12月31日 ▼綿井健陽 Web Journalに、「12月22日=サマワのオランダ軍司令官散髪の実際の様子」03.12.22。→共同通信配信記事「オランダ軍厳重警備で散髪 神崎代表視察に疑問符 日本人ジャーナリスト撮影」.12.22ほか。▼オンラインマガジン「ゑれきてる」に、山本啓之「微生物から見えてくる地球生態系」(上・中)2003.12、【私たちは微生物の存在を実感することは滅多にありませんが、微生物は、私たちが生きていく上で欠かせない存在で、この地球の生態系を支えています。微生物の生態系からは、自然のふるまいの多くのことが見えてきます。その一つが、生き残る手段としての共存、共生です。微生物の進化、生態について海洋科学技術センター、海洋生態・環境研究部の山本啓之さんにお話をお伺いしました。〔…〕】。
12月30日 ▼「労働力調査(速報)平成15年11月結果の概要」03.12.26総務省統計局。▼韓統連のサイト(ホットニュース)に、「「国民行動」、イラク派へイ反対第2次韓日民衆共同宣言を発表」.12.18民衆の声、【「イラク派兵反対非常国民行動(以下「国民行動」)」は18日午後1時、ヨイド国会前の国民銀行前で、「派兵反対集会」を開き、イラク派兵に反対する第2次韓日民衆共同宣言を発表した。】。→「イラク派兵に反対する韓日(日韓)民衆の第2次共同宣言(12/17)」。
12月29日 ▼国語学会(データベース委員会・情報電子化委員会)が、「『国語学』全文検索」を公開、運用中(last update 2003/12/24)。【国語学会 機関誌『国語学』(創刊昭和23(1948)年)の全文検索と、該当ページの画像の pdf による提供を行います。/現在の処、1〜100輯の殆どと、180〜199輯が検索可能です。 101〜179輯に就ては、今後検索可能になる予定です。】。
12月28日 ▼「本の会」のサイトに、今月の本の会の案内として、大貫伸樹「装丁探索」2004年1月23日(金)午後6時30分〜、文京区民センター3C、会費:3000円、【本がどんどん作られて、年間7万点ともいわれています。すべての本が装丁という衣装を着せられて送り出されてきます。このたび『装丁探索』(平凡社)を上梓されました大貫伸樹氏に装丁の醍醐味を語っていただきます。】。▼「また誤記発覚…東京書籍はつらいよ」03.12.19スポニチ、【教科書出版最大手の東京書籍(東京都北区)の中学地理の教科書「新しい社会 地理」に53カ所の誤記があることが分かり、同社は18日までに文部科学省に訂正申請し、承認された。同社の中学の歴史や公民の誤記が計12カ所に上ることも判明した。地理では米国の面積936・4万平方キロメートルのけた数の「万」が抜けていたり、全国の市町村数「3230」を「1230」と記載する誤記が14カ所あった。同社はこれらの誤記について、4月と9月に発行した採択校向けの冊子の中で訂正したほか、誤記が多かった地理の索引部分については、約120万部を印刷し直して年明けにも、使用している生徒全員に配布する方針。/同社は、公民の教科書でも新潟県中里村の「雪国はつらつ条例」を「中里町 雪国はつらいよ条例」と誤記したことが問題になったばかり。】。
12月26日 ペシャワール会のサイトに、中村哲「国際正義という暴力 ペシャワールから沖縄へ(9)」03.11.23沖縄タイムス。【11月2日、私たちPMS(ペシャワール会医療サービス)が用水路建設中、突然米軍ヘリ2機が旋回してきたかと思うと、機銃掃射を加えた。岩盤掘削の発破作業をロケット砲発射とでも誤認したらしい。作業地の平和は吹き飛ばされた。作業地のクナール州に現在、米軍兵力が続々と集結している。/われわれも殺気立っていた。取水口付近にある大河は、幅約1.5キロ、冬場に水位が低下する。数カ月後には、再び高さ3メートル以上の雪解け水の洪水で、河川敷一面が濁流に覆われる。それまでに、何とか取水口および初めの3キロまでを完了していないと、大変なことになるからだ。PMS職員と近隣農村の作業員、計600人は、必死の突貫工事を続けていたその矢先である。/ダイナマイトの不発弾の導火線に着火しようとした職員が至近距離にいて、タオルを振り、作業現場であることを知らせると、誤爆であることを知ったのか、山向こうへと飛び去った。誰もが怒りを隠さなかった。皆にソ連侵攻時の記憶が鮮やかによみがえった。/だが今騒ぎを起こせば、工事が遅れる。なにせ、この水路完成で十数万人が生きれるか否かの瀬戸際だ。怒りを胸に収めて、さらに工事のピッチを上げねばならなかった。/アフガン人の9割が農民である。今彼らが欲するのは食糧と平和な村々の回復である。東部アフガンは未曾有の旱魃で耕地が砂漠化し、大量の難民が発生している。流民化した人々が大都市に流れ、治安悪化の背景をなしている。建設中の用水路は人々の帰農を促し、少なからず復興に寄与するだろう。/にもかかわらず、このところ現地では、米軍による誤爆が頻繁に起こり、住民の敵意は高まっている。米軍の行くところ、血なまぐさい事件が絶えない。治安が悪いから米軍が行くのか、米軍がいるから治安が悪くなるのか、おそらくその両方だろう。だが、2001年10月の米軍の空爆と占領があるまで、アフガニスタンは世界屈指の治安の良さを保っていたということは述べておかねばならない。/私たちが米軍から攻撃を受けたとき、日本の関係者は一様に「タリバンの襲撃かと思った。まさか…」と当惑した。折からカブールの国連やNGOの間では外国軍の地方展開が主張されていた。「治安が悪く、復興支援できないから」という主張が横行している。確かに現在、イラクでもアフガニスタンでも、米軍に対してだけでなく、国連組織や国際赤十字、外国NGOへの襲撃事件が盛んに伝えられている。地元民から襲撃を受け、すでに撤退した国際団体も少なくない。「人道支援に赴いたのになぜ?」といぶかる日本国民も多い。/だが、その背景が分かりにくいのは、現地の実情と圧倒的多数の民衆の声が届かないからである。現地住民が反発するのは、そもそも復興援助が軍事介入と不分離で、民意をくまぬ支援が外国人を満足させるアイデアで行われるからだ。「タリバン政権は問題もあったが、アメリカはもっと嫌だ。援助なら爆弾でなくまずパンをよこせ」というのが大方の本音だろう。一部の大都市住民を除けば、パン代わりに石が、魚の代わりに蛇が与えられたといっても過言ではない。/地元民は「タリバンの代わりにデモクラシーがきた」と述べている。しかし、大っぴらにそんなことを言うと、「タリバン=アルカイダ協力者」と烙印を押されて葬り去られる。デモクラシーと称する一種の恐怖政治である。アフガン人はアラブ人と異なって率直に表明しないが、米軍が来年夏ごろ撤退するのを見越して、黙っている。このままでは収まらないと誰もが感じ始めている。/結局、米英などの外国軍の軍事的干渉は、ろくな結果を生まなかった。純粋に人々が生きるための支援なら、軍隊など要るはずがない。皆がこぞって守ってくれる。これまで、PMSは少なくとも地上で、一度も攻撃を受けたことがない。私たちは「テロリスト」からでなく、ほかならぬ「国際社会の正義」から襲撃されたのだ。/その上、日本がこの「正義」に同調し「軍隊」まで派遣するとなれば、今度は地元からも敵視され、私たちが攻撃の的になりかねない。既にPMSでは日章旗とJAPANの文字を消し、「日本政府とは関係ない」と明言して活動せざるを得ないありさまである。/それでも、私たちは用水路を掘り続ける。日本人の誇りというものがある。国旗を引き裂いても、人の命は守られるべきだ。平和は軍事力以上に積極的な力である。日本には独自の道がある。「平和国家・日本」は、私たちの祖先が血を流して得た結論のはずである。/今、国是たる平和主義を非現実的だと疎んじて、米国の軍事力行使だけでなく、自衛隊の派遣すら是認する内外の風潮は、過去の戦争で犠牲になった人々を愚弄するとともに、米国と没落を共有する危険極まりない選択だと言わねばならない。】。
12月25日 承前(.12.24速報のみ)。「安田好弘弁護士に無罪判決 東京地裁、住専捜査に疑問」03.12.24京都新聞、【オウム真理教松本智津夫被告(48)=教祖名麻原彰晃=の主任弁護人で、住宅金融専門会社(住専)の大口貸付先に資産隠しを指南したとして強制執行妨害罪に問われた弁護士安田好弘被告(56)の判決で、東京地裁は24日、無罪(求刑懲役2年)を言い渡した。/川口政明裁判長は検察側を「捜査段階の関係者聴取には不当な誘導があったことがうかがわれ、、公判で不利な事実を隠すような態度もアンフェア」と厳しく批判。「立証には重大な問題があり、犯罪の証明はない」と結論付けた。/共犯とされた不動産会社の社長スン・チョンリ被告(68)らの1、2審の有罪判決(上告中)は、安田被告の「指示」を認定していた。住専をめぐる事件では、ほかにも無罪判決が出ており、当時の捜査に疑問を投げ掛ける声が強まりそうだ。/検察側は控訴の方針。/▽安田弁護士無罪判決の要旨/強制執行妨害罪に問われた弁護士安田好弘被告に対し、東京地裁が24日言い渡した無罪判決の要旨は次の通り。/(検察側は被告がビルを関連会社に転貸したように仮装し、賃貸料約2億円を隠したとしているが)被告は(転貸によって)従業員の雇用確保を目指した「分社サブリース構想」を案出したとしている。被告主張の「分社サブリース構想」はあくまでも実体のあるサブリースを目指したものであると認められ、(作成した)チャート図についても検察官主張のような「強制執行妨害策の指南図」とみることはできない。/このような被告主張の実在性にかんがみると、公訴事実は被告の構想と全く異質であり、被告の公訴事実への不関与をうかがわせる。/「麻布ガーデンハウス」についてのサブリースは海外への売却準備のために組まれた可能性が高いというべきだ。従業員Sの証言をはじめとした謀議の実在性をいう供述証拠には、いずれも内容の不自然さや重要な点についての変遷があり、にわかに信用することはできない。謀議の実在性については、これを支える供述証拠の信用性の観点だけからしても多分に疑問がある。/検察官は被告がスンーズ社の財産確保のために方策を指示・指導していることをもって被告の関与を推認させる間接事実であると主張する。しかし、このような主張は債務超過に陥っている会社の任意整理を受任した弁護士にはいささか酷に過ぎる。検察官指摘の被告のタフ・ネゴシエーターぶりは分社サブリース構想を実現する強い意志と十分な能力があったことの証左として無罪方向に評価すべき側面も多分にあることを忘れてはならない。/(従業員Sの検察官調書は1998年11月3日付と22日付の2種類があるが)両者間に大きな食い違いがある。3日付調書では分社サブリース構想についての話が被告からあったことを認めた上で、サブリースの外形を整えろと言っているのだと気付いたとの趣旨だが、22日付では被告がはっきりと強制執行妨害を指示するようになったと述べられている。/被告による犯行の指示に直接関係する事柄に極めて大きな供述の変遷があったことは誰の目にも明らかである。しかるに、その変遷の理由については調書上何ら触れられていない。供述の変遷については検察官の意向が色濃く反映され、検察官の強い主導でこれらの調書が作成されたことがうかがわれる。/しかるに検察官は後者の調書だけを証拠請求し、前者の調書の存在については弁護人からの証拠開示の請求があって初めてその存在および内容が明らかとなった。/以上のような検察官の調書作成経緯やその内容からは捜査官の強引な誘導があったことが強くうかがわれる。〔……〕/よって公訴事実は犯罪の証明がないことに帰するから被告に対しては無罪の言い渡しをする。】。関連:「無罪判決の安田弁護士が怒りの会見」03.12.24日刊スポーツ。
12月24日 ▼「強制執行妨害事件:被告の安田好弘弁護士に無罪判決 東京地裁」03.12.24毎日。関連:小柳次郎「安田弁護士を支援する社長日記」(12.24の項) / 山下幸夫「中坊弁護士の起訴猶予処分の意味について考える」 / 読書録総集編「安田弁護士問題」。▼新刊! すが秀実『JUNKの逆襲』2004年1月、作品社、ISBN4-87893-589-8、本体1800円。第1部・「文学」の現在と、webにおける「論争」/第2部・「1968年革命」と、「大学」をめぐる諸問題/第3部・ポストポリティクスのなかの「政治」/第4部・時代の迷妄の証明としての「時評」。すがは「あとがき」で【〔…〕ジャンク的な拙稿のみを収めた本書は、『革あ革』〔=『革命的な、あまりに革命的な 「1968年の革命」史論』〕に随伴するものであるのみならず、今なお「六八年の革命」に随伴しようとした書物であり、それ以上にトータルな書物であることを破棄してジャンク化しようとしたものであると言える。時事的な要請によって、アジビラたらんとして書かれた本書所収のジャンク的な文章は〔…〕、個々に見れば重複もあり矛盾も露呈していようが、それはそれで肯定しておきたいと思う。】と書いている。関連読書録:03.05.12付。
12月20日 ▼承前、岩崎稔・本橋哲也・道場親信「座談会・二〇〇三年の思想界をふり返る 占領と戦後をどう考えるか」〔『週刊読書人』第2518号03.12.26付掲載〕。【岩崎 でもね、『「拉致」異論』と『秤にかけてはならない』の間には、微妙な対立が孕まれていますし、それは見逃せないことなのではないでしょうか。太田さんは日本人として戦後の反対運動をどう考えるかという位置から、その時期の日本における韓国や北朝鮮をめぐる言説の批判を行っていますが、まさにそれと同じ時期に、徐さんは自分の兄弟が獄中に囚われているという状況の中で発言を強いられた。その位置の違いや冷戦下の権力配置からくる緊張感を考えざるを得ない。太田さんは、佐藤勝巳らの「変節」のプロセスを追うというプロットの中で考えていますが、その内省の仕方に、連合赤軍事件の時に、もっと遡れば六〇年安保闘争の直後に、さらに遡ればスターリン批判の時に出た戦後左翼の自己批判の定型が反復されてはいませんか。小嵐九八郎の『蜂起には至らず――新左翼死人列伝』(講談社)や今年出た小野田襄二の『革命的左翼という擬制 一九五八―一九七五年』(白順社)、[すが]秀実の『革命的な、あまりに革命的な――「1968年の革命」史論』(作品社)も連赤や「内ゲバ」など、新左翼の裏面史のようなことを語っていますが、例外的な部分を除いてほとんどが思い出になっており、思想の問題、歴史の問題として考えられていない。主体的な反省という話で留めている限りは、なかなか先に行けないと思う。それに金鶴泳の評価の仕方など、すごく一面的な掬い方になっている箇所もあります。太田さんに辛すぎますか。ただ、この点を見すえつつも、同時に手を携えて大きな拉致「異論」のうねりを作ることは急務だと思います。/本橋 難しい問題ですね。『インパクション』の特集「『北朝鮮』異論」の中で、栗原幸夫さんが太田さんの議論に触発されて、左翼運動に対する自身の反省とアンバビレントな今の思いを語られています。太田さんの本が、それだけの思考を促す力を持っているのです。それはノスタルジーとはまったく別のレベルのことだと思うのですが。】。▼「科学技術研究調査」03.12.16総務省統計局。
12月19日 岩崎稔・本橋哲也・道場親信「座談会・二〇〇三年の思想界をふり返る 占領と戦後をどう考えるか」〔『週刊読書人』第2518号03.12.26付掲載〕。【本橋 いま道場さんから占領と戦後をどう考えるかという今日の一つのテーマについて、植民地支配の問題をきちんと考えていくべきだという問いかけがありました。一年間の総括をする意味でそのことを出版物から見ていった時に、今年まず挙げられるのは〈北朝鮮〉という問題でしょう。〔…〕私たち自身、メディアの影響もあって「拉致」の呪縛から全く離れていない。そうした状況の中でどのような発想が可能かという時に、私たちは今年、正論と言うべき二冊の本を得ることができました。一つは太田昌国さんの『「拉致」異論』(太田出版)〔…〕もう一つは徐京植さんの『秤にかけてはならない』(影書房)〔…〕多分この二つのとても優れた仕事の親近性と差異を見極めることが、まず大事なのではないかと思います。/岩崎 『「拉致」異論』は、たしかに「家族の物語」の洪水に抗して出てきた最初の「異論」として効果的でした。一番印象的なくだりは、アメリカの軍事戦略に強いられて国交回復をした六五年の日韓条約をめぐる部分です。その時期の社会党の石橋政嗣の国会質問がなんと無残な内実であることか。戦後「左翼」が日本の植民地支配についてかくも鈍感であったことに、あらためて打ちのめされます。/道場 社会党は「北方領土」問題に関しては全千島・南樺太返還論でした。六〇年代には全千島のみになりますが、領土問題については大セルビア主義と同じような意味で大日本主義であったといえるかもしれません。それがどうして成り立ち得たかというと、保守派は占領者であるアメリカと癒着して民族的要求を掲げ得ない、本当の利益を代表しているのは自分たちだという意識もあったのではないかと思います。小熊英二さんが『〈民主〉と〈愛国〉』(新曜社)の中で革新ナショナリズムの問題を詳しく展開されていますが、これを東アジアの占領と冷戦というマクロな配置の中に置いてみる、という作業が必要だと思います。和田春樹さんが『朝鮮戦争全史』(岩波書店)の中で書いているように、朝鮮戦争が休戦になるまでは、東アジアはまだ戦後の秩序再編成の時間の中にあって流動していたわけですね。朝鮮戦争の戦後処理をめぐって最終的に東アジアの戦後秩序が定まっていく。和田さんによれば、一九五〇年のコミンフォルムによる日本共産党への批判は、基本的に朝鮮戦争との連続性、東アジア革命に向けての武装闘争の要求という連関の中で読み解かなければいけない。武装闘争がなぜ放棄されたかと言うと、五三年七月に朝鮮戦争が休戦になって必要なくなったからです。〔…〕今年はそれからちょうど五〇年ですね。平和共存を選択して武装闘争がいらなくなり、六全協になる。〔…〕こうした「平和共存」の枠組みによって、実のところどういう力の場の中で地域が再編され、何が分断されていくかという問題は見えなくなったのではないかと思います。】。
12月18日 ▼四方田犬彦「歴史とノスタルジア 『ハイスクール1968』連載を終えて」〔聞き手:河村信、『情況』2004年1・2月合併号掲載〕。【四方田 〔…〕七〇−八〇年代にはずっと映画批評を書いてきましたが、九〇年代になって『朝日ジャーナル』が廃刊となり、映画批評を書きたい場所がなくなってしまいました。/――それは、物理的な話ですか、それとも……?/四方田 まず単純に、雑誌が無くなるということです。それから、映画批評自体が求められなくなっていきています。〔…〕/――膨大な量の映画日記のサイトや掲示板がありますからね。/四方田 それだけ見れば、情報量としては大体分かる。そこで僕が雑誌に一二〇〇字の文章を何かに書いたとしても何の意味も無いわけです。あるいは、それと同じになってしまう。インターネットの方はまったく署名もないし、書きっ放しの、書いている主体の責任を問わない文章がいっぱいある。私はそれは出来ない。映画批評は匿名性の洪水の中に埋没して、もう、ほとんど消滅したと思っています。/――その匿名性は、かつて四方田さんがされていた匿名批評と全然意味が違いますよね。匿名の意味が変ってしまっている。/四方田 匿名批評の匿名というのは、むしろ、書いている人間の道徳的選択を強くさせる。「誰なんだろう」という形で。そういうものと今の、インターネットの匿名性は意味が違いますね。インターネットでなにか、僕は見ていませんが、「四方田犬彦は本当は日本人じゃない」とか延々書いている人がいるらしいんですよ。〔…〕確認する気もないけど。そんなこと誰が言っているのか分からない。でも、それが、インターネットの本質だと思います。それは、僕がスウィフトをやったからそう思うかもしれないけど、「ヤフー」ですね。ガリヴァー旅行記の第四の航海で出てくる、野蛮で数が多くて、卑屈で捕まえようとしても群の中にすぐ隠れてしまう。そういう猿のような人間、それが「ヤフー」なわけです。】。
12月17日 ▼「日刊ベリタ」03.12.14付に「「アメリカよ、目を覚ませ!息子、娘たちを無駄死にさせるな!」 イラク帰還兵が逮捕覚悟で惨状を証言」。【食料と水の不足で危機的状況に陥る米軍部隊、米兵の死傷者数の増大と同時進行するイラク民間人のおびただしい死、家族の悲嘆、クラスター爆弾による孤児たちの虐殺…。イラク戦線から帰還したばかりの米軍下士官兵が、米ジャーナリスト団体「メディアにおける自由思考連合」(CFFTM)とのインタビューで「地獄」の惨状を告発した。軍規違反による逮捕を覚悟で米国民に真実を知らせたいと願うこの兵士は、中・低所得層の兵士たちの血を吸って肥え太るブッシュ政権関係者の行為をイラクと米兵への卑劣な犯罪と糾弾し、米国民はいまこそ「戦争の大義」の欺瞞に目を覚ませ、と訴えている。(TUP速報=ベリタ通信)〔…〕】。→英文原文。
12月16日 ▼四方田犬彦「キッチュの北京」〔『週刊ドドンパ』03.12.16〕▼韓国人権国際センター「韓国人権ニュース」第234号(03.12.13付)に、「盧政権1年目の人権状況は「参与政府」の看板にほど遠い 民弁が2003年韓国人権報告大会で指摘」(参与連帯.12.08)。【民主社会のための弁護士のつどい(民弁)は12月8日、「2003年韓国人権報告大会・討論会」で、盧武鉉政権1年目の人権状況を「一部にわずかな進展があるが、依然として多くの分野で改善課題が山積しており、一部では人権政策がいちじるしく後退している」と評価し、これに基づいて「憲法を破壊するイラク派兵計画の即時撤回、反民主悪法である国家保安法の即時撤廃、テロ防止法制定と集会とデモに関する法律の改悪策動の即時中断」などの10大要求を盛り込んだ特別決議文を発表した。〔……〕/今年の人権関連政策を評価すると、朝米対立によって国際的な条件が良くなかったにもかかわらず、金大中政権の対北政策の基調を維持して各種の民間交流を持続的に拡大するなど、平和維持のための政策を継続してきた点、司法制度と検察制度の改革のための努力、順法誓約制廃止と各種の制度の改善、難民認定の増加、外国人勤労者に対する雇用許可制の導入、戸主制廃止法案の準備と女性の長官と憲法裁判官の任命など、男女平等のための実質的な努力などは、非常に肯定的な評価ができる。/しかし政府が国民の大多数の反対にもかかわらず、憲法を無視してまでもイラク派兵を推進している点、代表的な反民主悪法である国家保安法の現存、国情院の強化だけが目的のテロ防止法の推進、人権侵害の素地が明らかな集示法の改悪試図などは、現政権の民主主義の認識水準と人権改善意志に、深刻な憂慮と疑問を抱かせる。/また政府が住民参加を排除したままで放射性廃棄物処理場の敷地を一方的に選定し、プアンの住民と深刻な摩擦を引き起こしている状況、多くの人権団体の反対と国家人権委員会の勧告、裁判所の仮処分決定にもかかわらず、教育行政情報システム(NEIS)の施行を強行する状況などを見ながら、現政権が「参与政府」と標榜する資格があるのかを、厳しく問わざるをえない。/一方で分配の不平等による貧富格差の深化、非正規労働者の増大による雇用不安、極貧者をはじめ社会的弱者階層の生存権の脅威など、政府が新自由主義経済政策を継続して維持することで、国民の社会権が深刻に侵害されている。争議行為を口実ににした無分別な損害賠償と仮差し押さえと非正規職に対する差別は、労働者を死へと追いやり、推進中の「労使関係法制度先進化方案」は、労組活動のけん制と労働条件の悪化を志向しており、使用側の対抗権の強化に焦点を置くことで、労働基本権に深刻な脅威をもたらしている。】。
|