これらは、いずれも捏造された証拠によるものであり、私をして麻原法廷に出廷させなくすること及び私を解任させることを目的とするものです。裁判所は私の復帰を待つべきであると考えます。私は、弁護士会の推薦を受けてこの職にあり、弁護士会の仕事の一つとして執務してきました。裁判所にあっては、弁護士会の意見を十分に聴取されるよう求めます。なお、資料として、私の裁判における私及び弁護人の意見書を別途提出します。】
3月6日 宮崎学「いうとくけど、『白い清潔なファシズム』進行の中での安田事件、なんやで」。【都知事選挙や、「地域振興券」ばらまきで、自民党はほぼ、公明の取り込み作戦を成功裏に完了しておる。つまり、これの意味するところは、組対法、ガイドライン法案、君が代法制化、その他、戦後50年、日本のある種の層が長年の「悲願」であった内容を、論議なしに通せる時代がくる、ということである。その触手のひとつが今回の事件、法曹界における住管機構による、「安田逮捕」であり、「職業によって立つ人間集団としての掟の崩壊」である。それを可能にしたのは「わしは正義の為にはたらくので給料いらない」程度のクサイ芝居でコロリとだまされるマスコミを利用して国民を手玉にとる中坊という化け物みたいなおっさんの詐術であった。中坊がいうたことやのうて、やったことをみたらすぐわかる。バブルを産んだ、国民の税金をパアにしてしもた真犯人の大蔵省、銀行、政治家の誰も告発なんかしてないで安田をやり玉にあげて責任転嫁しようとしよった。それがこの事件、「住管機構」すなわち国家権力をクライアントにした弁護士による身内への脅迫」の実現、警察、検察、マスコミ「ダンゴ3兄弟」化による今回の本質であった。政治レベルでは組対法、ガイドライン法案、君が代、日の丸法制この動きは、一見無関係にみえるが実は「ソフトな戒厳令、国家非常態勢動員令」すなわち「白い清潔なファシズム」まで一気に実現可能な道の舗装工事、の一環なんや。】
3月5日 3月3日、東京地方裁判所において安田好弘弁護士に対する強制執行妨害被告事件の初公判が開かれた。安田好弘弁護士による「公訴事実に対する意見書」は【私は無実です。私は起訴状に記載されている各行為を行ったことはありません。ここで、どうしても云わなければならないことがあります。それは、私が無実であるばかりでなく、共犯とされている孫忠利さん、その息子さんである孫尚明さん、そして和泉賢一さん、齋藤勇さんをはじめ、有限会社スンーズエンタープライズ(以下「スン社」といいます)のすべての皆さんが無実であるということです。そしてまた、本件事件が、住宅金融債権管理機構(以下「住管」といいます)、警察、検察によって作られた事件であるということです。……住管は、預金保険機構の強大な強制調査権を背景とし、警察、検察と一体となって、民事問題を刑事問題とすることによって、問題を解決しようとしているものであって、それはおよそ尋常な経済行為とはいえず、経済秩序を根底から破壊するものです。彼らは、住管に服わぬ者に対し、警察と連携して、過去何年にもわたって事実を掘り返し、その中で少しでも法に牴触するものがあれば、これをネタにして返済を迫り、あるいは問答無用でいきなり刑事事件とすることによって、他者を威圧しようとしているのです。】と述べている。ぜひ全文を読むことを訴える。あわせて主任弁護人・石田省三郎による「意見書」も必読。
3月2日 宮崎学「けいさつ・けんさつのしょくん安田弁護士を再逮捕したらわしの本売れてまうでえ」
2月28日 承前、宮崎学『地獄への道はアホな正義で埋まっとる』太田出版。宮崎は中坊公平と住管機構こそファシズムにほかならぬことを暴露している。【ファシズムは、いつも同じ顔をして現れるわけやない。…危機が前〔全〕面化すると、建て前が崩れて国家と金融資本が一体になって露骨に動き始めるっちゅうことや。金融制度の危機が深刻化してきて、国のほうも猫の手も借りなければどうにもならん。恥も外聞もなく金融資本の利害を押し通す、国の対策という御旗をかかげてな。聞いたことのある話やろ。つまり、中坊が住管機構でやっとることや。……イタリアのムソリーニは、テクノクラート(専門家)を多数登用し、国家資金に基づく公社や事業団を続々作って、経済や社会に国家の介入を強めて行政機関と官僚層を肥大させた。住管機構に多くの弁護士を登用し、弁護士はパブリック性が大事で行政に積極的に関与せなあかんと言っとる中坊はそっくりや。いわゆるテクノクラート・ファシズムやな。これが上からのファシズムや。…住友銀行と派手なケンカして、住管は金融資本にも身勝手は許さないというイメージを作り、NHKはそれを後押しするようにスペシャル番組まで放送しとる。中坊は急所を押さえとるんや。これが下からのファシズム。上と下から国をまとめあげ、国民を一心同体の翼賛体制に仕立てようという腹や。非国民は排除する。まして非国民の肩を持つ弁護士は許さんというシナリオやな。】
2月27日 承前、宮崎学『地獄への道はアホな正義で埋まっとる』太田出版。宮崎は中坊公平型の「正義」の論理のおそろしさをこう糾している。【正義は恐ろしいもんや。ヤクザは正義では人を殺さない。義理で人を殺す。でもどんなすばらしい義理があって殺したって、せいぜい二、三人や。ところが正義という名前のもとでは、いくらでも殺せるんや。…中坊に言わせれば、この正義の執行を待っているのが、市民と言うわけや。だけど、その市民の論理は、もはや権力の側に組み込まれた論理だということに気がついておいたほうがいい。だけど、わしはいろいろなものを排除し、自分だけきれいでいようと言う市民の論理を認めない。むしろ市民という言葉のオブラートが、自分たちを弱くしていると思うんや。それより、人間は動物であるという前提から始めたほうがいい。つまり、歴史は進んでいく。その時間的な進行の過程で、削ぎ落として行くものがある。破壊して行くものがある。それは近代合理主義的な発想が、あるいは市民的な発想が、そうでないものを排除して行くという構造になっているんやけども、それが排除しているものの中にこそ、むしろ人間として、あるいは動物たる人間として残しておかなければいけないものがあるんじゃないのかと。…中坊はそうした影である、社会のゴミであるアウトローと、経済のゴミの産業廃棄物を正義の名のもとに清掃しようとしている。お清めをやろうとしている。でも、ゴミはゴミとして現実に存在しているんや。不可欠なものとして今までもあったし、これからだってさまざまな形でありつづける。】必読!
2月25日 宮崎学『地獄への道はアホな正義で埋まっとる』1999年2月、太田出版、ISBN4-87233-446-9。安田弁護士を不当逮捕した国家権力に対する闘いの宣言。宮崎は「おわりに」で丹生谷貴志(『文藝』98年冬号)を以下のとおり引用し「国民の支持」を掲げた権力の犬どもを暴露している。【国民という集合概念には常にそれに離反するアナーキーが含まれてしまう。(略)離反者、無関心者、アウトロー、或いはまた「女」、病床の老人、子供、知的障害者のようにそれをまったく受け付けない絶対的に別の者までもが「国民」の名で無理やり統括されている。逆に言えば、「国民」は「理念」としての「ドイツ国民」「日本国民」といったものに解体的に働くものを含まざるを得ないのである。(略)、「国民一体」といった「理念」の暴力的な捏造が要請されもするのである。……自らの「絶対」を内包しようとするあらゆる「理念」は本質において、或いはむしろ実質上、暴力、排除、抹殺を正当化するものに他ならない。】
2月24日 宮崎学「第一回公判の翌日、3月4日に安田弁護士は再逮捕される」。【やつらの真の目的は、「権力に逆らう弁護士はこうなる」という弁護士界への見せしめ、なのだ。「いつでも、わしらがその気になったらこういうことをお前らにしてみせる」という脅しやね。それには最強の弁護士を叩きつぶすのが一番早い、ということなんや。…警察・検察の真の狙いはそこにある。「弁護士が本気で被告人の弁護ができないような状況」を作り出す。警察・検察万能の社会、すなわち、被告人を「思想」もふくめた「権力ににらまれた存在」という一種の「身分」で裁ける体制を確立したい、ということである。 警察・検察ににらまれたら「悪」とされ、その時、弁護する力強い弁護士もいない状態、というのは考えてみたらなかなか恐ろしいものがある。ルール違反、もええとこで、「司法の枠組み」そのものを破壊する行為である。が、これまた権力と、その下僕になりさがったマスコミによって「正義」の名において行われようとしとる。】
2月22日 栗原幸夫「私が右派言論を読む理由」。栗原は【いま、右派の言論は元気だ。…彼らの自信は彼らの言論が大衆を獲得し始めている、つまり確かな手応えを感じ始めているところから生まれているのだから。…なぜ人びとはファシズムに魅せられたのか。戦後の社会科学研究の大きな部分が、この「なぜ」の解明にささげられたにもかかわらず、その成果はアカデミズムのなかに閉じこめられ、現実の運動や思想闘争にほとんど組み込まれていない】という問題意識から出発し、『正論』3月号の小林よしのり発言「この『戦争論』が五十万人、これは熟読した数ですからね(拍手)、そうなるとかなりの変化が世の中に起こってきているんじゃないか…庶民感覚の段階では随分変わってきてるでしょう。そこに対して本当に届くような言葉を向こう側から投げかけてこないかぎり、もう向こうの方に勝ち目がないという状態が来てるんだと思いますよ。」を引き、【敵に図星を指されたときの無念さだけがのこる。なぜわれわれの言論はかくも無力なのだろうか。その答えは私には自明であるように思える。安全だからだ。「つねに正しい」からだ。思想上の冒険もせずに「つねに正しい」という程度のところで自慰的に垂れ流される言論に、この大動乱の時代に生きている庶民のこころをとらえる力がないことは明らかではないか。…「そこ〔庶民〕に対して本当に届くような言葉を向こう側から投げかけてこないかぎり、もう向こうの方に勝ち目がない」という小林の忠告はありがたくうけたまわる。そのうえで、「届く」ためには何が必要かと言えば、それはラディカル(根底的)であることと「芸」を身につけることだとおもう。】と指摘している。そのとおり。しかし、総力戦体制下では翼賛側か抵抗側か中間はない、このことを個々人が翼賛側に協力するかどうかという倫理の問題に転倒させる決意主義が少なくない。報道被害の問題でも、労働強化に抗しえないマスコミ労働運動の再興なしに「記者の良心」による解決がありうるかの主張は幻想だ。またたとえば「オウムやヤクザは悪い」という「世論」をバックに国家権力が安田弁護士を逮捕・拘束しているいま、「安田弁護士のようないい人がそんな悪いことをするはずがない」という内面の良心と倫理によりかかった運動にとどまっていては、「麻原のような悪者があんな悪いことをしていないはずがない」という翼賛の側の予断と偏見に対する根底的(ラディカル)な批判たりえないのだ! 拙稿 「なぜいま安田弁護士問題なのか?」参照。
2月21日 宮崎学「「ダンゴ兄弟」になって、おまえら、どないするねん?―警察がガサ入れした日新開発の、前顧問弁護士は住管機構の幹部だった」。【これは日本を支えてきたシステムの根幹の問題だ。警察と弁護士は対立するものではなく、おおっぴらに国家権力の枠の中でもたれ合い、それに従わない弁護士は排除される時代の始まりだ、ということである。つまり、今、従来の弁護士と国家を代表する権力が一種の緊張関係を保って論議を闘わせるという法曹システムはまさに崩壊しつつある。今回の「安田逮捕」という事実はそのその一連の流れの中で起きたことなのだ。「タイタニック」が衝突、沈没した氷山は見えない水面下が何倍も巨大である。「住管機構」というのは日本の官僚・政治家、資本家のエスタブリッシュメントたち「豪華バブル客船」の沈没とその結果起きた国民的憤激を押さえ込むために生まれたイチジクの葉のような組織であり、そのシャッポの中坊を例によってマスコミが持ち上げて「英雄」にした。】
2月17日 宮崎学「安田弁護士逮捕事件の背景」。【大半の人は、安田というのは住専の悪者の弁護士で、あの麻原の弁護をやっているのだからパクられても当然だ、っただろうが、日本で最もまともな弁護士の一人がパクられたのである。これは不良債権の処理という、極めて経済的で、そして、国家政策的なものが、日本の中にあった弁護士の存在そのもののシステムを壊し始めたということなのである。…ところが、ことは民事の債権の問題のはずである。金を貸している人と借りている人の間題なのであって、金を貸している人は何とか回収しようとし、金を借りている人は何とか逃げようとする一このせめぎ合いを法廷という場でやるわけで、これは民事の裁判なわけだ。だから当然として、取り立てる方だけに正義があるとは限らない。借りた方にだって言い分があることが非常に多いのである。借りた側の自已責任ということが、いまはまかり通っているが、その延長線上に住管機構(住宅金融債権管理機構)というのがあるのである。だがこれができた背景に何があったかというと、6千億の税金を不良債橿の処理のために使うというので、国民の反発が強くあったのである。そこでこういう機関を作ってやれば大丈夫ですという、アリバイのために作られた機関なのである。その後、これを突破口にして何10兆円という税金がさらに流れていったわけだが、今回、安田弁護士を訴えた住管機構というのは、国の失政をおおいかくす無花果の葉といえる。国を挙げて、いまの経済政策の失敗をごまかそうとして住管機構を作ったのだが、経済的な不況からくる日本のエスタブリッシュメントの焦りというものが、安田弁護士の逮捕の背景なのだ。】
2月12日 ▼『インパクション』112号、1999年2月15日、インパクト出版会、ISBN4-7554-7118-4、が緊急特集「安田弁護士不当逮捕を考える」。▼宮崎学「『安田保釈申請却下』の理由は、なんと当ホームページだった!」。緊急出版!2月25日発売、書き下ろし新刊、安田弁護士事件を考える「地獄への道はアホな正義で埋まっとる」宮崎学著、太陽出版刊、定価1100円+税。
1月26日 1月23日、東京・赤坂区民センターで「安田好弘さんの不当逮捕を考える集会」が開かれた〔主催:安田さんを支援する会・東京〕。「安田弁護士を支援する社長日記」と「メディアの辺境地帯」で報告されている。「安田好弘弁護士からのメッセージ」は必読。
|