5月31日 ▼中山博喜「ペシャワール・ゴミ事情」03.05.23ペシャワール会(歳時記)。▼「独立行政法人反対首都圏ネットワーク」のサイトに、同ネットワーク事務局「「国立大学法人法案」に対する国大協の対応と、今後のとるべき態度 国大協理事会において検討されるべき事柄」03.05.30。関連リンク:「「国立大学法人法案」関係6法案の概要」03.02.28文部科学省報道発表 / 「国立大学独立行政法人化の諸問題」 / 「国立大学「独立」行政法人化問題資料集」国立大学独法化阻止全国ネットワーク / 「国立大学法人法案に反対する意見広告の会」 / 「国立大学独法化阻止 全国ネットワーク」 / 「独立行政法人反対首都圏ネットワーク」。
5月30日 『現代詩手帖』2003年6月号(思潮社)が“戦後関西詩 現代詩のもうひとつの風景”を特集、金時鐘「短歌的抒情、この無明なる深淵」。【何かとてつもない変動がいま、平和主義国家の日本に起きつつある。〔…〕そのようなご時勢のただ中でさほど緊要なこととも思えない詩歌の「短歌的抒情」を論ずることは、いかにもちまちましい問題に自分がかかずり合っていう気がして気分が乗らない。ただ短歌的な叙情というのが詩歌だけにとどまる問題ではないという立場からなら、一考の余地は大いにある。短歌俳句は日本国民の広い共感を縒り合わすたしかな共通項ともいえるので、そこに働いている認識の度合はあるいは現今の日本の状況と深く関わっているものかも知れないからだ。】として、金は【抒情という、情念の流露のようなものに特別な意味を見ようとした小野十三郎氏は、叙情という言葉で言い表わせるものの内容を、辞書的な意味よりもはるかに広い幅と深みで汲み取った。その影響力や伝播性をも根源的なものとして感じ取り、一つの定型を音数律で成り立たしている韻律や声調にまで「古い奴隷の感情」を見て取って、それへの抵抗が「批評としての抒情」なのだと、「抒情の本質にある批評の要素」を射抜くための、「リズムは批評(思想)」というテーゼを提起した。〔……〕/これは多分に日本の現代詩の現状、疲弊と言おうか、観念の逼塞状態と言おうか、創作の実りとしては底をついている感じのその反動のようにも、短歌俳句は年を追って旺盛を極めて、なべて歌人、俳人の観を呈している。〔……〕/私たちの欲する歌がかくも無力に、かくも状況と無縁であっていいのか、どうか。それどころか世の動きから目を外らせ、関心をうすめさせているものにもし私たちの詩があるとすれば、その歌われる詩こそ批評であらねばならない対象としての歌ではなかろうか。ためにこそ「一定のゆるがすべからざる心的秩序」としての「抒情」、についての考察が私たちに必要であり、「民衆の言葉の中に絶えず宿っている短歌的リリシズムへの郷愁」を身をもって断ち切ることに徹さねば、リズムは批評だという短歌的抒情の命題にも思想にも近づくことはできない。/思い返せば朝鮮語のわが国においても、抒情は詩を律する最たる要素の情感であった。すぐれた詩は抒情的だといわれ、情趣の機微にも抒情、情緒は当てはまった。それでいていかようの心的作用が抒情なのかはとりたてて考えることでもなく、ましてや抒情が旧態依然の隷属の感情を検証する科学だとは、思いの一つも及ぶはずのないことなのだ。いみじくも「詩論」220は短歌的リリシズムの深淵をしかとのぞかせる。それはファシズムの精神の温床となったほど強烈であり、いまはよく「天皇制」を護持し得るほど強大なものだと。そしてこの断章は次の一語で結ばれる。「詩人とは自己の抒情が古いそれと質を異にしているという自覚を唯一の価値と心得ている人間のことだ。」】と書いている。
5月29日 インターネット新聞「JANJAN」5月28日付に山本千晶「隣国との付き合い方」。【半月ほど前、韓国の国会議員30名から、有事法制を国会で成立させないようにと、衆議院議員全員に要望書が送られた。/http://www.janjan.jp/government/0305193736/1.php/これに対する各氏の対応について、有事法制に関心を寄せている議員数名(「武力攻撃事態への対処に関する特別委員会」の委員)に聞いた。//上田勇 議員(公明党) 韓国政府として公式見解を出しているわけではないので、個人議員のレベルで要望をいただいても、ひとつの意見として受け止めるしかない。アジアの国々がこうした法案に対して懸念するのは理解でき、充分配慮して説明していかなければいけない。各国が心配する、かつてのような事態にはならないし、自民党にそうさせるつもりもない。公明党として、実際の運用に気をつけていく。/木島日出男議員 (共産党) 今回のことは非常に重視しており、アジアの人たちの声を聞くべきであると考えている。/平岡秀夫議員 (民主党) 戦争を繰り返さないという大前提はある。しかし、「有事」のときには、歴史的経験からしても、基本的人権が侵害されたり、政府や軍隊が民主的な統制から逸脱してしまう事態が発生しやすいということを踏まえ、それを防ぎたい。/樋高剛 議員(自由党) 有事法制に関するFAXは200通くらい来ているので、その中に紛れているかもしれない。(秘書談)//人によって反応は様々であったが、概して、今回の質問で慌ててFAXに目を通したと思われる議員が多かった。唯一、日本共産党だけが、この韓国からの要望書に自主的に反応したようだ。日本共産党は、15日に衆院本会議で有事法案が可決されたことを受けて、衆議院面会所で抗議行動を行った。そこで志位委員長は、「私たちは今日、こういうFAXを韓国からもらいました」と要望書について述べ、内容を紹介している。/共産党以外はこの話を話題にすることもなく、「ひとつの意見として受け止める」か、あるいは全く見ずに済ませたようである。また共産党も、取り上げたと言っても、有事法制に反対する材料として紹介した程度である。/これは、憂うべきことではないか。/平成14年度の外交青書によると、日本の外交は、血の通った「温かい」視点を忘れないよう進められているらしい。しかし現状は、要望をいただいておいて返事もしないどころか気にも留めない。/異なる文化で育った人と交流するのは難しい。きちんと説明したつもりでも、相手がわかっていないことも多くある。ましてや今回の有事法制には、隣国にも影響が及ぶかもしれない内容が含まれている。正式表明が後になるのは仕方のないことだとしても、せめて隣国からアプローチしてきたことならば、返事くらいはしてはどうか。誠意を持って対処する姿勢がなければ、「友好」だの「親善」を語る付き合いはできない。】。
5月28日 張明秀『謀略・日本赤十字北朝鮮「帰国事業」の深層』2003年4月、五月書房。【〔…〕「帰国事業」は確かに「間違い」であった。かつて朝鮮総連の活動家であった私は、そして現在も総連の活動を続けている者たちは、自らが犯した間違いを認め、その重い責任を果たさなければならない。/しかし、「帰国事業」という間違いを犯した者たちが朝鮮総連だけではないことを、ここに改めて明記しなければならない。】という立場から張は、【在日朝鮮人の北朝鮮への「帰国事業」は、日本赤十字社が仕組んだ謀略だった。一九五四年一月六日に北朝鮮赤十字へ打った電報で、帰国希望者の帰国援助を約束し、それを信じた北朝鮮から約束の履行を迫られるととたんに拒否し、その間に赤十字国際委員会と密約まで交わし、より大集団の在日朝鮮人を追放するという民族浄化の罠だった。/そして、金日成、朝鮮総連、日朝協会、日本共産党、旧日本社会党と自民党議員、知識人、マスコミ、皆、この罠にはまった。/「まさか赤十字がそんなことを」との疑問の声もあるだろう。しかし、先に紹介したNHKの「海外ドキュメンタリー」で、赤十字国際委員会のユダヤ人殺しが明るみにされたとおりである。〔……〕/日赤が赤十字国際委員会と密約まで交わして行った、在日朝鮮人の北朝鮮への「帰国」事業が、彼ら自身が掲げる「基本的諸原則」及び「機構的諸原則」を踏みにじるものであったことは明白である。/北朝鮮における日本からの「帰国者」の悲惨な実態については多くが語られてきたが、今日でもその惨状は変わらない。最近の訪問者の話によれば、「南朝鮮の情報部の手先」との口実で行方不明にされる事件も起きており、日本の肉親からの支援のない者は生きるすべGないという。日本からの訪問者に対する監視が厳しくなる一方、平壌では月利三〇%の個人金融が蔓延している。多くの人々が韓国に逃れている。中国東北地方には数十万人の北朝鮮からの難民がいる。その中には、数万人の日本からの「帰国者」も含まれているという。/「帰国事業」の当時、日赤は、北朝鮮への「帰国」対象者に八千名の日本人妻を挙げ、公文書の中で、彼らが「一旦北朝鮮へ帰れば、韓国へも日本にも戻って来れなくなるわけだが――略――日本を去るより救済の途がない――略――問題は緊急処理を要する」〔…〕として、彼らを北朝鮮へ追いたてた。/ところが、韓国の安企部(現在の韓国情報院)が、統一協会と「北朝鮮帰国者の命と人権を守る会」を使って「日本人妻の里帰り」運動を起こすや、日赤は一変してそれに便乗し、一九九七(平成9)年から日本人妻の里帰りを公然と要求した。そして、すでに数十名の日本人妻が密かに日本へ帰っているともいわれている。またこれも、まさしく朝鮮人に対する民族差別であり、赤十字の「基本的諸原則」に違反する行為ではないか。/日本赤十字社の謀略と欺瞞は現在も終わってはいない。】と結語している。
5月27日 明石散人「連載・アカシックファイル―未来の記憶―(スペシャル) 世界の「黒幕」は誰か」〔講談社刊『IN☆POCKET』2003年5月号掲載〕。【もはや旧来の定義では世界は読めない】と指摘する明石はイラク戦争について次のように書いている。【〔…〕ブッシュは国連決議を待たずに攻撃を始めましたね。この自明の事実をしっかりと認識することが大事なんです。/そして、ブッシュの真の狙いは中東の石油などではない。これが今度の戦争を考える上での基本中の基本です。中東の原油の埋蔵量は多少の変動はあるかもしれませんが、十年のスパンで視れば、中東全体でも千二百兆円しかありません。千二百兆円というのは、アメリカの一年分のGDP相当なんですね。その程度のものをアメリカが世論の反対を押しきり戦争をしてまで本気で欲しがるわけがないんです。ちなみに世界第二位の埋蔵量と言われるイラクは千百億バレルほどで二百六十兆円、日本のGDPの〇・五年分、アメリカの〇・二年分にすぎません。/アメリカの実質埋蔵量はオイルサンドも含めればずっと多くて千五百兆円もありますし、イギリスの北海油田だって八百兆円もあるんです。なのに石油ほしさだけで、彼らが本気で戦争をするでしょうか。/ブッシュはフセインを倒す大義を手に入れるために、安保理で国連決議が可決される必要があった。だから安保理規定の九票を確保するために、あと八票をどうしても取りたかったのだ、と言われているけれども、この分析も正しくありません。なぜかと言えば、もしアメリカが八票を取ったとしても、フランスやロシアが拒否権を行使すれば、決議案は成立しないからです。ではブッシュの狙いは何だったのか。/ここが大切なんです。ブッシュは、フランス、ロシアに拒否権を出させたかったからこそ、どうしても八カ国を押さえたかったんです。フランスが拒否権を行使すれば、ロシア、ドイツはもちろん、中東アラブ諸国やアフリカの一部もフランス側に加担するでしょう。すると独仏露、中東アラブ、アフリカという縦の経線軸に、一大勢力が生まれます。これは別の角度から見ると、ユーロ圏でもあるわけです。金融市場ではすでに、ユーロがドルに対して高くなっているし、今後中東アラブの基軸通貨はどんどんユーロになっていくでしょう。ユーロが勢力になるんです。/つまりブッシュの真の狙いとは、東西冷戦に代わって、経線軸と緯線軸の争いという新しい冷戦構造をつくりだすこと。これが今回の戦争の根本にあるんです。/だから常任理事国のフランス・ロシア・中国が持つ拒否権というカードが切られれば、ブッシュは国際連合を脱退し、続いて即座に小泉とブレアの二人も脱退を表明する。これにスペインとオーストラリア、中南米などが同調すれば、それだけでGDPの合計が世界の六五パーセントを占めることになる。これで新しい「国際同盟」が誕生するんです。国際同盟=六五対国際連合=三五の対立ができ上がる。〔……〕/そもそもアメリカがこれほどまでの強大な国になり、今日の繁栄を築くことができたのは、第二次大戦後の米ソ冷戦構造の存在にこそありました。〔……〕/〔…〕経済の世界では、六五対三五というのはトヨタと日産みたいなもので、長期間それなりの均衡状態を保つことができるわけです。したがって、日米英の横軸の新しい国際同盟と、独仏露を中心とする旧来の国際連合との対立構造では、米ソの冷戦構造よりさらにしっかりした枠組みができあがり、アメリカは向こう五十年商売ができ、そして同盟国にも五十年の繁栄をもたらすんです。このブッシュの構想にブレアと小泉は乗ったんです。】。05.29追記:田中宇「ドル安ユーロ高とアジア」03.05.28。
5月26日 福田哲之『文字の発見が歴史をゆるがす 20世紀中国出土文字資料の証言』2003年3月、二玄社。【紙に活字で印刷された一般の文献資料に対して、一次資料である出土文字資料の検討には、内容のみならず、それがどのような書体でどのような素材にどのような用具で書かれているか、といった文字にかかわる諸点を総合的に踏まえる必要がある。現行の文字に書き直された釈文のみに依拠した研究がきわめて危ういことは、しばしば指摘されるところである。】と強調する福田は【睡虎地秦簡の発見の意義は、何と言っても始皇帝と同時代の資料が出現した点にある。〔……〕睡虎地秦簡の文字に目を転じ、書道史・文字学上の意義について見てみよう。〔…〕睡虎地秦簡の発見によって、われわれは初めて『説文解字』叙に記された秦の隷書の実例を目にすることができるようになった。〔…〕全体として見れば、小篆にくらべてかなり漢隷の形体に接近している。〔…〕睡虎地秦簡の文字は、簡略化がすでにかなり進行した段階を示しているのである。他方、秦における小篆び位置づけについても、広く通行していたのはあくまでも隷書であって、小篆は秦始皇帝刻石のような皇帝や国家に直接関与する記念碑など、きわめて限定された用途の文字であったことがあらためて確認された。/それでは、睡虎地秦簡に見られる秦隷様式は、いつ頃どのようにして成立したのであろうか。この問題を考える上で注目される資料が、一九七九年に四川省青川県[赤+おおざと]家坪秦墓から出土した青川木牘である。青川木牘は、秦の武王二年(前三〇九)から同四年(前三〇七)の間に書写された「田律」に関する文書であり、現時点においては戦国中期から後期にかけての秦簡文字の実態を示す唯一の資料である。〔…〕つまり、青川木牘は、始皇帝より百年前の戦国時代後期に、すでに秦において隷書が通行していたことを明確に示しており、従来通説とされてきた、始皇帝の天下統一にともなって隷書が生じたという『説文解字』叙の記述は、誤りであることが判明したのである。/ただし、『説文解字』叙において隷書の誕生が官獄の実務の繁忙さと関連づけられて説明されている点については、一面の事実を伝えていると考えられる。法治国家をうち立てようとする秦においては大量の行政文書の流通が必要であり、そのために簡略化された機能的な書体の整備が不可欠であった。〔…〕戦国時代の秦では他の列国に先駆けて隷書革命が推進され、それが法治国家を建設し、やがて諸国を併合していく重要な基盤となったのではないだろうか。】と書いている。
5月25日 ▼「重力」のサイト(web重力)に03.04.06に行われた「重力02」刊行記念ライブトーク(青山ブックセンター)の記録、「1968年の「重力」(1)」/「1968年の「重力」(2)」/「1968年の「重力」(3)」/「1968年の「重力」(4)」。▼吉田正弘「イラク戦争劣化ウラン情報 No.1」03.05.22アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名運動。▼益岡賢のページに、スコット・ハリスによるチャーリー・クレイとのインタビュー、益岡賢訳「戦争の不当利益とハリバートン」03.05.22〔03.05.20 ZNet〕。▼在日韓国民主統一連合・在日韓国青年同盟・在日韓国民主女性会・在日韓国人学生協議会「声明 有事関連三法案を廃案にしろ」03.05.15。
5月24日 承前、辛淑玉『鬼哭啾啾 「楽園」に帰還した私の家族』。【日本人が、北朝鮮にかかわる問題になると冷静さを失ってしまうのはなぜなのか。】と問う辛は【私は、これには二つの理由があると思っている。/一つは、植民地政策によって植え付けられた朝鮮人に対する差別意識だ。/その差別意識ゆえに、恐怖心を自分たちで作り上げている。/「いつかやられる」……その恐怖心がパニックとなる。/かつて、ソ連が仮想敵国とされていたころ、仕事でノサップ岬に行くと、よく右翼の人たちが車で遊びに来て、さんざん騒いで、太鼓叩いて、お土産買って、温泉入って帰って行くのを目にした。仮想敵国としてのソ連に危機のリアリティを感じていた日本人は、皆無だったと言ってもいいだろう。/中国が核実験をしても大したニュースにもならない。なのに、なぜ、相手が北朝鮮だと、たかがテポドンを打ち上げたくらいで危機のリアリティを感じてしまうのだろうか。/おそらく、自分たちが朝鮮人を抑圧していると内心では自覚していて、いつかその仕返しをされるという、自分自身で増幅させた恐怖心のせいだろう、と、私は推察している。/もう一つは、北朝鮮の体制の中に、日本人が自分の心の片隅に追いやっているもの――醜いと感じ、忘れたいと思っている部分――を、見てしまうからだ。/かつて日本人は、天皇の「ご真影」を抱き、皇国臣民として戦争を行った。そして敗戦。「大和民族の優越」は全否定され、「大和魂」は、もろくも砕けた。そしていま、隣の国北朝鮮では、偉大なる指導者を頂点にいただいて、言論の自由もなく、それに何ら逆らうこともできず、ただひたすら恐れ敬っている。戦時下の日本とまったく同じである。そうした「一人の指導者にひれ伏している醜い人民の姿」に、かつての自分たちの姿を映し見るからだと私には思える。/人間は、見たくないものを見せられたときにパニックに陥る。/差別意識と裏オモテの関係にある恐怖。さらに、一番見たくない部分が、これ見よがしに目の前に突き付けられたときの嫌悪感。この二つが重なって、相手を撃つ。/その矛先が、抵抗できないチマ・チョゴリを着た子どもたちに向けられる。/あの子たちは、傷つけられた日本の民族的優越感の代償として叩かれているのだ。】と書いている。関連サイト:辛淑玉works。
5月23日 新刊! 辛淑玉『鬼哭啾啾 「楽園」に帰還した私の家族』2003年5月、解放出版社、ISBN4-7592-6217-2。【国という字は、王様を囲むと書く。それだけでも気分が悪い。国旗や国家のために、名もなき人びとがどんな目に遭ってきたか……。】という辛は北朝鮮への帰国事業について【「人道」という美名のもと、あらゆる政党・団体が支持して帰国事業をおしすすめ、帰国を「祝福」した。〔……〕目の前にある差別を解消するための労力を惜しみ、みずからを切開し体質を変える痛みから逃げて、在日がどこか見えないところに静かに消えて行ってくれることを望んだのではないだろうか。〔……〕結局、、右も左も、「帰国」という名のもとに、在日朝鮮人を「厄介払い」することに手を貸していった……。】と指摘し【一方の当事者である北朝鮮は、どうして帰国者たちを受け入れたのだろうか。/先日、北朝鮮から亡命した政府高官がテレビのインタビューで、「当初、共和国は、在日は乞食同然の生活をしていたと思っていたが、いざ帰国すると、みんな共和国の人々よりも豊かで驚いた。北にとってメリットだったのは、在日の財産、先端知識、労働力である」と語っていたのを観た。/さまざまな憶測が流れているが、私は、これらに「面子」を加えたい。〔……〕/北朝鮮の支配者層にとって、資本主義の国で貧窮に苦しんでいる人々を暖かく迎え入れ、衣食を与えて保護してやるというストーリーは、韓国との対立のもとで、自分たちの優位性・正統性をアピールする手段としては実に魅力的だったのだろう。/その「資本主義の国」が、かつて自分たちの国を植民地として支配した日本であればなおさらのことだ。/宣伝の目的が達成されれば、あとは、お払い箱。継続して配慮が払われることはない。〔…〕/一方、日本の一部には、反共主義の立場から北への帰還に反対する人たちもいた。しかし、その人たちは、在日朝鮮人が北に向かった理由である、日本でのいわれなき差別を解消するために努力しただろうか?/韓国も、北への帰還に強硬に反対した。/では、その韓国は在日朝鮮人を受け入れるようにしたのだろうか?/ほとんどすべての在日の出身地は、韓国の領域内にあった。本来なら、帰るべきふるさとの地は韓国だったのだ。だがその韓国は在日に「北朝鮮のスパイ」という烙印を押し、排除こそすれ、受け入れることなどなかった。韓国で民主主義が圧迫されると、それだけ北への帰還希望者が増えたのだ。/だが結局、韓国が在日をスパイ扱いしたのと同じように、北もまた、日本からの入国者を反動分子としてとらえたと考える方が自然だろう。〔…〕/北朝鮮に必要だったのは奴隷であって、人間ではない。】と書いている。
5月22日 ▼韓国「民衆連帯が公式発足」03.05.21中央日報、【全国民主労働組合総連盟(民主労総)、全国農民会総連盟、民主労働党など37の労働、農民、在野運動団体が結成し、常設共同闘争組織として活発な活動を繰り広げてきた「全国民衆連帯準備委員会」が、2年余間の準備期間を経て21日、「全国民衆連帯(以下、民衆連帯)」として公式発足した。〔…〕】。▼ペシャワール会のサイト(ペシャワールから沖縄へ)に中村哲「井堰・ため池に着手 干ばつにあえぐアフガン」03.05.07〔03.04.27沖縄タイムス〕。【アフガニスタンは今、米軍の攻撃に加えて、干ばつであえいでいる。人口の半分に当たる千二百万人が被災、四百万人が飢餓線上、百万人が餓死線上にあり、家畜の九割が死滅したといわれる(二〇〇〇年六月、WHO)。パキスタンに逃れた難民・二百万人という数字が雄弁である。〔……〕/PMS(ペシャワール会医療サービス)が現在、最も力を注いでいるのが、この干ばつ対策である。乾燥地帯であるアフガニスタンで、九割を占める農民・遊牧民たちの生存を可能にしてきたのは、世界の屋根・ヒンズークッシュ山脈の白い万年雪である。冬に積もる雪が夏に解け出し、川沿いに沃野(よくや)を提供する。いわば巨大な貯水槽である。/だが今、この白雪が次第に消えている。地球温暖化で、暖かくなると一挙に鉄砲水のように解け下り、大地が干上がってしまう。砂漠化が確実に進行している。/そこで私たちは、井堰(いせき)・ため池など、日本式の水利事業に着手した。自分が日本人だからではない。現地と日本は、自然条件と治水対策が非常に似た点があるからだ。〔……〕/私たちの先祖が千数百年をかけ、営々と築き上げてきたものが、現在各地で無数に見られる井堰・ため池・堤である。大河の水を利用できる地域が限られ、急しゅんな地形、無数の小渓谷と小河川、一定時期に集中する降雨、これらはアフガニスタンも同じである。/ところが日本で、水理工学の専門家筋に尋ねたところ、現在わが国では、都市用水、工業用水、防災が主流で、灌漑など農業土木の技術は廃れつつあるのだという。さらに、農業土木の基本技術は江戸時代に完成し、明治以降はそれを引き継いだものらしい。〔……〕/結局、私たちが採用したのは、現地の技術である。アフガニスタンでは石工が健在であるし、鉄線で蛇籠を作る職人もいる。水路掘削なども、大抵の土木機械が現地で維持できないので、つるはしやシャベルでの人海戦術に落ち着いた。つまりは、すべて地元の素材と技術を基礎に、昔の日本の農業土木の復元を図るようなものである。/帰国中は、近くの堤や、川筋を熱心に散歩して、昔から残っている工法を調べた。調べるほどに、見事だとしか言いようがない。無駄なく自然の生態系に溶け込んで、他の生物たちと共存している。堤は養魚地でもあるし、周囲に植えられた落葉樹の森は豊富な有機質の腐葉土を作る。石垣は、魚や動物たちのすみかを提供する。/だが今、あらためて田舎の風景を見ていると、何やら寒々とした気持ちに襲われる。日本中の小川がコンクリートで固められて、どぶ川に近いものも少なくない。田んぼが宅地に転用され、無用なまでの砂防ダムが至る所に見られる。魚、カニ、カエル、アメンボなどの水生動物は絶滅にひんし、日本農業の衰退を告げている。〔…〕】。
5月21日 ▼「目取真作品初の映画化/自ら脚本、書き下ろし」03.05.20琉球新報 / 「目取真俊さんが初脚本/短編「風音」映画化」03.05.20沖縄タイムス。▼佐野正人「ポストコロニアル・ニュース」のサイトがこのほど「ポストコロニアル・ニュース 21世紀の人文学のために」としてリニューアル。「リニューアルのご挨拶」。07.29補記:URL変更→http://www.magicalweb.to/~msano/。▼国立歴史民俗博物館のサイトに、「弥生時代の開始年代について」。【九州北部の弥生時代早期から弥生時代前期(年表参照)にかけての土器(夜臼II式土器・板付I式土器)に付着していた炭化物などの年代を、AMS法による炭素14年代測定法によって計測したところ、紀元前約900〜800年ごろに集中する年代となった。/考古学的に、同時期と考えられている遺跡の水田跡に付属する水路に打ち込まれていた木杭2点の年代もほぼ同じ年代を示した。/これらの年代の整合性を確かめるために、前後する時期の試料、同時期の韓国や東北地方の試料の年代を測定した結果、以下のことがわかった。/1) 韓国の、この時代に併行するとされる突帯文土器期と松菊里期の年代について整合する年代が得られた。/2) 考古学的に、この時期と前後する土器の型式をもつ土器の試料の年代値と考古学的編年の間にはよい相関が得られた。/3) 遺跡における遺物の共伴から、同時代とされる東北地方の縄文晩期の土器の年代と強い一致が得られた。/以上のように、夜臼II式土器・板付I式土器を使用していた時代は紀元前9〜8世紀ごろ、すなわち日本列島の住人が本格的に水田稲作を始めた年代(夜臼I式)は、紀元前10世紀までさかのぼる可能性も含めて考えるべきであることが明らかとなった。/なお、この成果は平成15年秋に開催の「先端科学による歴史発見(仮)」において展示される。】との概要につづいて、研究の経過、炭素14年代にもとづく弥生時代の開始年代、補足資料I 「炭素14年代測定法」、補足資料II 用語についてと順次、解説されている。
5月20日 ▼73年デビューのロックバンド「外道」のアルバム“ベスト外道”AICL-1434が03.06.25発売。03.05.19開始の全曲試聴は「外道」オフィシャルページへ。▼子安宣邦のホームページ(私のコラム)に、子安宣邦「漢字と自己意識」03.05.16。【外来性の標識を付しながら漢字に異言語性を負わせる見方は、強い自国語意識をもった近代の国語学者ばかりではなく、多くの日本人にも受け入れられていった見方である。〔…〕/しかし日本にとっての漢字受容とはみずから選び取った結果ではない。東アジアにとって中国とは初めから所与として存在していた文明的優越者であった。漢字とは東アジアの諸国にとってこの優越者から受け取らざるをえない文明的贈り物であった。〔…〕だが異質的な他者への排外的な反発とともに形成されたこの近代の自己を、現代日本の批判的な分析的視点はもう一つの自己、潜在する自己意識として再構成していった。文化的強者が残していった心理的トラウマを負い続ける自己として。文化的強者としての異質的他者、それなしには自文化も自言語も存立しえないような異質的他者、それを余儀なき前提としもたざるをえない、あるいは含み込まざるをえない自己としてである。日本における自己をこのように批判的に再構成するのは日本精神分析の視点である。/国語学者は近代の自言語意識を歴史的に遡及させ、それを国語の意識として再構成していった。日本精神分析の視点もまた自言語の意識を日本文化を潜在的に規定する歴史的な自己意識として再構成する。漢字とはこの日本精神分析的視点によって、日本人が文化心理的に負い続けねばならない強者が残したトラウマとなる。だが日本精神分析的視点が見出し、分析する自言語意識とは、国語学者が見出し、記述したのと同じ近代の自言語意識でしかない。この自言語意識にとって漢字とは異言語性を負わされた異質的他者として常にあるのである。近代の国語学者はこの異質的他者・漢字に反発しながら、漢字の受容基盤に固有言語を歴史のうちに幻想的に存立させていったのである。それに対して日本精神分析家は異質的他者・漢字というトラウマを負い続ける自言語意識を歴史のうちに潜在させ、それを文化心理的な規定因としながら言語論的な日本文化論を構成していくのである。/だが外部性をその由来からもつ漢字をただ異質的他者とみなすことは、閉ざされた内部的な自己をしか生み出さない。日本精神分析の立場が構成する言語論的日本文化論から、丸山真男による歴史意識の古層論と同じ閉ざされた内部性の響きが聞こえてくるのはそれゆえである。私たちはいま漢字を自言語の展開に不可避な他者とみなすべきである。あらゆる自然言語に他言語を前提にしない純粋な自言語などはありえない。純粋言語とは比較言語学が構成する祖語のような人工言語学的な抽象である。漢字とは排他的に自己を生み出すための異質的他者でもなければ、受容者の自言語意識が負い続けねばならないトラウマとしての異質的他者でもない。それは日本語の成立と展開にとって避けることのできない他者である。漢字とは日本語にとって不可避の他者である。それは自言語がたえず外部に開かれていくことを可能にする言語的契機としての他者である。】。
5月19日 『図書新聞』2630号(2003年5月24日付)に「朝治武氏に聞く『「水平社伝説」からの解放』『水平社の原像』 部落解放運動の原像/水平運動史研究の新たな地平を切り拓く」。【これまでの研究は史料を生かした歴史研究になってないという印象を持った】【実際の歴史を通して、自分の運動観や部落観を表現したい】【私には部落民という存在のあり方を問いたい】という三つの動機が研究に向かわせたという朝治は【これまでの水平運動史研究は、実は思想史的評価がきつくて、どうしても現実の政治の反映になっているところがある。つまり、運動史として自立していあにのではないかということなんですね。だから、研究としての運動史がいま必要なんです。〔……〕/〔…〕研究が研究として自立していないから、自立させようというのが基本的な私の考えです。藤野豊さんは以前、このようなことを強調しておられましたが、逆に現在の藤野さんにいわせると、いまの研究は純学問過ぎて、研究の自立をいうあまり、現実の運動や部落問題との緊張関係を欠いているという傾向もあるようです。/特に社会構築主義が出てきてから、言説分析が主流になってきているでしょう。実態分析との関係ではなく、物事を究極のところ言葉の分析によって捉えようとする、言語論的転回や社会構築主義はそのような傾向をもっていますし、いまの歴史学はその影響が強いですね。】【部落差別とは何であり、部落解放をいかに展望するかということは今現在でも問題だし、私の現実的な問題意識はそこにあるから、戦時下について書くときも、水平社創立のときを書くときも、いまの私自身の問題意識や現実の運動の状況との緊張関係で、どう想定するかということが大切なのです。でも、それはものの見方であって、歴史研究になった場合、その時代に身を置いて考えないといけないし、そこで二つの操作をしなければいけない。思想史の安丸良夫さんも『〈方法〉としての思想史』(校倉書房、一九九六年)のなかで、その時代と自分といまの状況と、常にその三つの足をもって歴史に取り組むと書いておられました。それは非常にむずかしい課題ですけれども。】と述べている。
5月18日 ▼「韓国−日本−東アジアを揺るがす大闘争〜韓国のトラック労働組合=「貨物連帯」のストライキ闘争に連帯しよう」03.05.16レイバーネット。関連情報リンクも。▼承前、『週刊読書人』第2488号(2003年5月23日付)に「大西巨人氏に聞く 『神聖喜劇』、それ以後〈2〉」(聞き手=鎌田哲哉)。「歴史の偽造」についてつづけて大西は【もうひとつ例を言うと、前に「新日本文学」で、安部公房や埴谷雄高、関根弘とやった座談会があってね。フルシチョフのスターリン批判が出た頃だったと思うが、それを『安部公房全集』に採録したいという依頼が来たんだ。ただ、私の発言の中に、「スターリン個人ぼろくそ批判に反対なんです。『非スターリン化』、――不愉快な言葉だ」というのがあった。そこだけ読むと、大西はスターリン崇拝なのかと思う人だっているかもしれないでしょう。もちろん本意は違いますよ。ある政治上の事柄が起きた時に、事態を特定の個人の特殊性だけにもっていって話をすることがいけないと言っているわけ。確かにスターリンには否定・指弾するべきところがあるが、すべてをスターリン個人にくっつけてしまうと、真の状況が見えなくなってしまう。その時周りにいた他の人間は何をしていたのか。みんなスターリンに追随していたんじゃないか。だから、スターリン主義について批判するなら、スターリン個人だけに話を持っていったらいけない。そのことを座談会では言った。「反『スターリン主義』」と「『反スターリン』主義」との違いね。ところが後で文字面だけ見ると、大西は「スターリン批判」に反対している、スターリン賛成派だ、ということにもなる。それも、いわゆる歴史の偽造だよ。】と述べている。
5月17日 承前(読書録05.08付のつづき)、『週刊読書人』第2488号(2003年5月23日付)に「大西巨人氏に聞く 『神聖喜劇』、それ以後〈2〉」(聞き手=鎌田哲哉)。大西は【歴史の偽造ということについて言えば、こういうことがあるんだよ。非常に卑近な例を出すと、昔、光文社争議というのがあった。ちょうど『神聖喜劇』の初めのほう(「カッパ・ノベルス」版)を出してしばらくあとの頃なんだが、第一組合と第二組合が出来て、第一組合の方がストを強行した。その時に、組合の委員長をしていた男が寄稿家のところへ行って、「我々に協力して執筆を拒否してくれ」と言ってまわった。反体制的・左翼的立場を取っている人たちは、それを断ると、「お前は資本家の味方か」と言われかねないから、みんあびびってしまってね。しかし、断わっておいて、当時の経営陣に「俺は組合の執筆拒否要請を断わって、あんた方に味方したんだ」と自分を売り込んだ推理作者もいた。私のところにも来たから、こう言ってやったんだ。「君たちは、自分たちはストをやっているが、スト中も月給は払えと言っている。ならば、寄稿家の印税も一割であるところを一割二分に、原稿料が三千円なら五千円に、会社に要求することで共闘しましょうと。そうなぜ言わないのか」と。でも、彼らはそんなことはしない。自分らはスト中も金を払えと言い、寄稿家には執筆を拒否しろと言う。それならば、俺はお断りすると。大体、ストというものはそういうものなんだよ。鉄道会社が春闘をやれば、大衆の足を奪うことになる。そんなことやらんで、スト中はただで乗客を乗せるというふうにやれば、みんな支持するよ。〔…〕/その頃、新左翼=全共闘にいた人(私は全然知らない人)が、一昨年だったか、業界紙みたいなものに、光文社のことを書いた。「光文社が出版社として歴史に残る業績は『神聖喜劇』ひとつである。その作者の大西巨人氏は、あの争議の時に、第一組合が寄稿家に執筆拒否しろと言ったのを拒んだ人であって、今の経営陣は大西氏に感謝しなければいけない」というようなことが書いてあった(笑)。もちろんその筆者は事の本質を知って書いている。ところが、知らん人がそれを文字面だけ読むと、大西は経営者の味方だった、争議の時に組合側からの共闘を拒否した男であるということになる。これが歴史の偽造ということですね。刑法には放火罪と出火罪があって、出火罪も罪にするでしょう。もちろん過失だから罪は軽いんだが、歴史の偽造については、故意をもってやった場合と同罪になるんだよ。】と述べている。
5月16日 ▼帝国データバンクのサイト(倒産速報&集計)に「全国企業倒産集計2003年4月報」。「今後の問題点」として【「産業再生機構」が4月16日に発足、5月8日から業務を開始した。金融・産業一体再生の担い手として注目を集める同機構からは「5年間で100件以上の案件を手がけたい」といった意気込みが伝えられている。同機構の機能は極めて法的整理に近いものだが、金融機関以外の一般の取引先には影響が及ばないとの相違点がある。6月には第1号案件が決まるというが、銀行の債権を「適正の時価」で買い取ることの曖昧さや、そもそも本業回復が可能な企業の債権を売却する意義が不明確であるなどの矛盾をどう消化していくか。銀行からは「実際には他行の様子を見ながらということになる」(大手銀行)、あるいは「メーンバンクとして持ち込めというならば失敗できない案件という選択肢しかない」(地銀)と距離を保とうとする声が漏れる。尖鋭化する銀行間の利害対立を緩和する役割を担うとしても、銀行側がそこまで再生機構に依存して企業再生を図る道を選択するかどうか。矛盾が未消化のまま残る形で、結局は法的整理に移行せざるを得ないケースも出てこよう。〔……〕/2003年4月の倒産件数は1514件で、前月比3.4%、前年同月比で7.7%減少したが、4月としては2000年の1562件に次いで戦後9番目を記録、倒産は依然高水準にある。しかし、今年に入り倒産は1500件前後で推移し、凪の状態が続いているかのようだが、不況型倒産の構成比が77.2%と12ヵ月連続75%を上回り、売り上げ急減から事業継続断念に追い込まれる中小零細企業が多いことに変わりはない。一方、負債額は9030億5500万円で、前月比23.6%減、前年同月比29.3%減とともに2ケタの減少となったが、4月としては戦後6番目の水準にある。月中、レジャー施設「レオマワールド」を運営していた「レオマ」(負債1394億円)が最も負債規模の大きな倒産となったが、負債100億円以上の倒産16件のうちゴルフ場運営を含めたレジャー関連、不動産関連が過半を占めるなどバブル期に多額の借入金を抱え、利害調整が遅れて事後的に処理されていく企業が目立つ。しかし、過剰債務を抱えながらもなりふり構わず相手を探し出して統合の意思表示をする大手企業、極端な業績不振に陥っている中堅・中小企業についても、株価の下落や円高、米国景気の更なる悪化、SARS(重症急性呼吸器症候群)の影響拡大など大量淘汰の火種が燻り続けている。倒産は実相を映しているとは言えない踊り場状態にあり、当面は一進一退の推移となると見るのが妥当かもしれないが、実態としては多くの波乱要因が増幅しつつあり、状況は予断を許さない。】と指摘している。▼益岡賢のページに、レスリー・マッカラー、益岡賢訳「アチェ:事態が変わったら・・・」03.05.14〔03.05.13 ZNet〕。
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