読書録 2003年11月後半(敬称略)

Jump to [読書録(月前半)] [トップページに戻る]
[特集] [盗聴法問題] [安田弁護士問題] [石原慎太郎1] [石原2] [石原3]
[石原4] [反戦日録] [備えあれば戦争] [強制連行の朝鮮人遺骨]
* 過去の読書録の検索への手がかりは[読書録人名索引] [読書録月別索引]へ。

  • 11月30日 深見史「憲法は「護る」ものか?」〔『人民新聞』第1161号 03.11.15付 掲載〕。【充分に想像されていたとおり、今回の衆院選挙で社民党はいよいよ崩壊への道に迷いこんだ。〔…〕社民党は護憲政党ということになっているので、彼らの衰退は改憲への動きを推進させるだろう、というのはおそらく正しい。しかしそもそも、憲法は「護る」ものだろうか?】と問う深見は、旧オウム真理教教祖の子であるという理由で小学生三人が教育委員会から就学拒否された関東A市での差別事件の事実を採り上げ【〔…〕二〇〇一年冬、社民党衆議院議員三名が、就学拒否をしている市行政、排斥運動をしている住民、就学拒否された小学生本人の家を訪れた。/しかし、彼ら議員が出した結論は、「排斥する住民は『人間的』。就学拒否は法律でジャッジするものではなく、話し合いで解決する問題」(大島令子・愛知七区)であった。おそらく現憲法制定以来初の出自による就学拒否事件は、社民党議員らによれば、「おっちゃん、ごみ出させてな、って言えばええんよ。人間どうしなんだから!」(北川れん子・兵庫八区)で解決するご近所問題でしかなかったのだ。/呆れてものも言えないとはこのことだ。社民党の「護憲」の中身はこの程度のものだったのだ。たいした期待はしてなかったとはいえ、彼女らの政治的感性の鈍さは想像を超えた。〔……〕憲法は「守らせる」ものだ」。「守らせる」ことができて初めて「護る」ことができるものとして、憲法はある。「護憲政党」社民党は、「護る」と唱えるだけで「守らせる」ことをしてこなかった。「がんこに平和」などジョークにすぎないのは当然のことだ。/大島令子、北川れん子らは今回の選挙で落選した。落選の理由はA市問題での彼女らの対応に、本当の護憲派が愛想を尽かしたからだ、などと思うほど私は無邪気ではない。しかし、社民党全体の没落の原因の一つには、A市での対応に端的に表れている「隠れた良識派」への軽視があったのは確実だ。そう思う理由が、この件に関して他にもあるからだ。/A市議会で就学拒否を全会一致で採択した、と先に書いた。その議会を仕切った副議長は「人権派」と自称他称していた人物だった。副議長は小学校のPTA総会に登場して、「法規的な、やむを得ない措置」として就学拒否への賛同を保護者に呼びかけた。それを聞いた一人の市民は、「こういう人が自分の投票した議員かと残念に思った」と語っている。副議長まで努めた人物が、その後の選挙であっけなく落選したのは、こうした「隠れた良識派」が彼が想像していた以上にたくさんいたのではないか、と思うのだ。自己保身のために彼が選んだ大衆迎合の方針は、明らかな読み違いだった。市民は彼が思っていたほど愚かではなかった。/社民党の過去の大裏切りを私は忘れない。村山氏が自衛隊の閲兵をした、あの醜い姿を忘れない。あのころから衆議院選挙の投票率は激減した。「がんこに……」が真実であれば、平和を求め、人権を尊重し、憲法を「守らせ」たい人々の心はこうまで彼らから離れることはなかっただろう。】。関連読書録:02.02.01付

  • 11月29日 韓国で現役兵士がイラク派兵反対を要求して帰隊を拒否し座り込んだ闘い(読書録11.26付既報)について、「韓国人権ニュース」第233号(03.11.29)は「現役軍人がイラク派兵反対を要求し座り込み 平和行進と大統領との面談後に自主出頭を宣言」と報じている(人権センター11.28付)。【陸軍現役2等兵のカン・チョルミン(23)氏が4泊5日の休暇の最終日である21日に帰隊を拒否して、イラク派兵反対の座り込みに入った。カン2等兵は28日に青瓦台(大統領府)への平和行進をした後に大統領との面談を要求し、その後、軍当局に自主出頭することを明らかにした。現役軍人の派兵反対行動に対して内外の関心が集まった。/カン2等兵は21日午前11時、キリスト教会館2階の講堂で記者会見を開き、「盧武鉉大統領に送る2等兵の手紙」を朗読した。/カン2等兵は手紙を通じて「自国の軍隊が、自国の国土と国民を保護すること以外に、侵略戦争の道具として使われるなら、それは2等兵である私でなくとも、だれが見ても誤った決定だと考えるでしょう」と述べながら、韓国軍のイラク派兵を撤回するまで帰隊せず座り込みをすると明らかにした。/大邱カトリック大学哲学科3年(00年入学)のカン2等兵は7月7日に入隊して、全羅南道チャンソンの陸軍歩兵学校勤務支援団の運転兵として勤務し、11月17日に入隊100日休暇で離隊した後、悩んだ末に帰隊を拒否することを決めたという。/「民主化のための弁護士のつどい」(民弁)のイム・ジョンイン弁護士は、「朝鮮戦争での住民虐殺やベトナム戦争、光州民衆虐殺など、軍の恥辱的行為があったが、カン・チョルミン2等兵のように、そのような悪に加担することを拒否する『選択的』兵役拒否は、建軍55年の歴史で初めてだ」とし、「侵略戦争に同調してイラク派兵をする政府は憲法違反であるとして軍人がそれを拒否するのは、歴史に残るに決断だ」と述べて、カン2等兵の決定を高く評価した。/記者会見場にはカン・チョルミン2等兵の決定を支持し保護するために「良心に基づく兵役拒否実現と代替服務制度改善のための連帯会議」をはじめ、派兵反対国民行動、民家協、民弁など市民団体も参加した。/座り込みから5日目の26日、カン2等兵は記者会見を開き、盧武鉉大統領に送る2通目の手紙を公開して、大統領との対話を要請し、軍当局への自主出頭を明らかにした。/カン2等兵は手紙で、「韓国の軍隊は、韓国を防衛し、国民を守るためにあるのであり、侵略軍として存在しているわけではない」と主張。盧武鉉大統領に「イラク派兵を再考するよう」要請した。/カン2等兵は、「11月28日に『派兵反対ろう城支援団』とともに、青瓦台まで平和行進をした後に、大統領に面談を要請する」と述べ、「行進が終わった後、28日に軍捜査当局に自主出頭する」と明らかにした。/カン2等兵は、「私のために被害を受ける人が多く、軍捜査当局に自主出頭することにした」と明らかにし、「どこにいても、堂々と派兵反対と平和のための考えを守っていく」と述べた。】。

  • 11月28日 大地と共鳴する人々「アジア先住民族の苦難・抵抗・未来」ワークショップ・シンポジウム。11月29日(土)10:30〜19:00ワークショップ / 11月30日(日)10:30〜17:00シンポジウム、会場:常圓寺(新宿駅西口徒歩8分)、主催:アジア先住民族招へい実行委員会(アジアの先住民族とアイヌ民族の交流を進める実行委員会)、後援:(社)アムネスティ・インターナショナル日本、(特活)アーユス仏教国際協力ネットワーク、(特活)国際協力NGOセンター、市民外交センター、先住民族の10年市民連絡会、反差別国際運動(IMADR)。▼アナーキー・イン・ニッポンのサイト(ニュース03.11.19付)によると「ラディカル=グラフィックス」という活動家向けのダウンロード可能な白黒グラフィックスのサイト(英語)が立ち上がった。ダウンロードできるだけでなく、アップロード(白黒のみ)もできる。

  • 11月27日 「『景気回復宣言』 なぜ相手にされないのでしょう」03.11.26東京(特報)、【先週末、政府と日銀が「景気回復」を宣言したのに気づいた人は少ないだろう。もし本当なら「失われた十年」は終わり新時代が始まることに。だからもっと大騒ぎしてもいいはずだ。しかし、大ニュースのわりに注目度は低い。誰にも気づかれない、ひっそりとした回復宣言の理由を探ってみると−。〔…〕】。▼藤田敬一ホームページ(読書の周辺)に「溝口敦『食肉の帝王─巨富をつかんだ男 浅田満』(講談社、03/5、第1刷)」評。【〔…〕「今なお解放同盟や同和問題に対するタブー視は続いている。こうした流れの中で、解放同盟のありようを歯に衣着せず批判できたのは全解連=共産党=機関紙『赤旗』だけという現実があった。解放同盟系や、中立を装う文献、資料はあっても真っ正面から解放同盟に批判を加えた文献は全解連のもの以外、ほとんど見るべきものがない。」(30頁)だから本書がやってやろうというのだろう。しかし描かれるのは浅田満という人物の「成り上がり」物語である。それがこれでもかといわんばかりに書かれているので、追うだけで疲れてしまった。レポートされている事柄が事実として、それがどうして実現できたのかという肝心のところがよく伝わってこない。/たしかに「あとがき」で「浅田と彼の富が漂わせるある種のいかがわしさの半分は彼のせいではない。部落解放同盟に籍を置く者たちは何をやっても自由、払うべきものを払わなくても自由という『聖域』を許した官僚エリートの臆病と事なかれ主義、バラ撒き行政が浅田にど外れた富を許し、同時にその富を汚したのだ。(略)官僚の無責任と無自覚、無気力はここに極まっている。彼らは国民の血税を預かっている自覚を持たない。さらにいえば『エセ同和』や『社会運動標榜団体』の原型が部落解放同盟による『糾弾』にあったことは明らかだろう。」(229-230頁)とあるけれど、あまりにも大雑把すぎはしないか。背景として随所にちりばめられるのは「部落問題と暴力団」との関連だが、問題はその底にある「こわい」という意識なのだ。そこのところの分析と叙述が平板で表面的。だから「タブー視はまだ完全には打ち破られてはいない。差別を許してはならないし、同時にタブーを復活させてはならない。差別や逆差別を解消し、一般社会の中に完全に同化しなければならない作業はこれからも続いていく。」(241頁)という結論も取って付けたような印象を与える。それはともかく、部落問題の解決のための取り組みのなかで生じたある種の放恣、放埓の原因を「官僚の無責任と無自覚、無気力」にのみ求めるかぎり、これからも本書がレポートするような事態は引き続き起こるにちがいない。なぜなら根はもっと深いところにあるのだから。(03.10.10記)】。

  • 11月26日 韓統連(在日韓国民主統一連合)のサイト(ホットニュース)に「現役軍人が帰隊を拒否して派兵反対の座り込み」03.11.21統一ニュース。【陸軍現役2等兵のカン・チョルミン(23)氏が4泊5日の休暇の最終日に帰隊を拒否して、派兵反対の座り込みをはじめ、内外の関心を集めている。/カン・チョルミン2等兵は21日午前11時、キリスト教会館2階の講堂で記者会見を開き、「盧武鉉大統領に送る2等兵の手紙」を朗読した。/カン2等兵は手紙を通じて「自国の軍隊が、自国の国土と国民を保護すること以外に、侵略戦争の道具として使われるなら、それは2等兵である私でなくとも、だれが見ても誤った決定だと考えるでしょう」と述べながら、韓国軍のイラク派兵を撤回するまで帰隊せず座り込みをすると明らかにした。/大邱カトリック大学哲学科3年(00年入学)のカン2等兵は7月7日に入隊して、全羅南道チャンソンの陸軍歩兵学校勤務支援団の運転兵として勤務し、11月17日に入隊100日休暇で離隊した後、悩んだ末に帰隊を拒否することを決めたという。/「民主化のための弁護士のつどい」(民弁)のイム・ジョンイン弁護士は、「過去の歴史に住民虐殺やベトナム戦争、光州民主化運動などでも、カン・チョルミン2等兵のような『選択的』兵役拒否は、建軍55年の歴史でも初めてだ」とし、「侵略戦争に同調してイラク派兵をする政府は憲法違反であるとして軍人それを拒否するのは、歴史に残るに決断だ」と述べながら、カン2等兵の決定を高く評価した。/記者会見場にはカン・チョルミン2等兵の決定を支持し、カン2等兵を保護するため「良心に基づく兵役拒否実現と代替服務制度改善のための連帯会議」をはじめ、派兵反対国民行動、民家協、民弁など市民団体も参加した。/カン・チョルミン2等兵は同日、記者会見を終えて午後から韓国キリスト教教会協議会(KNCC)708号室で座り込みに入ると明らかにした。/一方、警察側関係者は記者会見を終えた後、首都防衛司令部保安科からはカン2等兵に対して、同日午後8時までに帰隊するなら法的処罰はないと伝えられたとして、復帰を促した。】。

  • 11月25日 広河隆一通信のサイト(お知らせ)に「JVJA 2003 年度報告会」03.11.24。「イラクとパレスチナ 2つの占領」(総合司会・広河隆一)/2003年12月6日(土)PM6:30開演PM7:00より/中野ZERO小ホール(JR中央線または地下鉄東西線「中野駅」南口から左へ徒歩7分、〒164-0001東京都中野区中野2-9-7TEL03-5340-5000)/入場料1,000円。【■イラク/「米軍による住民銃撃 2つの占領」土井敏邦、「イラク報道に欠けていたのもの」豊田直巳、「イラク最新報告」綿井健陽/■パレスチナ/「ヨルダン川西岸の分離フェンス」広河隆一/「パレスチナの子どもたち」古居みずえ/■写真スライドショー/亀山亮 小林正典 佐藤文則 林克明 桃井和馬 森住卓 山本宗補】。

  • 11月24日 必読の新刊! 屋名池誠『横書き登場 日本語表記の近代』2003年11月、岩波新書。【日本語はなぜ横書きをするようになったのか、なぜ日本語は、世界にも稀な、縦書き・横書き両用を許す言語になったのか】という問題意識から【初めて本格的に日本語書字方向の研究をこころみた】という屋名池は、【書字方向はその、書き、読んでいく順序を指定するものだから、音声言語には不要だが、文字言語にはなくてはならないものなのである。/書字方向は、時間的に継起する順序を空間的な配置に置きかえ、一方、空間的に配置されたものを時間的な順序に変換するルールだから、いわば空間と時間の変換装置といえる。空間的な配置と時間的な継起順を相互に変換することは、文字と言語との関係以外にも、楽譜と音楽、数式と演算、コママンガとそこに描かれたドラマなど、さまざまな所でおこなわれている。左横書きとされる文字を用いる西洋で生まれた西洋音楽の楽譜や西洋数学の数式が、なぜ左から右に読まれるかを考えれば、書字方向がこうした空間←→時間の変換装置の原型になっていることに思いいたるだろう〔…〕。/縦書きで右から左へ行が移ってゆく書き方しかなかった時代の日本人が、空間に時間を感じるときは、その時間は右から左方向へ動いてゆくものだっただろう。絵巻物は右から左へ展開し、双六のコマは振り出しからまず左へ進みはじめる。一方、現在、左横書きを使い慣れた人にとっては、時間は空間上を左から右方向へ動いているにちがいない。時間の順に起きることをまとめるチャートを、あなたなら、どちらに向かって書くだろう。一連番号のついた帳簿を、あなたなら右左どちらから並べるだろう。あなたより年配の人や若年の人と比べてみたらどうだろう。/日本語における左横書きの登場の影響は、実はこんなところまで及んでいるのである。】と書いている。

  • 11月22日 平井玄「石を投げるサイード」〔『現代思想』2003年11月臨時増刊号「総特集・サイード」所収〕。【それでは、サイードにとって「啓蒙」とは何か?/それは「ピアノを弾く」ことであると同時に、「石になる」ことや「少年になる」ことだったと思う。/かつて人間主体が徹底して分節化され記号化されることが、管理されコントロールされた社会態の技術的な指標とされ、自立や個人や単独性が対抗言説とされていた懐かしい時代があったことを憶えているだろうか。しかし、人工知能の演算能力が爆発的に進化した現在では、原理的には、地球人口数十億人すべての固有名での登録や抽出が可能になったということができる。そしてそれは実際に追求されている。/こうした…環境の中では、逆に、例えば街のグラフィティのような意味不明で攪乱的な記号行動こそが反コントロールの方向なき方向性を示しているのである。単に匿名ではなく、名を隠しつつ名を記す。あるいは名を示しつつ名を隠す。「個性を持った自立した個人」であってこそ、詳細かつ厳密なプロファイリングが有効性を持つというものだろう。これは、いったん個体の穴の中に引き込もり、そこから多数性が乱反射するように放射されるレイヴについてもいえることだろう。/こうした生‐記号環境がほとんど極限まで突き進められたのが、パレスチナ/イスラエル地域であるといっていい。そこでは、個人の携帯電話が爆殺装置となり、会議中の部屋の窓からその中の一人を狙って、正確に武装ヘリのミサイルが飛び込んでくる。こういう場所では、人は「個人」ではなく、名前のない「石」になるか「爆発物」になるかしかない。少なくとも、そうした所から発想しなければ何も始まらないだろう。もちろん「投石」と「自爆」は同じではない。むしろ投石はダンスに似ている。まず自分の中に何かを滞留させ、そして開き、放つ。そして石になる。自爆は何も生成しない。そういう意味で「石を投げる」ことは、抵抗する「自己のテクノロジー」なのである。/その生涯の最期に、エドワード・サイードの極限値をここに見よう。/誰もが知るように、カントは「啓蒙とは何か」の冒頭に「啓蒙とは、人間が自分の未成年状態から抜けでることである」と記した。サイードはおそらく、「私たちが今のように在り、今のように行い、今のように考えるのではもはやないように、在り、行い、考える可能性を、私たちが在るように存在することになった偶然性から出発して、抽出する」(フーコー、〔…〕)ために、未成年状態――「少年になる」のである。つまり投石は少年を生成する。そして啓蒙の始まりを。それも幾度となく。サイードにとって「最後の啓蒙」とはそのようなものだったのではないか。/石を投げるサイード。それは決して偶発的な瑕疵ではなく、渾身の、必然的にやってきた裂開だったと思う。そうした意味でその姿は、「ピアノを弾くサイード」とともに私たちの生きる範例となり続けることだろう。】。

  • 11月21日 最近の『東京新聞』特報面から。「自衛隊給油“高値”買い付け 業者もあ然『ボリすぎです』」11.20付、【「風が吹けば、桶屋(おけや)が儲(もう)かる」。石油業界から漏れ聞こえる軽口だ。インド洋上における米軍への自衛隊の給油活動を指している。この「無料スタンド」の油は防衛庁が日本の民間会社から買っている。だが、これが法外に高いというのだ。防衛庁は適正価格とするが、同業他社の怨嗟(えんさ)の声は増す一方だ。 (田原拓治)】。「なお続くイラク米兵の死」11.19付、【日本政府は“命の値段”を「一億円」とはじいた。イラクの「非戦闘地域」で自衛隊員が死亡した場合の弔慰金だ。米国が戦死者に送る見舞金はずっと少ない。米兵の遺族が望むのは、国のために危険な任務を遂行した若者たちへの「敬意」だという。米兵の遺族らは問う。イラクでの戦いは、息子たちの死で購(あがな)うだけの“価値”があるのか、と。〔……〕/イラクに派遣された米兵の家族らでつくる「声を上げる軍人家族の会」の創始者の一人でマサチューセッツ州のナンシー・レシンさん(54)は「残された家族は誰ひとりとして、愛する息子たちの死が無意味だとは思いたくない」と強調する。だが、ベトナム戦争を例に挙げて、イラク駐留米兵の撤退を訴えた。/「ベトナム戦争の記念碑には、五万八千人の戦死者の名前が刻まれている。まだ、死者が四分の一くらいのころから、反戦の世論は高まっていたが『兵士の死を無駄にすることはできない』と泥沼の戦争を続けた。イラクでは、何人の兵士が死ねば、この戦争は間違っていたという結論に達するのか。アメリカだけではなく、日本などの同盟国の兵士も含めて、これ以上の犠牲は必要ないのです」】。「タリバンが復活している 不穏アフガン 『逆戻り』の様相」11.16付、【石破茂防衛庁長官は来日中のラムズフェルド米国防長官に自衛隊のイラク早期派遣を表明した。その米国が9・11後の対テロ戦争で制覇したはずのアフガニスタンでは、タリバンが復活しつつある。アフガン周辺での反米勢力の再生と躍進という現実は「米国イコール国際社会」という小泉政権の国際情勢の見方に警鐘を鳴らしている。(田原拓治)】。

  • 11月20日 山口健二『アナルコ・コミュニズムの歴史的検証 山口健二遺稿集』2003年9月、北冬書房。「ナショナリズムと反日革命論」(初出1986)で【ナショナリズム、民族や国家を揚棄する道すじをきちんとつかんだ革命思想の営為は、これまで世界の歴史のどこにもなかったのか?】と問う山口は【そうではない。そうした努力の道すじは苦闘と敗北の連続ながら、一貫して歩み続けられてきているのだ。〔……〕なによりも、一九六〇年代後半から七〇年代にかけて世界を包みこんだ若者を中心としての反乱の渦は、そのもっとも身近で激しい経験であった。〔……〕日本におけるその時代の様々な闘いの中で、実践的にも思想的にも画期的な突出として実現された闘いが、東アジア反日武装戦線の闘いであった。】とし、インターコミュナリズム(間・共同体主義)を検討、ブラック・パンサー党、ヒューイ・ニュートンの思想を要約、紹介している。【まずインターコミュナリズムは、現代世界の構造と状況を基本的に表現する思想だという。すなわち、アメリカという〈帝国〉を中心とした世界の支配体制は、〈テクノロジー〉という現代の新しい生産力を中心に反動的インターコミュナリズムを形成していると規定する。これは、かつて世界資本主義がイギリスを中心とした国民的生産力という新しい生産力を中心に形成された、という認識に相応している。新しいテクノロジーという生産力は、世界資本主義とでもいえるような体制をブルジョア側が国境を超えてつくりあげているというのが、反動的インターコミュナリズムについての基本認識だ。/〈世界資本主義―国民的生産力〉と〈世界帝国主義―テクノロジー〉という対比の中には、当然、国家(民族)問題についての評価への疑問が出てくる。ニュートンはこの問題について、「家族意識、部族意識、国家(民族)意識の間には、排他的アイデンティティの意識という共通性がある」とまず明確に規定したうえで、世界帝国主義の反動的インターコミュナリズムは、その内部での国家間排他主義(帝国主義間対立)を副次的なものにし(テクノロジーの力による)、世界人民の革命的結合力との対決、それへの抑圧支配のためのコミュナリティ(共同性)の方を主要なものに選択していると分析する。/このような反動的インターコミュナリズムが、世界人民の側の革命的インターコミュナリズムを生んできている(テクノロジーの力は人民の側にも作用する)。この視点からみれば(当時の)革命ベトナム、文革中国、革命キューバ等々は、すでに国家を超えた革命的コミュニティに変化しつつある。したがって、ブラック・パンサー党自身も、それまでのブラック・ナショナリズムを完全に止揚して、ブラック・コミュナリズム→インターコミュナリズムへと思想的発展をとげたと強調したのである。しなわち、そのコミュナリティは、既成の家族・部族・国家(民族)意識に基づくものではなく、新しい共同性と共同体を創り出すべきであり、それがブラック・パンサー党という党自身のあり方(この党はすべての位階制を廃止した)であり、また党が各地区でつくりあげた黒人コミュニティの運動と組織である、とニュートンは言う。ベトナムから黒人コミュニティに連なる世界の人民の反帝革命運動の共同体が、革命的インターコミュナリズムの表現であり、それは国家結合としてのインターナショナリズムを超えるものだとも主張されている。】。

  • 11月19日 ▼渡辺勝のサイト「OLD TIMES BRASS BAND」「audition room」では、次の20曲が聴ける。「八月」「僕の家」「東京」「あなたの船」「ある晴れた冬の日に2.」「平和に生きる権利」「帰り道」「金魚」「ボガのテーマ」「夢」「恋は再び」「冬の朝」「君と空と僕と君と」「ダンラン」「夏の終わりのラプソディー」「雨よ」「あなたが逝く天国」「エンディングテーマ」「たまんない」「東京ハウス」(「小心者の杖日記」の紹介で知った >感謝)。▼大阪人権博物館企画展「性的少数者の現在 性のありようを問い直す」11月18日(火)〜12月21日(日)午前10時〜午後5時、大阪人権博物館ギャラリー、入館料:大人250円/大・高生150円/中学生以下 65歳以上 障害をもつ人(介助者含む)は無料、【人間には生物学的に典型的な男と女しかおらず、女(男)は男(女)を愛すべきで、男(女)は男(女)らしくなければならない--性に対するこれらの価値規範は、家庭や学校、職場など社会のあらゆるところに存在しています。誕生時に決定される性別に始まり、ランドセルの赤色・黒色、書類の性別欄、男女別の制服などさまざまな場面で、私たちは男女のいずれかであることを強いられ、恋愛は異性間でおこなわれるものこそが自然であるとされています。/性的少数者の存在がその主張や活動により明らかになるにつれ、これらの性に対する意識は社会的、文化的、歴史的につくられてきたものであることが分かってきました。生物学的な性別からすると典型的な男女のみではなく、さまざまな性別が存在しています。性的な欲望が異性に向く人もいれば、同性、両性に向く人、性別にとらわれない人もいます。生物学的には女(男)であったとしても、心の性がそれと一致するとは限らない人たちの存在も明らかになってきました。このように性には、生物学的な性、心の性(性自認)、性的な欲望が何に向くか(性的指向)といったように、さまざまな側面があるのです。/本展では、性的少数者の主張と活動に向き合うことを通して、私たちが自然なことと考えている性の価値規範を問い直すきっかけになれば幸いです。】。

  • 11月18日 ▼帝国データバンク「全国企業倒産集計2003年10月報」は【〔…〕当月の不況型倒産が74.7%と依然として約4分の3を占めていることに加え、破産が483件と全体の34.8%を占めている。前年同月の破産は444件発生しているが、全体の構成比では26.0%に過ぎず、倒産件数が減少している中で破産は増加の一途をたどっている。淘汰されていく企業はぎりぎりまで存続の可能性を探った末に潰れていくという悲惨の度を増していることが窺える。疲弊した中小零細企業の業績悪化は顕著で、地域金融機関再編による影響、円高懸念、金利引き上げなど様々な火種を抱え、倒産が増加に転じる可能性も孕んでいる。企業倒産は今年1月〜10月合計で1万4314件発生、11月、12月が1300件〜1500件での推移と予想されることから今年の年間合計(1月〜12月)は1万7000件台に達するものと思われるが、前回の減少局面だった99年(1万5460件)を上回っている。バブル崩壊後、前年を下回る減少局面は3回あったが、94年(1万3963件)より96年(1万4544件)、さらに99年(1万5460件)といずれも前回の減少局面の水準を超えた発生傾向を示し、倒産水準は確実に高まっている。】と指摘。▼広河隆一通信のサイトに【世界を視る、権力を監視する写真中心の雑誌創刊準備中!! 2004年3月20日 創刊予定】として新雑誌『DAYS JAPAN』の紹介。「発刊の趣旨」は【雑誌が力をみなぎらせて登場する時期というのがあると思うのです。それはそれぞれの時代の役割をになって出現します。単に役に立つとかいう事情ではなく、この時代に必要だったと誰もが感じるような雑誌が、様々な時代に生まれました。/そうした雑誌はスタイルも含めて、役割を果たす時期というものがあるらしく、数年で役割を終えるか、終えたのに気づかずにじたばたして、衰えていくこともあります。/今、情報はあふれているものの、どの情報を信頼していいのかわからない状況に私たちは置かれています。アフガン、パレスチナ、イラクと次々と戦争があるたびに既存の大手メディアへの信頼感は少しずつ薄れ、あらゆる情報にバイヤスがかかっていることを、みんな感じています。戦争前に戦争誘導型の記事が現われたり、その戦争の遂行に水を差す記事や写真は、編集部のデスクから上には上がらなかったり、「読者投書」欄の意見も注意深く選択されていることがわかります。/アフガニスタンの戦争でもイラク戦争でも、現場から責任を持って報告するフォト・ジャーナリストはいないわけではありませんでした。でも日本ではそうした写真は比較的少なかったのが実情です。日本のメディアがそうした写真をあまりほしがらなかったからです。/すぐれた写真を撮るフォト・ジャーナリストは存在する。しかし発表するメディアが少なすぎる。つくづくそう思ったのです。/私の土門拳賞受賞式のときにも言いましたが、日本のフォト・ジャーナリズムは、今、危機に瀕しています。それは業界の危機というだけではありません。志あるフォト・ジャーナリズムが消えていくことは、時代が恐ろしい所に突き進んでいくのをチェックできないということなのです。時代を読み取る目を失うということなのです。/皆さんの知恵を出し合って、新しいメディアを創りませんか。】と呼びかけている。

  • 11月17日 ▼石丸次郎「揺らぐ北朝鮮 隣人の苦難はいつ終わるのか」〔『週刊金曜日』No.484 03.11.14掲載〕、【核、拉致、日朝国交正常化などについてこの一年あまり、日本の中でも多くの議論がなされて来た。しかし、決定的に欠けていると私が思うのは、議論の対象である当の北朝鮮に住む人々の苦難について、どれだけ我々が思いを巡らせ、苦痛を和らげるために考え、動いたのかということだ。】。▼韓統連のサイト(ホットニュース)に「民主労総、15万人がゼネストに参加/ソウルのヨイドでは1万人が集会 イラク派兵反対も主張」03.11.13、【全国民主労働組合総連盟(民主労総=約七十万人)は十二日、労組に対する総額約千四百億ウォン(約百四十億円)に達する損害賠償請求・財産差し押さえの撤回などを求め、全国で終日ストを展開した。民主労総は同日、ソウル都心で損害賠償請求の撤回、イラク派兵反対などを求める集会を開催、約一万人が参加した。/民主労総の集計によると、自動車など主要民間産業と鉄道・電力など公共部門の合わせて百二十企業で十五万人以上がストに参加している。/民主労総によると、ストによる損失を理由にした労組に対する経営側の損害賠償請求訴訟が頻発しており、裁判所の命令で総額七百九十億九千三百五十万ウォン(約八十億円)の差し押さえが仮執行されている。給与や家財まで差し押さえられる労組幹部も多く、今年に入り五人の労組員が労働運動弾圧に抗議し焼身自殺をした。/損害賠償が発生するのは、労働法の改正や公営企業の民営化反対などを掲げた「政治スト」の場合。職場の労働条件以外を理由にした争議は、裁判所が「不法」と判断する場合が多いからだ。/民主労総は、盧武鉉政権下で二百二人の労働者が「不法スト」主導を理由に拘束されたことに強く抗議している。〔…〕】。関連リンク:「Y!ニュース‐韓国労働争議」。関連:「民主労総、ゼネスト...全国18カ所でデモ」03.11.12中央日報 /「民主労総、時限付きゼネストに突入」03.11.12朝鮮日報。

  • 11月16日 かたつむりの会のサイトに、「03.11.03除幕式報告」。11月3日、宝塚・大林寺で行なわれた「死刑によって殺された人たちの「碑」」の除幕式のレポート。【死刑によって殺された人たちの「碑」をつくろうと、昨年(02年)の春から賛同者を呼びかけてきたが、今年(03年)9月末までに75名の賛同者、70万円のカンパが寄せられた。/宝塚・大林寺に碑が建立されその除幕式が11月3日に行なわれた。/この日、雨の降る中の集まりとなった。碑を造るための大きな部分を支えてくれた大林寺の住職木下さんは死刑廃止を求める運動を続けているかたつむりの会のメンバーでもある。雨は止むことなく降り続いていたが、その雨のことを「慈雨」と言った。死刑囚の墓をつくりたいと訴えてきてそれが実現した事、そしてその除幕の日、集まってきた人たちのことを、阿弥陀仏が涙を流して喜こばれているのだと。碑を造るにあたっては、ひとつの宗教に偏らないものとして考えてきた。この碑の式についてもそうだった。でも、「せっかくの日なのに、雨やなあ」と思っていたぼくには、この木下さんの言葉は嬉しかった。〔…〕/式は碑に巻かれていた白布を取り去る事から始まった。庵治石という周りに溶け込むような自然な感じの石が使われていた。碑には句が刻まれていた。/叫びたし 寒満月の 割れるほど/この句は、無実で死刑執行された西武雄さんが詠まれたものだった。この西さんの想いは全ての死刑囚の思いに通じると思う。俳句が分からないぼくにも迫ってくるものがある。文字を書いたのは向井孝さんだった。独特の親しみやすい字体だ。〔…〕】。