読書録 2003年12月前半(敬称略)

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  • 12月15日 ▼『東京新聞』03年12月14日付(読書欄)に、長岡義幸「出版この1年(上)業界編」。【出版産業の斜陽化が急激に進行している。出版科学研究所が推計する書籍・雑誌の総販売額のピークは、一九九六年の二兆六五六四億円だったが、昨年は二兆三一〇五億円と六年連続で前年を下回り、今年も好転の兆しがみえない(十月現在で前年比3.2%減)。にもかかわらず、書籍の新刊点数は年間八万点近くとなり、書店の棚はあふれかえるほど。自転車操業の度合いがますます強まっている。/とりわけ書店の衰退が顕著だ。十年ほど前は、書店の総数は二万五千店といわれていた。だが、『ブックストア全ガイド』を発行するアルメディアの全店調査では、とうとう二万店を割り込み、一万九一七九店(五月二十四日現在)になってしまった。この十年、毎年、一千店を超える書店が転廃業し、新規開店は五百店前後にとどまっていたから、書店の半分近くが入れ替わったことになる。/だが、売り場面積は一二六万一六七二坪(同日現在の一万六二一五店の総計)と横ばい。転廃業店のほとんどが中小零細の最寄り店で、新規店は巨大化しているからだ。顧客の読書環境は変容を迫られている。〔……〕/新古書店やマンガ喫茶が新刊市場を食い荒らしている、図書館は無料貸本屋だ――という批判も相次いだ。作家や出版社などは貸与権・公共貸与権を認めよという運動を盛り上げ、これまた経産省の助力もあり、文化庁は著作権法の除外規定を外し、貸与権を認める方向に動いた。利用者にどのぐらいの負担が転嫁されることになるのかは気になるところ。図書館の総貸出冊数が二〇〇一年度で過去最高の五億二〇〇〇万冊になった(文部科学省調べ)という読者の苦しいふところ事情に、業界側の配慮も必要だ。〔……〕/前向きな話題と読者不在にもみえる動きが入り組み、混沌のまま出版界は一年を終えようとしている。】。

  • 12月14日 ▼終末劇場のサイトで連載中の桜井順 童話「商卍物語」が12.12に(15)アップ、大団円近し?!▼塚原史「批判的知性の限界と出来事としての思想の可能性 ボードリヤール来日が残したもの」〔『図書新聞』第2658号 2003年12月20日付掲載〕。【今回の講演で、われわれはJB〔ジャン・ボードリヤール〕から二つの提案を受け取った。一つはグローバリゼーションとテロリズムに関する発想の転換である。9・11以降の自己犠牲的テロリズムは、要求獲得型の戦略から解き放たれて、返礼不可能な贈与としての絶対的他者性のラディカルな突出となった。テロリスト自身を自爆テロの犠牲者と見なさないことで(死者の数はいつも彼らの分だけ少なくなる)、国際社会は死の贈与を黙殺するほかはないという現状のもとでは、地球を(資本、情報、言語等の)同一性をつうじた等価交換のネットワークで覆いつくそうとするグローバリゼーションと、みずからの死と世界の不可能な交換を挑むテロリズムとの間には、もはや「停戦は不可能」なのだ、とJBはいう。/つまり、「自由な諸個人」の等価性と「法の下の平等」の原則という啓蒙思想起源の価値観が普遍性をもち得た時代は、「無法者」(テロリスト)を「無法に」殺すことが善であるという帝国の「モラル」によって終わりを告げたばかりか、「無法者」自身が、殺されるのを待たずにみずからの死を最大の武器として戦いを挑む状況が出現したことで、両者の間には戦闘停止はありえなくなったのである。/したがって、この種のテロリズムが成功したとすれば、反テロという名の巨大な「抑止的」暴力を引き出すことで、帝国こそが最大のテロリストであることがいたるところで暴露されたからであり、グローバリゼーションの強行と自爆テロの進行の切り離せない一体性のうちに、JBはもう後戻りできない時代の徴を見出している。もはや「和解は不可能」である以上、思想の課題は、西欧近代型の(「自由と平等」の)ヒューマニズムの立場から、テロと反テロ(という名のテロ)の連鎖をいかにして終わらせるかを分析的・批判的に問うことではなくて、思想それ自体が「停戦にはげしく抵抗する」行為となることなのだ。】。

  • 12月13日 帝国データバンクのサイト(倒産速報&集計)に「全国企業倒産集計2003年11月報」。【日銀の11月の金融経済月報は、景気の現状判断を「緩やかに回復しつつある」として3ヵ月ぶりに、政府の11月の月例経済報告も前月までの「持ち直しに向けた動きが見られる」から、「持ち直している」と2ヵ月ぶりにそれぞれ上方修正、10月の景気一致指数も100%と6ヵ月連続の50%超えとなるなど、景気の底離れを示唆した。〔…〕しかし、これまでの輸出、リストラ頼みの構図は依然として改善されず、業績回復もごく一部の業種、大企業に限定されているのが実状であり、日本経済が自立回復基調に入ったとは言い難い。デフレ圧力が続くなかにあって個人消費に力強さはなく、株価・為替の変動リスク、イラクなど国際情勢の悪化など懸念材料は山積しており、先行きの不透明感は払拭されてはいない。〔……〕/2003年11月の企業倒産は、負債総額が1兆88億5900万円と2ヵ月ぶりの1兆円超えとなったものの、件数は1136件と今年最低を記録し99年4月以来4年7ヵ月ぶりの1200件割れとなり、倒産の減少傾向はより鮮明になっている。とはいえ、これまでの減少局面と比べると決して低い水準とはいえず、不況型倒産や老舗倒産の構成比も高く、廃業、休業などの“隠れ倒産”も膨れ上がっている。それでも、現在の企業を取り巻く環境、経営実態を見るにつけ、倒産は明らかに抑制されているといわざるを得ない。実際、「たしかに倒産は沈静化してはいるが、廃業が増えている」(中堅運送業者)、「得意先の経営規模の縮小や廃業が目立っている」(中小化学品メーカー)、「日々の資金繰りに精一杯で限界状態が続いている」(建築下請け業者)などの悲鳴は日増しに高まっている。当面は、企業の破綻リスクの回避と公的支援によって、これまでの倒産先送りの流れは維持されると見られ、2003年1−12月の年間合計件数は1万6500件前後にとどまると予想される。しかし、歯止めのかからない地方企業や中小零細企業の疲弊、地域金融機関の淘汰を引き金とする金融不安の再燃など、水面下では倒産の増加要因は確実に増殖している。】。

  • 12月12日 ▼広河隆一通信のサイトに「至急の連絡「イラク、サマワの誤訳」」03.12.11。【日本ビジュアルジャーナリスト(JVJA)協会の6日の報告会には400人が集まりました。/この日、森住卓さんは自衛隊派遣予定地サマワで劣化ウラン弾の痕跡発見の写真を発表し、綿井健陽さんはイラクのサマワで掲げられている横断幕「ようこそ自衛隊」が実は誤訳であったことを報告しました。/アラビア語で「ようこそ日本人」となっているのを、頼まれた日本人ジャーナリストが「ようこそ自衛隊」と書いたと言うのです。この映像は恐れていたとおり、自衛隊を送る側の宣伝にさかんに使われています。/NHKでは何回もこの映像を映しましたし、昨日のテレビ朝日・スーパーモーニングでの特集・イラク問題討論会でも志方氏が「あの横断幕に書いてあるではないですか!!」と大声で、叫んでいました。/TBSも同様なニュースが流れ、ホームページのニュースサイトには次のようにあります。/●以下、TBSホームページ http://www.tbs.co.jp/index-j.htm/ニュースサイトNews i http://news.tbs.co.jp/ 7days12月10日(水)/国際派遣先サマワでは日本の支援に期待より引用/______________________________________/派遣先サマワでは日本の支援に期待/自衛隊の派遣先となるイラク南部のサマワでは、日本の支援に対する期待が高まっています。/サマワでは町の大通りや商店街などに「日本の自衛隊のみなさんを歓迎します」という内容の横断幕が掲げられ、自衛隊の派遣を歓迎するムードが漂っています。/(10日11:21)/_____引用ここまで12月11日14:10に確認______________/●以下、TBSホームページhttp://www.tbs.co.jp/index-j.htm/ニュースサイトNews i http://news.tbs.co.jp/ 7days12月10日(水)/国際派遣先サマワでは日本の支援に期待より引用/_____________________________________/派遣先サマワでは日本の支援に期待/自衛隊の派遣先となるイラク南部のサマワでは、日本の支援に対する期待が高まっています。/サマワでは町の大通りや商店街などに「ようこそ自衛隊の皆様」と日本語で記された横断幕が掲げられています。/(10日11:21)/_____引用ここまで12月11日23:46に確認_______________/私は次のような文章をNHKにファックスし、同様なものをTBSにも、いれました。/NHK報道局/ディスク御中/昨日朝7時のニュースほか数回サマワの「ようこそ自衛隊」の横断幕が放映されています。/あれはアラビア語が「ようこそ日本人」、日本語が「ようこそ自衛隊」になっています。/現地で翻訳を頼まれたジャーナリストが、なぜかこのような訳をして書いたようです。/サマワの人々が自衛隊を待っているというような画面になり、問題がおおきいので、今後この横断幕の映像を流す前に必ず翻訳をチェックするようにお願いするとともに、すでに放映したわけですから、これまでの映像が与えた、間違った影響に対して、きちんと訂正をニュース上で行ってくださるようにお願いします。/これが間違っているというニュースは、すでに6日の日本ビジュアルジャーナリスト協会の集まりで発表され、さらに1昨日、綿井さんがニュースステーションで、豊田さんが昨日、日本テレビで報告しています。/広河隆一/フォトジャーナリスト/皆さんにお願いします。テレビや新聞を注意して見てください。/ニュースが流れれば広河まで教えてくだされば幸いです。/広河隆一/※ご連絡いただける方は、こちらまでお願いします。広河隆一事務所 E-mail:mail@hiropress.net】。

  • 12月11日 ▼印刷博物館で開催中の「活字文明開化」展の12月講演会は、矢作勝美「近代を切り開いた活字と出版」12月13日(土)14:00−15:30、グーテンベルクルーム(印刷博物館B1フロア)、無料、要申し込み〔上記ページから申し込みフォームへ〕。

  • 12月10日 韓統連のサイト(ホットニュース)に「イラク派兵・民衆弾圧、この難局を連帯闘争で突破する 全国70か所で集会 8万人が決起」(.12.06統一ニュース)。【生きるか、死ぬか。追いつめられた労働者、農民、貧民らの基層民衆が、現政権を糾弾し、原状を連帯闘争の強化で打開すると力強く宣言した。/6日、ソウルをはじめ光州、釜山、大邱など3広域市と全国約70の市郡では「民衆生存権圧殺、イラク派兵強行の盧武鉉政権糾弾、2003全国民衆大会」が開かれ、集会の熱気で零下の空気を吹き飛ばした。/全国民衆連帯は同日午後3時20分、ソウル市役所前広場で約3千人の労働者、農民、貧民、青年学生など市民社会団体会員が参加して、首都圏地域の民衆大会を開き、イラク派兵反対をはじめとする懸案に8大要求事項を明らかにして、これを受け入れないなら基層民衆が連帯闘争で盧武鉉政権を審判するだろうと明らかにした。〔……〕/民衆連帯は▲韓国軍イラク派兵、米国のイラク派兵強要反対▲損害賠償と仮差押・非正規職差別撤廃、労働弾圧粉砕▲韓国・チリ自由貿易協定国会批准、WTOコメ輸入開放反対▲チョンゲ川および生計型の露店取り締まりと強制撤去の中断▲国民年金改悪中断、貧困階層最低生計保障▲テロ防止法制定・集示法改悪中断、国家保安法廃止▲プアン核廃棄場建設計画白紙化▲移住労働者の強制追放粉砕、全面的な合法化争取――などを要求した。/特に同日の大会には、ソウル地域の2004年度新任総学生会長団約30人が参加して、決意を明らかにした。〔…〕】。

  • 12月9日 〔承前〕(対談)金時鐘・藤田敬一「人間と差別を考える 差別する側・される側二項対立の論理を超えて」〔『論座』2004年1月号掲載〕。藤田は金との対談で“私が超える”として次のように述べている。【私のヒントはキング牧師の公民権運動なんです。〔…〕/あのワシントン大行進をNHKのビデオで見たんですが、黒人の行進がワシントン広場に近づくにつれて、多数の白人の夫婦が子どもを連れてデモに参加していくわけです。それが私の「共同の営み」のイメージの原点なんです。「個」というものを前提にして、相撲の立ち合いのように、だれか行司がいて「はっけよい」と言って、ぱっと両者が立ち上がったらええですよ。こっちが立ち上がったのに向こうは座っていて「部落民でない者に何がわかるか」と言われたら、こっちは立つ瀬がないわけです。私はいま「自分でまず立ち上がる」って言うてるんです。相手の立ち上がるのなんか待っていられない。両側から超えるんじゃない、私が超える。/私はいまでも「部落民でない君が……」とかそれに類したことを言われていますよ。そういうふうに部落と部落外をはっきりと分けて、わかるはずがないという言い方をされるときには、穏やかに言うんです、「私はその意見に同意しない」と。「あなたにはわからないということを前提にしてしまったら、対話も何もなくなってしまうんです」と。これまでの運動とか組織とかの枠を超えて、部落差別の問題に向き合い続けることができる人が一人でも二人でも出てきて、そしてつながっていく。それしかない。運動や行政に対して、やってはならんことはやってはならんときちっと言う、そういう人びとが出てこないかぎり、部落問題解決のための取り組みは衰弱していくという危機感がある。】。

  • 12月8日 〔承前〕(対談)金時鐘・藤田敬一「人間と差別を考える 差別する側・される側二項対立の論理を超えて」〔『論座』2004年1月号掲載〕。【藤田 〔…〕ある人からは「足を踏んでいる者には踏まれている者の痛さがわからんところがあると心して生きなあかんよ」とも教わりました。ところが七〇年代に入って部落解放運動のなかで「わからんところがある」じゃなくて、「わかるはずがない」と言われるようになった。そのころから解放運動はどこか大きなボタンのかけちがいをしてきたんじゃないかという思いがずうっとあった。/ 「足を踏んだ者には踏まれた者の痛さはわからない」っていう、例えが陳腐にすぎます。差別は、足を踏まれた程度のなまやさしいものではないんだから。/藤田 わかりやすいんですけどね。(笑い)/ そういう比喩が痛さの象徴のように言い古されて省みられない、こういう通俗的な常識が、一つの規範のように言われることの立ち遅れから、当の私たちが抜け出さなくてはなりませんね。/藤田 ただね、『同和はこわい考』を出して面白かったのは「書いたのが藤田さんでなければ差別図書だ」と言われたことなんですよね。「藤田でなければ糾弾ものだ」とも言われた。つまり、運動の同伴者としての私自身の資格・立場がある意味で保証されていたわけですよ。私はそのときこう答えたんです。「それはちがう。だれであっても、きのうきょう部落解放運動に関心をもった人であっても運動の批判はできる。またそういう人の批判も受け止めなきゃいかん」と。〔……〕これまでの社会運動といわれるものは、多かれ少なかれ、この問題を抱えていたし、いまも抱えているんじゃないかな。「論難者」であっていいのかという金さんのご指摘は、七〇年代から今日まで、大きな思想的問題提起として意味を失っていない。とくに知識人といわれる人びとがこういう運動や組織にどう向き合うかは、ものすごく大事な問題ではないでしょうか。〔……〕/ うん、『同和はこわい考』の冒頭で「人びとは、その生育史のなかで必ず部落問題にであうとはかぎらない」と書いておられましたね。むしろ出合わない人がほとんどですよ。たまさか出合って心傷めている人に「おまえたちにわかるか」という、藤田さんの言葉をかりれば「口頭試問」のような(笑い)ことをぶつけるでしょう。朝鮮人問題もそうなんですよ。〔……〕よほどの思いを持って下さる人たちが関心を深めて、私たちと出会った人たちなんですよ。その意識体を、感謝せよとは私は言いませんけど、個人的には本当にありがたい人たちなんですよね。〔…〕それでいながら、朝鮮人はそういう人たちを何か日本人の総代であるかのようにやっつけるのよね。「おまえ、意識が足らん」「覚醒が足らん」と言うでしょう。】。

  • 12月7日 (対談)金時鐘・藤田敬一「人間と差別を考える 差別する側・される側二項対立の論理を超えて」〔『論座』2004年1月号掲載〕。【私はいまもって朝鮮籍のままの者ですが、在日朝鮮人運動の母体であったはずの朝鮮総連は、組織という存在そのものが絶対正義だという認識に立って、それへの内省、内側に向ける眼差しのぜんぜんない組織なんですよ。】という金は藤田との対談で【私はかつて「『差別』の中の起点と視点」というエッセー〔…〕に「朝鮮人の主たる命題は、決して差別の論難者的地位を保持することではない」と書いたことがあります。自らの拠ってきたる歴史の正当性だけを振りかざすのではなくて、少なくとも心ある日本人との対話を閉ざすようなことがあってはならない。〔…〕/日本人からの差別によって私たちは不幸だという言い分は、私たちのかかえる内実の問題とはへだたっている。日本人から被る心ない仕打ちはもちろん向き合うべき問題ではあるが、よしんば日本人の総懺悔を取りつけたところで、朝鮮人自身の問題は問題として残るのです。私たちは、同族同士でいがみ合って、篭絡しあい、論難し、向き合えば歯を剥くようなことを延々とやってきた。この実態、この状態こそ同族自らが作りだしている自らの不幸である。日本人の仕打ちなどこれを超える不幸では絶対ないですよ。それは自分で自分を省みるという創造的意識、しなやかな自己省察の核とでもいうべきものが、少なくともいままであったとは思えない。だれかが意見を言うと、「おまえら部外者が何をぬかしやがる」と言う。ことあるごとに朝鮮人の正当性を振りかざす。何か言われると「日本が悪いんだ、おまえらのせいだ」と。「日帝三十六年」という言葉をぶつけると、相手はもう口をつぐまざるを得ないんです。】と述べている。

  • 12月6日 「韓国で「イラク派兵反対」8万人参加 各地で集会・デモ」03.12.06 asahi.com。「イラク派遣:ノルウェーで論争 派兵の定義、政府決められず」03.12.05毎日。▼人権・報道・インターネットのサイト(情況に対して発言する)に山下幸夫「取調べの可視化について考える」03.11.29。【我が国の刑事裁判においては、現在においても、「自白は証拠の王」であり、捜査段階においては、被疑者からいかにして自白を獲得するかに最大の関心が持たれており、そこに捜査官のエネルギーが注がれている。/そして、被疑者が、捜査段階で、一旦自白して、検察官によって自白調書が作成されてしまえば、それを後で公判になって覆すことは極めて困難である。公判段階においては、自白調書も証拠として提出され(任意性がないとして、稀に証拠排除される場合もあるが)、公判においては、いかにその自白が、捜査官の利益誘導や脅しによって取られたものであることを立証しても、ほとんどの場合、裁判官は、密室で検察官によって取られた供述調書を信用して、有罪にしてしまうのである。〔……〕/このような状況の中で、日弁連は、2003年10月17日、愛媛県松山市で行われた日弁連の人権擁護大会においても、政府に対して、取調べの可視化を求める宣言を採択し、取調べの可視化を図るため、取調べの全過程を録画・録音する制度を導入することを提案している。/ところで、海外においては、取調べには、弁護人の立会いが認める国が多い。アメリカでは、有名な「ミランダ判決」によって。弁護人の立会いなしで行われた取調べで獲得された自白は証拠能力がないとされ、この点が徹底されている。〔……〕日弁連が主張している取調べの全過程の録画・録音は、弁護人の同席が当然に認められているアメリカなどの現状と比較すると、かなり穏健な主張のように見える。〔…〕/しかしながら、このような穏健な主張であるはずの取調べの全過程の録画・録音ですら、法務省や警察庁は強硬に反対している。その主たる論拠は、「密室だからこそ、被疑者は真実を話す」、「密室でなければ、自白がとれなくなる」というものである。そこから窺えるのは、相変わらず、「自白は証拠の王」と扱って、自白を獲得することを至上と考える現在の歪んだ捜査観である。〔……〕今回の「司法改革」はこの点には全く触れず、むしろ、「自白は証拠の王」という旧来のあり方を温存しようとしているとさえ言える。/取調べの可視化の主張は、穏健であり妥協的な主張ではあるが、自白をめぐる態度の相違点を見事に浮かび上がらせてくれる格好の材料である。そして、日弁連としては、取調べの可視化が同時に実現されなければ、政府が提案する「司法改革」、特に裁判員制度には全面的に反対するという位の強い態度を持って臨まなければならない。】。

  • 12月5日 『琉球新報』に連載「朝はあけたり 復帰50年奄美は今」。1. 島づくりは自分たちの手で 陳情政治に異論も03.11.11、2. 新奄振法、合併が課題 島づくりの将来左右.11.12、3. 困難に立ち向かう力 若者の心にも芽吹く.11.13、4. 島唄は生活のすべて 体に刻む郷土文化.11.14、5. 3世は沖縄を知らない もっと盛んに交流を.11.15。『南日本新聞』に年間企画「島唄の風景」第1部〜第8部。「奄美・これからの五十年〜日本復帰五十周年にあたって〜「人口と産業の予測」」2003.12日本政策投資銀行、「奄美群島復帰関係の年表」(名瀬市のサイト)。

  • 12月4日 『論座』2003年12月号が“「北朝鮮」の語られ方”を特集、太田昌国「「現在」と「過去」を歴史につなぐ論理 国家犯罪をどう語るか」。【北朝鮮の独裁体制について、いまだに率直に語ろうとしない人びとがいるように思える。例外はあるにせよ、進歩派や左翼の陣営の人びとが、である。私の考えでは、そのことが、上に見た民族排外主義とのたたかいを困難なものにしている。/私なりに、その理由を考えてみる。植民地支配の清算も済んでおらず、主として日本側の責任で国交正常化も実現できていない段階で、どんなに北朝鮮指導部のあり方に批判をもつにしても、それを公言することはできないという考え方は、植民地時代がどのようなものであったかを自責の念とともに思う世代の人びとには多かったように思える。雑誌「世界」(岩波書店)の編集長であった故安江良介氏の仕事は、故金日成主席との会見を何度も実現していることもあって、戦後日朝関係史をふりかえる時には欠かすことのできないものだが、氏がこの心情をもっとも代表していた人物だったと考えることは不当なことではないだろう。〔……〕現「世界」編集長岡本厚氏〔…〕によれば、安江氏は金日成主席との対談で「面と向かっては、金日成の側近が真っ青になって立ち上がるくらいの厳しい批判をしたが、それを日本へ帰っては絶対にしゃべらなかった」という。それは、「日本人には朝鮮人を批判する資格は倫理的にない。すべて日本人が悪い」とする安江氏の確信に基づく態度であったらしい。〔…〕/安江氏の個人的な信念のほどはともかく、ジャーナリストとしての姿勢がそれでよかったかと問いかける権利が、読者の側には残るように思える。安江氏が金日成主席との会見において現実には発揮したらしい主体性が、誌面にも表現されたならば、日本における北朝鮮認識には、少なくとも一九七〇年代初頭から、大きな違いが生まれ得たかもしれない。繰り返し言うが、これは、北朝鮮側が「報道の自由」に関して、どのような考えをもっていたかという問題と密接不可分の関係にある。】とする太田は【北朝鮮の体制を、いつの時代に、どんなことばで語ってきたか、いつの時代に、なぜ沈黙していたか。そのことが、日韓民衆連帯、在日朝鮮人の諸権利獲得、日朝国交正常化、戦後補償などのために努力してきた個人と運動体の内部から、もっと率直に語られることがなければ、社会を覆う自民族中心主義の攻勢に立ち向かうことはできないだろう。】と指摘している。

  • 12月3日 「INTERNET Watch」03.12.01付に「goo、Googleのエンジンを利用した“日本人向け”新検索サービスを開始 日本語特有の“表記ゆれ自動補正”機能やアダルトフィルタリングを搭載」。【ポータルサイト「goo」を運営するNTT-Xは1日、10月に米Googleと締結した提携に基づき、Googleの検索エンジンを利用した新しい検索サービスの提供を開始した。gooではGoogleの検索結果を補正して表示するなど、独自の変更が加えられている。/gooの新しい検索サービスは、Googleの検索エンジンを採用しているが、独自に開発した“日本語特有の表記ゆれを補正”する処理を検索結果に施すことによって「最も使いやすい日本語検索サービス」を目指すという。新しい検索サービスで追加された機能は、「表記ゆれの自動補正機能」「推薦ワード」「関連ワード」「アダルトフィルタリング」の4種類だ。/gooの独自調査によると、全検索回数のうち約12%に日本語独特の表記ゆれが発生しているという。現状、Googleの検索エンジンでは「コンピュータ」と「コンピューター」のような音引きの有無などは補正されているが、それ以外の「引越し」と「引越」などは別々の検索結果が表示される。gooではこの点に注目し、独自開発の「表記ゆれ自動補正機能」を搭載することにより、検索時に「引越し」と入力した場合、「引越」や「引っ越し」も“or検索”して検索結果としてあわせて表示する仕組みになっている。これにより、キーワードによっては数倍の検索結果が表示されるという。/推薦ワード機能では、「週刊誌を週間誌」や「松嶋菜々子を松嶋奈々子」など“誤入力と思われるキーワード”や、「経産省」などの略称を入力した場合に“正しいと思われるキーワード”や“正式名称”を「推薦ワード」として表示する機能。別リンクとなっているため、「松嶋奈々子」を検索したかった場合でも問題ない仕組みだ。関連ワード機能では、「クリスマス」と入力した際に“関連すると思われるキーワード”として「イルミネーション」や「クリスマスプレゼント」などをあわせて表示する。この関連キーワードは、gooのログ収集システムにおいて“一緒に入力されたキーワード”や“続けて検索されたキーワード”など、関連性が高いと考えられるものだ。「推薦ワード」や「関連ワード」などはすべてのキーワードに設定されているわけではないが、数万単位で設定されているという。〔…〕】。

  • 12月2日 『東京新聞』03.12.01付(特報)に「『アラブ親日』はもう壊れている 日本人外交官2人殺害」。【イラク北部ティクリットで日本人外交官二人が殺害された。狙いは不明だが、今月十八日のバグダッドの日本大使館銃撃事件が示すように、アラブ世界で「日の丸」が初めて“標的”になったことは間違いない。親日感情が強かったはずのアラブ世界で、二人に向けられた銃弾の意味は−。〔……〕/アラブ世界で親日感情が崩れたというのが、日本のアラブ関係者の間では共通した認識だ。/日本アラブ協会理事の最首公司氏は七月、ロンドンでの会合で、サウジ・メディア界の有力者サラハディーン氏の言葉に衝撃を受けたとして、こう話す。/「彼とは三十年来の付き合い。親日家でこれまで七回ほど訪日をしている。その彼がイラク戦争での日本の対応について『これほど日本が卑屈な国とは思わなかった』と漏らした。彼から日本を非難する言葉を聞いたのは初めてでした」〔……〕/イスラム教徒でアラブでの留学歴も長い同志社大学の中田考教授(イスラム法)は「亡くなった方は気の毒だ。政府に殺されたようなもの」と言い切る。/中田教授は、アラブの親日感情は実は幻想の部分も多いと指摘した上で、こうした幻想も湾岸戦争で消えかかり、イラク戦争でマイナスにすら入ったという。中田教授は「対米関係の維持のため、対アラブ関係が犠牲になるという論理は分からなくはない」と話す。/「ただ、そうであっても現状の本質は米国という大テロリストとイスラム過激派という小テロリストの戦い。それに対して、日本が一方の側にはっきり加勢するのは危険だ」とみる。/「政府はイラク復興というがイラク人にとっては占領への加担。これは大使館業務をイラク戦争後に復活させた経緯からも弁明できない。復興支援ではなくおわび行脚の姿勢で取り組むべき。政府がそういえないなら、民間の非政府団体と手分けして二重姿勢で取り組むべきです。ずるいといわれても外交にはそれくらいのしたたかさが必要だ」】。

  • 12月1日 11月2日、東京千代田区・総評会館で、在日韓国民主統一連合(韓統連・郭東儀議長)は結成三十周年記念大会と祝賀レセプションを開き、韓統連や韓青、民主女性会、学生協の会員や活動家らが参加した。『民族時報』第1022号(03年11月11日・21日合併号)は“韓統連結成30周年記念特集号”として記念大会のもようを伝えている。とくに、在日韓国民主統一連合議長・郭東儀「自主・民主・統一運動に捧げた輝かしい愛国の道 韓統連結成30周年記念大会基調演説」は【韓統連の出帆三十周年を記念するこの大会で、わたしは、曲折多い韓国現代史とともにわが組織が歩んできた三十年の道のりを感慨深く振り返ってみたい。】として30年を総括したうえで【わが韓統連は、民族の運命がかかった朝鮮半島の平和保障のために、各界の愛国同胞とともに反戦平和運動と反米自主化運動を今後も継続して力強く繰り広げていくものである。/わが韓統連は、米国が一日も早く「北の核問題」を対話を通して平和的に解決し、韓国からすべての兵力を撤収することを強く要求する。/六・一五南北共同宣言を履行することは、民族の自主的平和統一をなしとげるための唯一の正しい道である。共同宣言を履行するうえで重要なことは、「わが民族同士」の理念を正確に具現し、政治、経済、文化などすべての分野で民族共助を実現することである。/外勢はどこまでも外勢でしかなく、わが民族の永遠なる同伴者にはなりえない。しかし、同族は理念と思想、制度が違ってもともに生きていかなければならない永遠の同伴者であり、運命共同体である。民族の安全と和合、平和統一を望む人であるならば、だれもが民族共助の道へと進まなければならない。/韓統連は民族共助を実現するうえで寄与することがあれば、どんなことでもためらわず、できるかぎりの努力を尽くし、在日同胞の中で統一運動をさらに力強く展開し、六・一五南北共同宣言を履行するために積極的に貢献するものである。/六・一五南北共同宣言を履行しようとすれば、それに逆行する行為に反対し、そのような勢力と闘わなければならない。今、ハンナラ党をはじめ右翼守旧勢力は外勢依存を追求しながら六・一五共同宣言を否定し、それに逆行する冷戦時代の旧態依然とした反民族的な行為を行っている。われわれは民族の希望と利益に反するこのような行為に反対する世論を大きく喚起しながら、それに反対し排撃する運動を積極的に繰り広げていくものである。〔……〕韓統連はこれまでと同様に、今後も本国民衆と運命をともにしながら、自主・民主・統一の大道にしたがって全力で闘っていくものである。】との決意を披瀝している。