7月31日 ▼『わしズム』Vol.7(2003年7月、幻冬舎)に(対談)中村哲・小林よしのり「メディアのアフガン報道は嘘とインチキだらけ」。「米軍の撤退でカルザイ政権が一日ともたないとなると、どうなっちゃうんですか。また権力の空白地帯ができあがってしまうわけでしょ。」との問いに答えて中村は【タリバンと似たようなものが名前を変えて出てくるでしょう。極端にいうと、おらが村がちゃんと食えるようになれば、誰でもいいんです。アフガンにおいて国家は水と安全を保障してくれればいい、いわば江戸時代の徳川幕府のような役割をしてくれればそれでいいというのが、アフガン人の一般的な感覚だと思います。国家という枠組みに甘えて何でもかんでも面倒をみてほしいということではない。〔…〕タリバンを潰すといっても、極端な一部の勢力は別にして、タリバンがやろうとしたことはアフガンの伝統的慣習のエッセンスみたいなものですから、社会そのものを潰してしまわないとなくならない。だからタリバン的なものは消えないと思いますね。/〔…〕お客様は大事にするから、こっちが何もしなければ彼らも何もしない。弱い人が何かを表現する場合、テロ以外に方法がないということもあるんです。それだけ追いつめられているということですよ。〔…〕/テロリストの気持ちがわかるなんて言うと、お巡りさんにつけ狙われかねないご時世ですけど(笑)、言ってみれば赤穂浪士もテロリストだし、明治維新の志士だって、みんなテロリストだったんですよね。だから、やはりテロリストの言うことにも少しは耳を傾けてやらないといかんと思いますよ。】と述べている。▼アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名運動のサイトに、同事務局「米軍のイラク向け過小兵力の顕在化と海外過剰兵力展開の危機」03.07.25、および関連した邦訳記事として、ピーター・シュピーゲル「ペンタゴン 軍の士気に対する懸念が高まっている」03.26訳〔07.18ファイナンシャル・タイムズ〕、ピーター・グリアー、フェイ・バウアーズ「米軍隊は世界的拡張の限界点に近づいている」07.29訳〔07.11ザ・クリスチャン・サイエンス・モニター〕、ジョセフ・ギャロウェイ「米国は代替部隊を見出すのに苦闘している」07.30訳〔07.18 sanluisobispo.com〕。▼益岡賢のページに、エレイン・キャッセル「占領?イラクの人々に聞いてみよう」07.27益岡賢訳〔07.26 ZNet〕。
7月30日 ▼「港合同サンコー分会・でっち上げの組合弾圧」03.07.25レイバーネット、!▼「〈大学受験資格問題〉 「独自で認定を」と東京外国語大学教授会が決議、文科省、学長に要請へ」03.07.29朝鮮新報。関連読書録:03.03.19付、03.03.06付。▼「ストリートパーティへの弾圧に抗議する声明」。関連:「ANARCHY PEACE FREE!DUMB」 / 「早大処分策動阻止!緊急行動」。▼人権・報道・インターネットのサイト(情況に対して発言する)に、山下幸夫「長崎の少年事件から考える−刑法や少年院法の改正は必要」03.07.27。【私は、まず、これまでの報道等を見る限り、少年が殺人を犯したことを当然の前提としているが、そこに疑問を持たざるを得ない。それは、何よりも「無罪の推定」の原則が少年事件の場合にも貫徹されるべきであるとともに、本件について、少年は、殺害現場である「駐車場に着いてから、自分が何をやっているのか分からなくなった」と付添人に述べているようであり(Yomiuri ON-LINE7月17日)、少年が幼稚園児を突き落として殺害したのか(故意)、何らかの事故で落ちたのか(過失)は、現在も不明のままである。幼稚園児の命が奪われる結果が発生していることは誰も否定できないが、これらの事実関係を含めて、長崎家庭裁判所の判断が出されるまでは、勝手な推測で「殺人」だから重大な犯罪であると決めつけることは許されないと解すべきである。】【最後に、長崎の少年事件については、少年の生育歴を含めた情報公開を求める声が多く、長崎家庭裁判所での審判が非公開で行われていることに対して、「密室」だと批判する声も見られる。/しかしながら、テレビや週刊誌の報道を見る限りでは、今求められているという「情報公開」の多くは、覗き見的な欲求からなされていると考えられるものであり、そのような欲求を満たすために拙速な情報公開をするべきではない(朝日新聞7月25日付朝刊「三者三論」における後藤弘子氏のコメント)。/また、被害者に対しては、少年法が2000年に改正されたことから、ある程度の情報公開はなされるようになっている(本件の被害者の関係者において、第1回審判に関する記録の閲覧請求をする意向であることが伝えられている)。】。
7月29日 「米韓朝 ゆがむ三角関係/朝鮮戦争休戦50年」03.07.28東京(特報)。「朝鮮戦争、休戦協定締結50年/国連軍後方司令部 今も日本国内に/「有事」対応可能な態勢」03.07.20産経、【朝鮮戦争の休戦協定が結ばれてから今年七月二十七日で五十年になる。北朝鮮軍と中国人民志願兵に対して、韓国軍と米国を中心とした十六カ国からなる「国連軍」が戦った戦争はいまだ終わっていない。それどころか実は今もその後方司令部が日本国内に置かれている。(水沼啓子)〔……〕/朝鮮戦争の休戦協定が締結された翌年には、「日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定(国連軍地位協定)」が日本政府と米国、フィリピンなど国連軍の構成国との間で結ばれ、現在、日本と同協定を締結している国は十二カ国に及ぶ。/この協定に基づき、神奈川県座間市にある米陸軍施設「キャンプ座間」には国連軍後方司令部が今でも置かれており、現在、同司令部にはトーマス・シュナイダー後方司令官を含めて、米軍所属の兵士や民間人など四人が常駐している。また、協定締結国のうち米国を除く七カ国の日本駐在武官が国連軍の連絡将校を兼務している。/後方司令部の業務について、シュナイダー後方司令官は「朝鮮半島有事の際、国連軍として対応できる態勢を整えるための連絡や演習を行う際の支援を常時、行っている」と答えた。また、実際に朝鮮半島が有事になった場合は、「日本国内における国連軍の動員を手伝い、日本から出動する作戦部隊があれば支援する」という。〔……〕/一部の研究者の間では、日米間の“秘密了解”により、「米軍が国連軍として出動するときは事前協議は必要ないとされている」(土山実男青山学院大学教授)との議論もあるが、外務省はこの“了解事項”の存在を否定している。】。「対立と和解、二分される北朝鮮観―韓国 休戦協定調印から50年」03.07.27時事(世界日報)。関連:「50年目の証言・吹田事件とわたし 〜戦争と平和を考える〜」03.06.22吹田市民会館(平和に生きる権利の会)。
7月28日 『東京新聞』2003.07.27付に『「拉致」異論』書評として小倉英敬「排外主義だけでなく〈市民派〉の欺瞞も批判」、【昨年九月十七日の日朝首脳会談において北朝鮮側が拉致事実を認めてから、日本では「家族会」「救う会」「拉致議連」によって、「拉致」問題を踏み台として金正日体制打倒を暗黙裡に目指すキャンペーンが開始されている。そして、冷静に歴史的枠組みの中に日朝関係を位置づける作業が阻害される環境が生じてきた。/マスコミは裏付けなき情報を「特ダネ」としてタレ流し続け、他方「拉致」家族であることを口実として客観的であるべき外交政策の策定に介入し、北朝鮮との戦争も辞さないと公言する「拉致」家族による著書まで出版されている。/著者はこのような民族排外的な「保守化」傾向だけを批判しているのではない。さらに、このよな現象を拒否する左翼・市民派の中にも、首脳会談以後に進展した新たな事態の深刻さを十分に認識しようとしない傾向が存在すると批判する。著者は、かつて帰還運動に関わり、その後は金日成=金正日体制批判に転じ、現在は「救う会」会長となっている佐藤勝巳らの「転向」問題を、単に「転向」批判の視点からではなく、「転向」の契機となった事態を正視することで北朝鮮問題の実相を思想的に明らかにしている。/だが、その一方で北朝鮮の独裁政権下において進行してきた事態に目を覆い続けてきた左翼・市民派の「自己欺瞞」的な態度を抉り出す。著者は、このような視点から、あらためて、民族排外的な傾向を拒否する上での批判する側の主体性確立の必要を提起する。/著者が主張するように、独裁的で非人道的な金正日体制の延命には加担すべきではないだろう。しかし、このような立場は国交正常化交渉の早期開始の主張と相いれない選択肢なのだろうか。本書は、「拉致」問題で紛糾している日朝関係の進め方に関して、現時点でわれわれが選ぶべき道を真剣に考えさせる、辛口の刺激に満ちた書である。】。
7月27日 ▼「大阪市による野宿者の荷物撤去事件をゆるさない!真相報告集会」7月27日(日)18時30分、大阪・エルおおさか701号室(03.07.26釜ヶ崎パトロールの会ウェブサイト)、【5月29日、大阪市建設局西北工営所梅田出張所はJR大阪駅のバス停周りの野宿者たちの荷物を一方的に持ち去り焼却処分する事件を引き起こしました。今現在、その被害者たちや釜ヶ崎パトロールの会、市内各地の野宿者たちが大阪市に対して何度かの抗議行動や人権救済・告訴をふくむ法的手段をとっています。しかし今なお大阪市は被害者に対して謝罪も補償も行わない態度を変えようとしません。/大阪市は当初「そこにいた野宿者が荷物を処分してもいいと言ったから処分した」などとの発言を繰り返し事件を正当化しようとしましたが、撤去現場にいあわせた被害者のひとりが現場にいた作業員に「それは人の荷物だ」と伝え、むしろ仲間の荷物をまもろうとしていたことが抗議行動の中で明らかになっています。しかし、大阪市は現場の状況を調査するといったんは確約したにもかかわらず、「これ以上調査する必要はない」といいはなち、「今後も野宿者が起居していないとみなす場所に関しては、予告なしに撤去をおこなうことはありうる。その際、カバンなどの中身をいちいち確認することもしない」と開き直っています。所長みずからの口から「荷物を放置している側にも責任がある」との暴言も飛び出しています。/人が「それは大切なものだから処分しないでほしい」と言ったにも関わらずそれを一方的に『ゴミ』だと言い処分を行う・・・。焼かれる側とは何か。そして焼く側とは何かを私たちは改めて問わなければなりません。/昨年7月31日に成立した「ホームレス特措法」にもとづく国の野宿者対策「基本方針」案が現在、厚生労働省により発表されていますが、その中では法11条にもとづき、施設の管理者に排除の権限を与えるかのような条項や、「地域の安全を守るため」警察官によるパトロールを強化するなどの条項がふくまれ、実効性のある失業対策を何らおこなわない一方で排除・管理のみを強化するという非常に問題のあるものです。〔…〕】。▼〔再掲〕印刷博物館で企画展示「ブックデザインの源流を探して チェコにみる装丁デザイン」、2003年7月26日(土)〜9月28日(日)、毎週月曜日休。10:00〜18:00(入館は17:30まで)、主催:印刷博物館、後援:チェコ大使館・日本チェコ協会、企画協力:I.D.F.Inc. 協力:大阪市立近代美術館建設準備室・プラハ市民会館・カトーレック株式会社、入場料:大人800(750)円、高校生500(450)円、小中学生200(150)円※( )内は20名以上の団体料金。
7月26日 ▼『分』創刊号(2003年7月、ジェイティクリエイティブサービス、発売:小学館スクウェア)に、「〔…〕“金属の魔術師”との異名を持つ。たとえば、世界中のどの企業も作れなかった携帯電話のリチウムイオン電池ケース。岡野氏がこのケースを生み出したことで、携帯電話が普及したといっても過言ではない。」という岡野へのインタビュー「(先人の声を聞く練達者聞書。)日本人を思考する 岡野雅行」(文・小泉隆生)。「銀行は信用するな、国は信用するな、生命保険には入るな、人の保証人にはなるな、会社を大きくするな」という「五ヶ条の家訓」を「親父から受け継いだ」という岡野は【今の日本を見ていると、「低価格」っていうことばかりがウリになっている。そんなことばっかり考えているから落ち込んじゃうんだよ。あたしが常連で四〇年通っているてんぷら屋は、かなり高価だけど、いつだって混んでいるよ。低価格という発想ではなく、いいものが高いのは当たり前で、それで客が満足するものを作ればいいんだよ。安い、安いって、そんなことばっかり考えたり、求めたりしてたら、人間、品性がさsもしくなるって。/そしてそれ以上に、あたしはやっぱり努力が足りねえと思うな。〔…〕/いやね、みんな努力はしていると思うんだ。ただ、あたしが他と違うのは、すごい劣等感を持っていたということだな。常に自分をダメ人間と思っていた。学歴も地位もコネもない、あるのは生身の体だけで、努力しかなかったというか、努力するのが当たり前だったからね。普通の人の三、四倍は働いていたと思う。一〇年間は夜の二時三時に寝るような生活だったから。楽するようになったのは、つい最近のこと。でも今だって劣等感はある。習性みたいなもので、もっと努力しなくちゃって常に思っちゃうんだよな。】【それにね、手に職を持つためには失敗を恐れないことが大事だね。日本の大企業に技術力がなくなったのは、失敗を恐れているからなんだよ。もし、何か難しい技術開発の仕事を引き受けて失敗したらどうなると思う。給料やボーナスが減ったり、配置転換されたり、要するに安住していられなくなるわけだ。だから、難しいことに挑戦するより、できねえ、できねえって言っていた方が楽。そうやって失敗しねえ奴が出世できるのが大企業だから。でもそんなこと続けていると、企業の競争力はなくなる、挙句の果てにリストラなわけだ。】と述べている。▼ショートムービー「花とアリス」の第2章「花の嵐 I 秘密」07.25公開! 脚本・監督:岩井俊二、主演:鈴木杏「花とアリス」〔ネスレのサイト〕。関連:「ブロードバンド・ショートフィルム『花とアリス』第二章が近日配信開始!試写会に鈴木杏と蒼井優が浴衣で登場!」03.07.25 ASCII24ニュース。
7月25日 ▼「自殺者が5年連続3万人超 「生活苦」最多の8千人」03.07.25河北新報。関連:「自殺に関するページ」、「自殺問題のリンク集」、「「安楽死・尊厳死・自殺幇助」リンク集」、読書録02.09.26付。03.08.10追補:連載「自殺という選択 豊かさ漂流第1部」03.07.29〜03.08.04神戸新聞。▼「米英の戦争犯罪の原点−イラク戦争における民間人犠牲者」〔03.07.20アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名運動のサイト〕。データ、参考資料含めて必読!▼07.23リリースのサザンオールスターズ「涙の海で抱かれたい〜SEA OF LOVE〜」VIDEO CLIP(FULLバージョン)の限定公開は07.26まで。
7月24日 ▼拉致被害者・家族の声をうけとめる在日コリアンと日本人の集い(03.07.20東京)報告として集会報告にかえて―高柳俊男による「結びのことば」、実行委員会に寄せられた声(集会後)。▼『部落解放』第522号(2003年8月)が小特集“私論・イラク侵略戦争とメディア”、米原万里「CNNよりブッシュ寄り」。【以前からNHKには並々ならぬ敬意を抱いていたのだが、今回のイラク戦争に関する報道ぶりに接して、心から感謝せずにはいられなくなった。/9・11以降のアフガン国民なぶり殺しとも言うべきアメリカによる絨毯爆撃を報道する際に、アメリカ軍当局とホワイトハウス報道官の発表をただただ垂れ流すという報道姿勢に終始してくれたおかげで、戦争を日本の同盟国である世界最強無敵の軍事大国の立場から、要するに安全極まりない立場から高見の見物をする、という得難い体験をさせてもらえた。ピンポイント爆撃だってゲームとして楽しむことが出来たし、いたずらに戦争の悲惨さに胸痛めることのないように、間違っても空爆下の恐怖に思い至らないように、流血や死体を見せられて食事時の視聴者が食欲を失ったりすることのないようにと最大限配慮するNHKのデリケートな思い遣りには感心感嘆する。/このとき、おそらくわれらが視聴料で成り立っているNHKは、大量殺戮を国民の理解と協力のもとに報道する方法論を確立し、自信を深めたのではないだろうか。/というのも、イラク戦争に関する報道では、このやり方がものの見事にそのまま継承されたからだ。/まずは、まだブッシュが戦争をやりたくてウズウズしていた頃も、イラク関連報道の大半は各国政府と国連との間の、あるいは国連査察団とイラク、アメリカ当局とのかけひきに関する話ばかりで、それによって運命を大きく左右されるだろう普通の人々のことは全く問題にもしていなかった。「シルクロード」のような名番組を数々制作してきたNHKの取材網と優秀な人材を駆使すれば、もしも戦争になったら、どのような人々の上に爆弾が降るのかを、雄弁に伝えられただろうのに。二〇〇一年に国連が発表した「経済制裁によるイラクの死者の数百五十万、内六十二万人が五歳以下の子供だった」という統計数字を裏付ける生々しい実態を知らせることが出来ただろうのに。もちろん「公正中立」を旨とするNHKは、人々の情に訴えるようなそんな企画は慎んだ。/いざ戦争が始まると、またもやテレビゲームさながら目標に命中するミサイル、地図を背に戦況を語る報道官のしたり顔、戦術や兵器の性能について薀蓄垂れる軍事評論家。原爆並みの破壊力を持つデイジー・カッターも、爆発後無数の子爆弾が散らばって人々を殺傷するクラスター爆弾も、爆発後も長期にわたって放射能によって環境と人体を破壊し続ける劣化ウラン弾も、命中度や性能についてのみ語られる。この血も涙もない冷徹さは、なかなか真似できるものではない。〔…〕】。
7月23日 ▼広河隆一通信のサイト(HIRO COLULM)に広河隆一「シャッターを押せなかった 1 枚の写真」03.07.22。▼野田敬生「CIA Eats Yellowcake-gate」《公安情報 ESPIO!》Vol.219、03.07.15。
7月22日 鴻上尚史「第三者に自分の情報を把握される不快感について(連載 ドンキホーテのピアス430)」〔『SPA!』03.07.29号 掲載〕。エドガー・フーバーにふれ【長期政権が必ず腐敗するように、プライバシーを掌握した人間は、自分を守ることに有効なら、それを必ず使います。〔……〕それは、本来、人間が立てるはずのなかった“神の立場”に立つということなのです。】と指摘する鴻上は【だからこそ、監視していて偶然知った“女性問題”で相手を脅したとしても、それはその本人の人間性の問題ではなくて、システムの問題なのです。/『自由を考える』(NHKブックス)で東浩紀氏は監視カメラや住基ネットワークから逃れる自由を『匿名の自由』と表現しています。/そして、自分が自分でないという匿名性を獲得することで初めて、他人との交換可能性を持つのではないかと(僕のまとめ方ですが)しています。/けれど、今の世の中は、「あなたであること」ばかり求めている。このままでは、他人に対する“想像力”が失われてしまう。だからこそ、国民総背番号制を中心とする“監視社会”に反対しなければいけないんだ、ということです。/この論は、とてもロマンチックで、現実的論拠が薄いと言われるかもしれませんが、僕は好きです。/それは、Nシステムの画像をチェックしていた若き警官が、知らない男と乗っている恋人の映像をそこに発見し、「俺だって、見られている。歌舞伎町の監視カメラに、ふらふらと歩き回っている姿が写り、そしてそれを、俺の恋人に振られた別の警官が見ている。けれどあいつは黙っている。だから、俺も黙ろう」と画像を見つめ、そして、画面に男と一緒に写っている当の恋人は、「昨日、顧客情報を見てたら、彼のクレジットカードの履歴を見つけたの。びっくりしちゃった。歌舞伎町のお店ばっかりなんだもん。でも、黙っておこう。誰にも知られたくないことってあるから」と思いやるロマンと同じだと僕は言いたい。/『自由を考える』での一番、面白い部分は、東さんの「たとえば、労働者が自分の労働力を売って対価をもらっている。何が悪いんだと言われたら、悪いわけはない。この状況を『疎外』という概念でとらえ返すことで、マルクス主義が出てきたわけですよね。それは概念の発明です。今求められているのも、同じタイプの発明だと思うんです。個人情報を売って代価やサービスをもらう、個人情報を売って自由をもらう、そのDこがいけないのか。いけなくないんですよ。ただはっきりしているのは、にもかかわらず、これはなにかが間違っているのではないかと、多くの人々が不安を抱いているということです。その感覚を言葉や論理に変えていかなければならない」/――まったくの同感です、はい。】と書いている。
7月21日 『図書新聞』第2639号(2003年7月26日付)に「斎藤貴男氏に聞く『空疎な小皇帝』『いったい、この国はどうなってしまったのか!』 溢れる差別主義者」。「私たちの監視や管理に対する意識が後退したということなのでしょうか。戦争にしても、戦争体験に培われた反戦運動の根強さが風化したといわれるような問題と、それは通じるものなのでしょうか。」という聞き手・米田綱路の問いに答えて斎藤は【最近すごく思うのは、有事法制でこれから戦争ができる国になるんだというときに、僕らがふつう戦争というものに感じるイメージというのは、広島の原爆であり、東京大空襲でありというように、被害者イメージでしょう。いままで戦争を語るとき、そういうイメージばかりを言ってきたから、もちろん加害者意識云々という議論はあったけれども、おおかたの人には通じていなかった。「いまこれから戦争をするんだ」といっても、リアルなイメージにならないのはそういうことですね。/はっきり言えば、有事法制で戦争できる国にして、本当にやり始めたら、たぶん連戦連勝するんです。だってアメリカにくっついて行くわけだし、それでなくとも世界第二位の軍事予算を誇っている国なんだから、勝ちまくる。すぐには原爆も落ちてこない。/そのことが本能的に分かっているから、多くの人は戦争に危機感を抱かない。危機感を抱く人は、加害者の側に立ってきた人たちですよ。僕は親父がシベリア抑留帰りだったということもあって、相変わらず被害者意識が強いんだけれども、そこから先は想像力で、本来は加害者になること自体を恥じなければいけないとまず思いますね。もともと金のない貧乏なところを、金持ちが攻め込むだけでも恥ずかしい。さらにそこで虎の威を借りることはもっと恥ずかしい。もはや人間じゃない。本来ならここで、だから戦争をしてはいけないというところで話が終わるべきでしょう。/しかし、それでもまだわからないなら、被害者になるイメージを喚起するしかない。あえていうと、戦争をやれば、当然やり返される。アメリカだって9・11のようなことが起こるぐらいで、日本を攻撃するのはもっと簡単ですよね。第一アメリカでは、あの事件ほどには目立たないだけで、細かいテロは日常茶飯事でいっぱい起こってきたわけですね。/ですから、戦争をすれば日本はまったくアメリカと同じような国になる。常に何かのテロに怯え、その怯えがより強力な安全保障を求める話につながり、さらに攻めていってまた新しい恨みを買ってというふうに、未来永劫続くことになるでしょう。テロに怯える人々の恐怖を栄養にして、権力とその利益に連なる人々だけが肥え太っていく。イスラエルとパレスチナのようなことだって、特に朝鮮半島と日本ではあり得ないとはいえない。これはすごくリアルなことだと、僕は思っているんですけれども。】と述べている。
7月20日 「状況20〜21」サイトに、太田昌国「私たちに欠けていること 日朝首脳会談一周年をまぢかに控えて」〔03.07.17up、『反天皇制運動PUNCH!』33号(2003年7月8日)掲載〕。日朝首脳会談一周年を前に【「拉致」という国家犯罪のむごさに絶句し、同時にこの国のメディア報道とそれによって作り出されてきた社会的な「空気」のなかで、重苦しい日々を送ってきた私たちも、このまったく新しい情勢の下にあって、私たちがなしえたこと、いまだなしえていないことを点検する必要がある。/その作業を、私は、刊行されたばかりの『「拉致」異論 あふれ出る「日本人の物語」から離れて』(太田出版、二〇〇三年七月刊)において、ある程度まで行なった。ここでは、要約していくつかの論点を挙げておきたい。】との立場から太田は【率直な総括が決定的に欠けている】として【〔…〕何よりも自己点検が不可欠だと思ったのだ。/その点では絶対的な正しさを主張できる個人も運動体も、どこにも存在しない。/この時代の攻防の主軸は、有事体制の構築を推進する側とそれを阻止しようとする側の間にあり、「北朝鮮論」は必然的にその中で主要な論点のひとつとなる。/個々人も個別の運動体も、力不足を自覚しつつも、運動総体のあり方を点検しあう立場に立てばよい。/だが、率直にいって、この作業は、「進歩主義者」「良心的市民派」「左翼」のどこを見ても、決定的に欠けている。/「拉致はない」と言ってきた人も、「収容所国家=北朝鮮」の現実に目を瞑ってきた人も、「植民地支配の清算を終えていない段階で、相手国政府のあり方を批判できない」と考えてきた人も、多くは、率直な言葉遣いで内省することを避けている。/「無謬の思想」の呪縛から、まだ解放されていないのだろうか? これでは、小林よしのりに、ふたたび負ける。/「思想で生きているわけでもない、たかがマンガ家ふぜいは、過ちも犯すのだ」と、顔を赤らめた自画像を描くという「自己批評性」をもつ小林に負けるのだ。/小林との相対的な比較のうえでは「思想で生きて」おり、その思想が間違っていたことが明らかになっても、その過ちを率直に認めようとしない者たちは。/その光景を、私たちはつい十数年前に目撃したばかりだ。ソ連が崩壊し、自らが抱えてきた「理念」が死んだと考えた、少なくない数の人びとが口を噤んで逃亡した。冷戦とは、米ソ共存の構造であったとも言えると思うが、「その中でバランスをとっていたに過ぎないリベラル派や進歩派の多くも、ソ連崩壊でバランスを失い、転んだ」、とかつて私は書いた。/二度もこんなことを繰り返すわけにはいかない、と思う。だが、現実には、それが繰り返されている。私たちは、逆風に抗うための基本的な位置の取り方すら、まだ定めてはいないのだ。】と指摘している。
7月19日 ▼「強制連行文書:外務省が公開 存在否定後、地下書庫で発見」03.07.18毎日。▼岡留安則・篠田博之・川井良介「シンポジウム 個人情報保護法下のメディア批評誌」〔『出版ニュース』2003年7月中旬号、出版ニュース社、掲載〕。岡留は【かつてはリベラルといわれていた共同通信社がここ10年ばかりの間に管理化が露骨に進行しており、読売新聞社にしろ朝日新聞社にしろメディアが巨大化したために組織や資本の論理で動いていて、現場の記者までがその論理に組み込まれ、コントロールされてしまっています。そのため読者を大事にするよりも官僚や政府の方を向いてしまっているのです。/朝日新聞社は社員にIDカードを持たせていますが、これは企業の効率を優先する発想です。「住基ネット」は、市民をコントロールすることを狙ったものですが、その危険性について大手マスコミのキャンペーンが弱かったことも当然でしょう。これは、『朝日』ですら社内に「住基ネット」を取り入れているみたいなものですから反対できるわけがない。このような企業の管理化や論理によってジャーナリズム的報道、調査報道が消えてしまっているように思います。/最近、『朝日新聞』が曽我ひとみさんの家族の住所を報道しましたが、手紙が来たこと自体は報道すべきことでした。さらに『週刊金曜日』がジェンキンスさんのインタビューを載せ、『週刊朝日』が地村さん夫妻のインタビューを報道したことについても支持します。しかし、朝日新聞社は謝罪し、『週刊朝日』の編集長を停職処分、副編集長を左遷してしまいました。/北朝鮮拉致報道をコントロールしているのは、「救う会」「家族会」であり、その実体は現代コリア研究所の佐藤勝巳さんです。さらに、安倍晋三官房副長官、拉致議員連盟によって、マスコミが拉致被害者について不利な報道をしないようにということを大義名分にコントロールしているのです。拉致被害者報道は、いまや皇室礼賛報道と寸分変わりません。/可能であれば僕自身が自ら北朝鮮へ行き蓮池さんや地村さんの子どもたちにインタビューしたい、日本のメディアに総スカンを喰ってもいいからやりたいと思っています。これまで北朝鮮批判をやってきたので北朝鮮が入れてくれないでしょうが(笑)。】と述べている。
7月18日 ▼いがらしみきお『Sink』のサイト(オンラインで読む)に「第十八話」03.07.17公開(無料、shockwaveプラグインが必要)、必見!▼『週刊読書人』第2497号(2003年7月25日付)に「仲正昌樹氏に聞く 『脱構築のポリティクス』の刊行を機に」。【ロールズというのは、左翼の人にとっては踏絵になるようなところがあると思うんです。〔……〕/ロールズの正義論は当事者間での「公正としての正義」であって、歴史的に絶対性を帯びた善としての正義ではない。〔…〕僕はロールズの言っていることをデリダ的に受け止めたらどうなるかと考えたんです。ロールズが公正としての正義と言っていることを、こういう分配だったら貧乏人も一応納得するだろうということで終らせてしまうのではなく、いったん決めた枠の中で必ず不公正の「問題」は再浮上してくるので、それを契機にその枠自体を脱構築していけばいいのです。】とする仲正は【例えば国立大学の独立行政法人化でも個人情報保護法案でも、あれをやられたらすべて終りだという言い方をする人がいますが、作られたら作られたでやっていくしかない。〔…〕昔、左翼の運動で「遵法闘争」というのがありましたが、すべての法律を本当に遵守したら、国家は動かなくなるわけです。法的に「決定」するときの基準として何と何を考慮しないといけないという規則を作り、更にその規則を適応〔適用?〕する時にはどんな基準を考慮に入れるのかというメタ規則を作り、更に…とどんどん遡っていくと、結局、何も決められなくなる。どこかで誰かが「この辺で決めよう!」と決断しているわけです。デリダが『法の力』で言っているのはそういうことで、法律というのは、この状況だったらこう解釈するしかないと「どこか」で決断がなされないと機能しない。ですから、その「決断している人」に、あなたはなぜこういうふうに決断するのかと、既成の法の論理を使って迫っていくやり方もあるわけです。いったん法律ができたら、それをみんながうまく利用して、「内側」から攻撃していくという手もある。】と述べている。
7月17日 ▼おすすめの新刊! 安田敏朗『脱「日本語」への視座 近代日本言語史再考 II』2003年6月、三元社、本体2800円+税、ISBN4-88303-120-9。はしがき/第一部 多言語社会日本の来歴(英語第二公用語論から、多言語性認識の諸相から、近代日本言語史から、言語編制・言語政策・言語教育から、国語国字問題から、漢字政策史から)/第二部 多言語状況と学問・実践(方言学のばあい、国語学のばあい、日本語学のばあい、法律文体口語化のばあい)/あとがき。▼「傷跡残した『性同一性障害特例法』公布」03.07.17東京新聞(特報)。関連:米沢泉美編著『トランスジェンダリズム宣言 性別の自己決定権と多様な性の肯定』2003年5月、社会批評社。
7月16日 ▼「〈関東大震災-朝鮮人虐殺から80年〉 今も残る民族差別、蔑視意識作り出す」03.07.15朝鮮新報。▼「全国企業倒産集計2003年6月報」03.07.16帝国データバンク。▼「大量破壊兵器問題を皮肉ったサイト大人気」03.07.16 CNN。【ロンドン――イラクで大量破壊兵器をなかなか発見できない米国を痛烈に皮肉ったウエブサイトにアクセスが殺到している。英国人男性が「友人に向けた冗談」のつもりで作ったサイトがネット上で話題になり、一気に広まったようだ。/検索エンジン、グーグル(Google.com)にアクセスして英語で「大量破壊兵器(weapons of mass destruction)」と入力してみよう。検索結果の一番上に来るのがそのサイトだ。クリックすると、通常アクセスできないときに現れるエラーページそっくりの画面に切り替わる。しかし、よく読めばパロディーだとわかる仕組みだ。/表題は「これらの大量破壊兵器は表示できません」となっており、その下の説明は「あなたが探している兵器は現在利用できません。技術的な問題を抱えているか、査察官へ依頼することが必要でしょう」となっている。ページの下のほうには爆弾マークがあり、「もしあなたがドナルド・ラムズフェルト(米国防長官)ならクリックしてください」と皮肉られている。〔…〕】。→当該サイト(機械翻訳)。
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