12月15日 02.12.14『河北新報』に「ソウルで4万人が反米デモ 米兵無罪に抗議、謝罪要求」、【【ソウル14日共同】装甲車で女子中学生をはねて死亡させた在韓米軍兵士が無罪となったことに抗議する大規模な集会やデモが14日午後、市民団体の呼び掛けで韓国各地で行われた。参加者は無罪判決撤回や米韓地位協定の改定、ブッシュ米大統領による直接の謝罪を求めた。/ソウル中心部の市庁舎前や光化門の大通りには警察推計で4万5000人以上が集まり、同日夜、ろうそくを手に在韓米国大使館に向かって「平和行進」を行った。しかし警察側は機動隊員など2万人以上を動員する厳戒態勢を敷き、周辺を完全封鎖。あちこちで市民と警察官がもみ合う場面がみられた。/集会には沖縄の市民団体メンバー桑江テル子さん(64)も参加、参加者全員で布製の巨大な米国旗5、6枚を破るパフォーマンスをした。/[写真]14日、ソウル中心部の市庁舎前で行われた反米デモで、巨大な米国旗を破る参加者たち(AP=共同)】。「韓国:女子中学生死亡事故に抗議 全国57カ所で反米集会 / 女子中学生死亡事故 追悼のろうそく揺れる」02.12.14毎日 / 「過去最大規模の反米集会、米韓地位協定改定を要求 韓国」02.12.14 asahi.com / 「韓国で反米集会/県内からも参加」02.12.15沖縄タイムス / 「〈女子中学生死亡事件〉全国60カ所で「ろうそくデモ」 / 〈女子中学生死亡事件〉外信「ろうそくの灯火の海が、米国大使館を呑み込んだ」」02.12.15韓国・中央日報日本語版。
12月14日 02.12.14『東京新聞』1面に「不良債権処理加速で試算 消えた「失業60万人」 竹中大臣ら反対で」。【内閣府が十三日に発表した不良債権処理の加速による雇用への影響を試算した研究論文で、「失業者が最大六十万人増加する」とした予測が、竹中平蔵金融・経済財政担当相や金融庁の反対で削除されたことが分かった。この日の公式発表では、増加する失業者は最大でも二十二万人となった。論文は外部から招いた民間の研究者が作成しており、金融庁とは別の客観的な立場で、政策論議を交わす材料ともなってきた。政府部内での“圧力”が続けば、金融行政の停滞につながる懸念もある。/■内閣府研究 発表は22万人に/失業者数の推移は、大手銀行の不良債権処理について(1)新規発生分を複数年で段階的に最終処理(2)処理を加速して毎年度最終処理−の二つのケースを想定して予測した。/不良債権が従来と同じペースで発生した場合、一年目の失業者は段階処理では十四万人、加速処理では二十八万人、と推計。処理の対象を従来より厳しくし、「要管理先債権」まで含めた場合には、段階処理で二十二万人、加速処理では四十五万人に上昇。さらに、大手行の不良債権残高の増加ペースが、約二十兆円から約二十七兆円まで膨れ上がった昨年度末並みで推移したと想定すると最大六十万人の失業者が出るとはじき出した。/これに対し、竹中金融相は「抜本加速の想定は現実離れしており、誤解を与える」と指摘。金融庁も公表に反対し、失業者の上限を二十二万人とするシナリオだけが公表された。〔…〕】。
12月13日 ▼向井孝「2002年の遺言 『暴力論ノート――非暴力直接行動とは何か』刊行によせて」02.12.12「黒 La Nigreco」。▼広河隆一通信のサイト(HIROCOLUMN)に広河隆一「アフガニスタン空爆の犠牲者」02.12.12。【アフガン取材の報告の2回目です。まとめたものは週刊金曜日に発表するつもりです。/今回の取材の準備をするときに、まず参考にした資料は『アメリカはアフガニスタンで何人の人々を殺したのか!?』(アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局)です。ここで私はアメリカのニューハンプシャー大学のマーク・ヘロルド教授の研究を知りました。彼はアメリカのアフガン空爆による死者の数を、世界のマスメディアの報告から整理し、割り出しました。そして3,000人から3,400人が殺されたと結論づけました。/彼はインターネットで、その元になるデータを発信しています。私はそれを手にいれ、地域別に整理し、取材計画を立てました。】とした取材をつうじて広河は【私は、アメリカが傀儡政権を維持しながらアフガニスタンを占領しているのと、どう違うのだろうか、という思いをもちました。それでアフガン人の青年に尋ねてみました。/「アメリカはアフガンになぜ介入したと思う?」/「アメリカは中央アジアに支配権を確立したいからだ」と1人の青年が言いました。/「そう思っているのは君のほかに、どれくらいいるのだろう」と私は聞きました。/「ほとんどだと思うよ。軍関係や政府関係以外はね」と彼は答えました。/こうした考えは、日本のメディアから私たちが受け取るニュースとは、かなりかけ離れています。/2002年10月7日の朝日新聞「検証アフガン攻撃1年」には武石英史郎記者のすぐれたレポートがあります。しかし同じ紙面に「アフガン攻撃はテロ組織根絶の長い道程の第一幕だった」という言葉で始まる立野純二記者の記事があります。/彼の書いているのはアメリカの言い分なのに、それに気がつかないのでしょうか。アフガン攻撃を正当化するのはアメリカですが、朝日新聞が同じように正当化していいのでしょうか。〔……〕/イギリスのガーディアン紙(2月12日)は「空爆はまだ続き、アフガニスタン人は殺され続けている。しかし誰も数えていない」という記事を掲載しました。しかしこうしたことに警告するメディアは、ほとんどありません。/「欧米や日本のマスコミが、半ば意図的に垂れ流す首都カブールの「活気」「明るさ」とは裏腹に、それ以外のアフガンのほとんどど全域が、地元部族の権力抗争と群雄割拠で収拾がつかなくなっている」(前出パンフレット)。/先日、東京ウィメンズプラザ・ホールで日本ビジュアル・ジャーナリスト協会が主催した「写真と映像でとらえた「反テロ戦争」の現場」の催しを、私は次のような言葉で締めくくりました。/世界が「正義」という名の暴力にさらされている。これを見抜けない者、その被害者、犠牲者を伝えない者を、ジャーナリストと呼ぶべきではない。その人々は加担しているだけだ。】。関連:ペシャワール会「現地の報道から」〔解説:中村哲さん事務局・現地、翻訳:ペシャワール会事務局翻訳ボランティア〕。
12月12日 ▼〔再掲〕近刊! Ken Lunde 『CJKV Information Processing』の邦訳(小松章、逆井克己訳、1172ページ、本体価格12,800円、ISBN4-87311-108-0)の12月下旬刊行予告と予約受付開始がオライリー・ジャパンのサイトに。→[目次] / [注文]。▼福島真人『暗黙知の解剖 認知と社会のインターフェイス(身体とシステム)』2001年11月、金子書房。ルーティンワークと組織の問題を基本テーマにした本書で【テクノロジーによって何が変わるのか】【自動制御化、あるいはコンピュータ化の過程によって、技能低下がさらに進むとするか、あるいは逆に単純労働から開放されて知的労働化するか】という問いに対して中岡哲郎を引きつつ福島は【〔…〕中岡の議論のポイントは、決して技能低下説か知的労働化かという、あれかこれかではない。むしろ彼は、一方で自動化による作業者の受持ち範囲の拡大(つまり一つの機会に張りついている必要が無くなるために、カバーする範囲が広がる)し、いわば作業がトータルになるように見えて〔…〕、仕事の単調感が増すのはなぜか、と問うているのである〔…〕。〔……〕/ここで問題となっているのは、たとえばコンピューター化が技能を低下させるのか、その逆かということではなく、制度的な分業の構造が硬直化することで、技能の習得と労働の展開の可能性が制約されているという点である。この点を中岡は、機械に張りついた、いわばオペラティブな分業(工程的分業)から、機能的分業への変化という形で表現している〔…〕。〔……〕/ここで重要なのは、労働の機械化が機械に対する従属を生むといった議論を、中岡は最初から拒否しているという点である。〔…〕「機械化、単調化は多くの場合すぐに適応を生む」〔…〕とかれは明確に指摘している。実際、個人と機械のインターフェイスを見る限りにおいては、〔…〕いわば新しい技術の導入が新しい技能をうみ、それはコンピューターに依拠する大量生産や巨大プラントでも変わりはないのである。こうした技術決定論ではなくて、中岡がより強調するのは、分業の過程によって、その労働にかかわる学習の展開の可能性が制限されてしまい、いわば頭打ちになってしまうこと、そしてもう一つは、作業の細分化によって、チーム、ないしはグループとしての活動が否定されて、その結果労働者がその孤立感に悩むという点である。】として【技術の変化がもたらすものは、それゆえ個人心理学的な技能の問題ではない。むしろそれは、組織の、協業の、あるいはチームワークの形式の解体である。言い換えれば、技術的工程と、組織上の枠組みの分離、そしてその結果、労働の学習、習熟化の過程と、その組織面での配置のあいだに齟齬が生じ、徒弟制がそうであったような、学習の十全な展開が不可能になると同時に、本質的に集団的な活動である労働が分断され、孤立感のなかで機能不全になっていくという問題である。】と書いている。
12月11日 ▼大住良太「米政治倫理哲学者ロールズ氏の死去と朝日「天声人語」の取りあげ方」02.12.09メディアの辺境地帯。▼『DOCUMENT 1(document吉本隆明改題) 特集・吉本隆明 続・アジア的ということ』(2002年11月、弓立社)に、インタビュー・吉本隆明「贈与の新しい形」(聞き手・赤坂憲雄、初出99.10)。【人類史にとって果たして国家は必然なのか】という赤坂の問いに対して吉本は【僕は、中国の柵封体制の地域国家としては、日本国と琉球国は同等だったという認識をもっているんですが、それは外在的なもので、多分中国から国家の作り方を勉強したからだと思うんです。〔……〕/すると、アイヌの人たちはそれを作れなかったし、作る必要もなかったわけでしょう。多分赤坂さんがいわれるように東北の人もそうだったと思います。というのも、一度遠野に行った時に、村はずれにすごく大きな農家があって見学したのを覚えています。その家を見た時、これは関西なんかではお城になっているはずだと思った。お城にしないで大きな農家にとどまっているのは、多分国家を作る意志も必要もなかったからじゃないかと感じましたね。アイヌも古代の東北も部族で武装集団を作って中央の追い上げに抵抗したんでしょうけど、専門的な軍隊にはかなわなかった。琉球も同様なところがあったでしょうが、あそこは中国の影響も直接受けやすかったから、真似事で王朝を作ってしまったんだろうなと思います。/僕自身の体験でいえば、国家に対して実感的に疑いを持ったのは太平洋戦争の敗戦時なんです。軍人はともかく、どう考えても、時の政権担当者たちは政治や行政の舞台からいなくなっちゃった。誰も指示してくれないし、食糧配給もない、にも関わらず生活は続きますから、芋や物資を買い出しに行って食い繋いだ。いざとなったらこんなもんかという国家空白の時間が、別の人たちが出てきて平和な国家を作ろうと言い始めるまで少なくとも数ヵ月はあったんです。その体験が、国民の土地も体もすっぽり包むような東洋的な国家のあり方は怪しいぜ、戦争中は信用していた強固で天皇への忠誠心に溢れた国家ってのはこんなもんかよと感じさせました。そこで西洋的な、国家とはせいぜい政府機関を意味するという考え方を受け入れやすかったんでしょうね。】と述べている。
12月10日 ▼読書録98.08.17で紹介した Ken Lunde 『CJKV Information Processing』の邦訳(小松章、逆井克己訳、1172ページ、本体価格12,800円、ISBN4-87311-108-0)の12月下旬刊行予告と予約受付開始がオライリー・ジャパンのサイトに。→[目次] / [予約]。▼千都フォントライブラリー(大日本スクリーン)のサイトに「ヒラギノOpenTypeフォント「ヒラギノPro書体集」販売開始」02.12.03。▼「ドイツの最も美しい本展」、2002年12月6日(金)〜2003年2月16日(日)〔月曜および年末年始休み〕10時〜18時、印刷博物館、入場無料、主催:凸版印刷株式会社・印刷博物館、協力:東京ドイツ文化センター・株式会社モリサワ。▼小杉泰「イスラームに広がる反米世論」〔『毎日』02.12.09夕刊連載・グローバリゼーションの光と影 第4部アメリカという存在(5)〕。【〔…〕/なぜ、イスラエルだけが国連憲章も国連決議も無視することが許されるのか、なぜ米国はそれを支持し続けるのか、というのがイスラーム世界のフラストレーションの最大の原因である。今回のイラクの大量破壊兵器の査察問題でも、イラクにはわずかでも国連決議違反があれば、それが戦争の口実とされる。イスラエルは三十五年にわたって、占領地の返還を求める国連決議を無視しても、とがめられない。米国のこのような政策の根底には本質的なイスラーム敵視があるのでは、という疑念を、現在のイスラーム世界は抱いている。イラクとの戦争が実際に起これば、疑念が確信に変わる可能性は高い。】。
12月9日 ▼読書録12.07付既報の国労四党合意問題で、鉄建公団訴訟原告団(団長・酒井直昭)「与党3党の「4党合意」離脱に関する声明」02.12.07。関連:四党合意破綻の舞台裏/甘利氏一問一答(写真追加)02.12.07。▼大道寺将司くんと確定死刑囚と社会をつなぐ交流誌『キタコブシ』が2002年12月5日発行の11月号で100号をむかえた。表紙に【祈執行停止、祝百号】と大書されている。関連:「東アジア反日武装戦線に関するよもやま情報のホームページ」。▼『技術と人間』2002年12月号に、天笠啓祐「ヨーロッパ食品取材紀行」。ドイツ、イタリア、ベルギーなどヨーロッパの農業・食品行政の実際をみて【ヨーロッパ全体で起きている、この有機農業や、日本では低農薬・低化学肥料農業と呼ばれる、総合防除管理(IPM)農業への転換を図る流れは、これまで効率化一辺倒の農業政策を柱としていた、ヨーロッパ共通農業政策を揺さぶっている。それは同時に、遺伝子組み換え技術を柱とするハイテク化農業への批判にもつながっているのだ。】とする天笠は、【疑わしきは、消費者の安全を優先する】という【予防原則】と【すべての作物が、どのようなつくられ方をしたか、記録として保存され〔…〕消費者に提供】する【トレーサビリティ(追跡可能性)】とが【食品の安全性と信頼性を確立する〔…〕ために必要な原則】であると指摘し、【〔…〕リスク分析自体に関しても、欧米間では見解に大きな違いがある。米国は「科学主義」をとっており、科学的に有害と分からない食品に関しては対象外とする方針を取っている。それに対して欧州は、科学的に有害だとはっきり分からなくても、問題がありそうな食品に関してはストップをかける予防原則をとっている。/後者の予防原則が、リスク分析で最も大切な考え方である。日本政府が食品安全委員会構想で打ち出そうとしている方針は、米国の路線に近い。それでは消費者の安全は保護されない。/予防原則に基づくリスク分析をどのように構築するかは、私たち消費者・市民の活動によるところが大きい。そのため消費者による消費者のための「オールタナティブな食品監視委員会」の設立が重要である。】とむすんでいる。
12月8日 「心神喪失者法案:自民など3党で強行採決 衆院法務委」02.12.06毎日、【重大事件を起こした精神障害者の処遇を定めた「心神喪失者医療観察法案」の修正案が6日、衆院法務委員会で自民、公明、自由3党の賛成多数で可決された。民主党などはこの日も5時間にわたる審議を行い、「質疑を打ち切るのは時期尚早」と採決に反対したが、山本有二委員長が職権で採決した。10日の衆院本会議で可決、参院に送られる。〔…〕3日の審議で参考人として反対意見を述べた全国「精神病」者集団の長野英子さんは「当事者の声も十分に聞かず、私たちの人権にかかわる問題を多数決で決めるのか」と厳しく批判。日本弁護士連合会同法案対策本部の伊賀興一弁護士は「法的な根拠があいまいで、患者の自由を奪う根拠にはならない。憲法違反だ」と憤った。】。「医療観察法修正案が可決 衆院法務委、参院で継続に」02.12.06河北新報。関連:「全国精医協」。「長野英子」、【これまでの法務、厚生労働連合審査においてこの予防拘禁法案には一切の合理性も必要性もない、障害者差別に基づく予防拘禁法案であることが明らかであることを改めて確認して、この暴挙に弾劾の声をあげたいと思います。】。〔12.09補記:「「心神喪失者医療観察法案」の強行採決に抗議する(談話)」02.12.06社会民主党全国連合幹事長・福島瑞穂。12.10補記:「戸籍法改正案が衆院通過」02.12.10共同/@nifty、【衆院は10日午後の本会議で、偽の婚姻届などに基づく虚偽記載の痕跡を残さず戸籍簿をつくり直すことができる戸籍法改正案を全会一致で、また重大事件を起こした精神障害者らの入退院を裁判官と医師が合議して決める心神喪失者医療観察法案の修正案を与党と自由党などの賛成多数で、それぞれ可決した。】。〕
12月7日 ▼「国労不採用問題:4党合意が破たん 政治解決の道閉ざされる」02.12.06毎日。関連:与党3党声明。▼『読売新聞』夕刊が02.05.13付から始めた連載「新 日本語の現場 115 「カッコ良さ」か「明解さ」か」(02.12.06付)がアジアの外来語事情にふれ【中国では、外来語の意味を解釈して新しい言葉を作る「意訳」で対応してきた。原語の音に近い漢字を当てる「音訳」も行われるが、東京外語大の輿水優名誉教授(中国語)によれば、地域によって漢字の発音が異なるため、音訳もやがて意訳されるのが一般的だったらしい。〔…〕/「ところが最近は、音訳のまま定着したり、アルファベットをそのまま使ったりする例が増えている」と、輿水名誉教授。中国社会科学院語言研究所編集の「現代漢語辞典」には、巻末に「アルファベット語」が載っている。一九九九年十二月発行の版には三十九語が収録されていたが、最新の二〇〇二年七月の版では、百四十二語と三倍以上に増えた。米国留学組が増え、変わりつつある中国の姿の一端がここにも映し出されている。/一方、お隣の韓国で使われているハングルは表音文字で、カタカナ同様に音をそのまま置き換えることができる。NHK放送文化研究所の塩田雄大研究員によれば、日韓を比べると、韓国の方が多くの外来語を翻訳しているという。「コンビニエンスストア」は漢語の「便宜店」を韓国語読みして使う。日本語ではカタカナ語だらけのコンピューター用語も、韓国語に訳されているものが少なくない。/「日本人は意味がよく分からなくても、カッコよさに引かれてカタカナ語を使う。韓国では、分かりやすさを優先する傾向があるようだ」と塩田さんはみる。各国の言葉の仕組みと国民性で、外来語との付き合い方にも微妙な違いが出ている。】と書いている。
12月6日 ▼『論座』2003年1月号が“「北朝鮮」と向き合う”を特集、小田実「私の「朝鮮」との長く、重いつきあい」。南北朝鮮とのかかわりをふりかえりながら【私が主張することは、「北朝鮮」と日本双方が自らの「国家犯罪」をそれぞれ自分の責任において究明して犯罪の全体を明らかにして、処罰すべきものは処罰し、すでに処罰したと言うのなら、誰をどこでどう処罰したかを公表し、補償すべきものはできるかぎり補償することだ。】とする小田は【国家犯罪のなかには、国家が行為を起こさなかったこと、するべきことをしなかったことも入る。かつて金大中現韓国大統領が東京のホテルで白昼堂々「拉致」されたとき、日本政府はこの自らの主権行使地のどまんなかの首都東京で行なわれた韓国の日本の主権無視の国家犯罪にウヤムヤに「政治決着」をつけるという、別の種類の国家犯罪を犯した。〔…〕韓国の国家犯罪は日本の国家犯罪につながり、さらには「北朝鮮」の国家犯罪に結びつく。こうした国家犯罪の連鎖のなかでもっとも傷つき、犠牲者になるのは、いつも、私たち、日本人であろうと「朝鮮人」であろうと、ただの市民だ。〔……〕/では全体として、「日朝国交交渉」「拉致」をどう見るべきか。今必要なことは、国家犯罪を平然と犯す国家の一員としてある「国民」としてではなく、そうした国家のあり方に根本的疑念をもつ「市民」として事件、事態を見ることだ。】と書いている。▼『大航海』No.35(2003年1月)が“近代天皇論”を特集、古田博司「天皇と首領 東アジアにおける有機体国家論の隠された底流」。近代にドイツから日本へ輸入された有機体国家論の検討から始めて、古田は北朝鮮の有機体国家論について【〔…〕何者かが、日本経由で「人体そのものの有機体国家」論を朝鮮に持ちこんだであろうことは、以上の状況証拠により、否定することはいささか困難であろう。そしてそれは、日本の天皇族父説や天皇機関説のような経過をたどらなかった。儒教の霊魂観を加味されて、独自の宗教教化へと展開していったのである。】と指摘しており、注目。
12月5日 ▼ペシャワール会のサイト(現地の報道から)の「12月2日(1)カルザイ大統領、国軍創設を指示」の解説で中村哲は【〔…〕教育にしろ、女性問題にしろ、支援国が本当に安定したアフガニスタンを望むなら、あくまでアフガンの特殊性を尊重し、自らの「アフガン方式の再建」に力を貸すべきだ。ISAF総指揮官が述べたように、自分たちのアイデアを押し付けてはいけない。/古代や中世の人々が皆、不幸で惨めだったと決めつけるのと同じだ。現代先進国以外の生活スタイルが、全て「遅れて不幸だ」という錯覚を離れ、謙虚になるべきである。】と書いている。全文必読! ▼『日本語学』2002年12月号が“文字・表記の現在と課題”を特集。笹原宏之「地名を漢字で書くために 文献と地名に見る「がけ」の一字表記」。【日本では国土の隅々にまで地名が与えられているが、そこには現代一般の日本語以上に多種多様な漢字による表記を観察することができる。その実情と、それを生み出した背景の一端を探るため、本稿では「がけ」という語を取り上げ、その歴史の痕跡を過去からの文献と小字・通称クラスの小地名を含む地名に求め、日本人が表記を創作し、選択してきた際の意識をうかがっていく。】との問題意識から文献と地名における漢字表記の推移を検討し、【「がけ」を表記するために、日本の人々は、仮名表記から始まり、表意的表記、仮借表記の創造、模倣を繰り返し、それらを経て漢字表記が「崖」に定まったのであった。〔……〕/文献と地名との関係は、(1)文献にのみ見られる歴史的な表記、(2)文献と地名とが一致する表記、(3)地名にしか見られない地域的な表記の三つがある。〔……〕/古文献に使われたり辞書というメディアに掲載されたそれらの表記は、おおむね複数の小地名に使用が確認できた。これは、暗合ばかりではなく、各地で当該文献の直接、間接の享受があったためと考えられる。〔…〕近世の俳諧に、庄屋が村人の子供に名付けをするときに『節用集』を引いたことが詠まれていることを思えば、文献・辞書は、各地の固有名詞表記の紐帯としての役割を担っていたという一面をもつといえるであろう。〔……〕/漢字表記を正式な表記ととらえる思想の下に、漢字が一字で一語を書こうとする表語文字の性質を強く有している時代はかつて確かにあった。また、地名は土地の状態をありのままにすくい取ったものが少なくなかった。しかし、近年、小地名をコンピューターに登録する際に仮名表記に改められるケースが現れ、さらに小地名の存在自体が消滅の危機に瀕している。新たに付けられる地名もそうした慣習から乖離している。埼玉県「さいたま市」は、ここまで見てきたような経緯とは全く異なり、字面の柔らかさなどを求めて仮名表記が採用されたもののようである。長野県「南アルプス市」の誕生に至っては、表記のレベルを超え、土地への命名そのものを変質させた人々の姿がうかがえるであろう。】と書いている。
12月4日 ▼「「帰国事業」で総連に損害賠償請求 5日に控訴審」02.12.04 asahi.com、【在日朝鮮人ら9万人余りが朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)へ渡った「帰国事業」の責任を問い、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)に損害賠償を求める裁判を起こした元帰国者がいる。62年に北朝鮮を脱出し、現在はソウルに住む元在日朝鮮人の金幸一(キム・ヘンイル)さん(61)。元帰国者が朝鮮総連を訴えた初の裁判だ。東京地裁は今年8月、時効成立を理由に訴えを棄却した。控訴審の第1回口頭弁論は5日、東京高裁で開かれる。〔…〕】。▼『オール讀物』2002年12月号pp.104-118に「特別インタビュー 桂米朝」(インタビュー・構成:関容子)。【そうそう。枝雀はわたしの最初の弟子なんです。素人の時分に弟と一緒に「前田兄弟」で漫才やったり、落語やったりして賞金稼ぎしてましたが、わたしの弟子になってプロとして初めてギャラをもらったとき、「安いですなぁ」ってびっくりしてた(笑)。「こんな金もらったことない」って。その枝雀が幻滅したという話は、弟子になってまだ間なしのころなや。京都の市民寄席の楽屋で出前取ったらなかなか来ないんで、出の直前に食べたらやりにくいから、高座を降りてすぐ、親子丼食べてたんです。そしたらあいつ『立ち切れ』を初めて聞いて涙まみれになって来てみたら、わたしが平気で親子丼食べてるのを見て怒ってね(笑)。直接やないけどほかのもんに、わたしまだ泣いているのに、師匠は飯食ってますねん、って怒りよった。/枝雀というのは偏執狂的なおかしなとこがあって、フグに凝り出すと一年三百五十九日くらい、毎日毎日フグを食べる。今日はやめとこ思ってうちへ帰っても、やっぱりタクシー呼んで一皿二百円くらいのフグを食べに行きよる。安もんのフグにはまってしまって。その次、今度は焼肉に凝って、こんなうまいものとは知らなんだと言ってまた毎日毎日で、痛風になってしまった。それで突然行かんようになる。店は災難や。何かしくじりましたか? ってえらい気にしよる。本人はケロッとしたもんやった。/とにかく変った男で、よう走りよった。梅田に呉春というカウンターで飲ませる店があって、つまみは湯豆腐とコノワタくらいしかないんやけど、酒は池田の呉春というのを出す。呉春は絵描きの名で、その人がここに居候してて、酒飲ましてもらうかわりに絵をたくさん置いて行った。それがどんどん値打が出て、戦後その酒屋が呉春美術館を建ててます。それで、枝雀にその店へ案内された東京の人形町の若旦那が、あるときわたしに訊ねるんです。枝雀さんてどうしてああ走るんでしょうね、って(笑)。それだけで状況がわかるから笑うたんですけどね。飲んでても、カラオケ歌いに行こ、となるとダアーッと走ってく。なぜかというと、今歌いたいと思ったらブラブラ行ったらもう歌いたくなくなってんねん、ということらしい。行きつけの店があるから、おお枝雀さん、って客がすぐマイクを渡してくれる。二、三曲歌うとまたすぐにダアーッと走って次へ行くんですな。/亡くなるのも早かった。そのころはわたしが行くとポロポロ泣くさかい、困ってな。わたしには鬱になった経験がないので何にも言うてやれない。それであんなことになって……追善会のとき東京から小三治君が来て、二人は全然違うように見えるけど、ちょっと通じるところがあったんかな。一緒に死のうなぁ、って一年くらい前に言うてたんやて。で、小三治君の挨拶がね、「本音を言わしてもらえば、野郎、うまくやりやがったな、ずるいよ」それで降りた。これには驚いたね。】。
12月3日 ▼ペシャワール会のサイト(現地の報道から)の「11月30日(2)パキスタンの州にイスラム主義の法を実施」 「12月1日(6)シャーリア(イスラム法)が新アフガニスタンの法制に」の解説(中村哲)および参考記事と解説は必読。▼キム・ジハ、高崎宗司・中野宣子編訳『飯・活人』1989年10月、御茶の水書房。14篇のひとつ「私は飯である」でキムは【〔…〕〈食事〉はまったく同じ意味で、大地と人間の中で活動する鬼神、すなわち生命、すなわち労働力が、その生命の積極的な創造活動である労働を通じて創造した鬼神、生命、この世の価値・剰余価値をまた収斂して食べ、そしてまた生命力を拡張することで、また積極的な生命活動・積極的な労働活動をする、そうした能動的で力動的な生命の循環を意味します。したがって、食事はすなわち祭祀であり、祭祀はすなわち食事であり、食事と祭祀のこのような不二一如――違わないこと――の根拠、あるいは中心は、まさに〈飯〉であります。〔……〕それでは、飯はどのように生産されるのでしょうか? 飯はどのような場合においても、一人で生産することはできません。それは協同的に生産され、共同体的に生産されています。また、生産においてだけでなく、その消費においても、それを収斂し、食べる活動、食事においても、飯はみなで食べるもの、共同体的に食べるものです。飯は〈食膳〉で食べるのが決まりです。「食膳」というのは、多くの人が囲んで坐って食べる共同体生活を意味します。したがって、「食膳共同体」と言うことができます。〔……〕「一人で飯を食べるとまずい」というのは、まさにこのためだと考えられます。飯がまずいのは、まさに〈独占〉のためです。一人でたくさん食べるために、もともと食膳を囲んで坐り、分かち合って食べるようになっている飯を、一人でたらふく食べるために、本来の飯の本質と食べる形式が一致しないところからくる当然の帰結だ、と言うことができるでしょう。〔……〕「お腹はいっぱいなのに生きがいがない」、あるいは「食べるものはたくさんあるのに、生きがいがない」……この〈生きがい〉というのが、まさに〈飯の味〉です。なぜなら、飯は生命だからです。飯の味がないということは、生きがいがないということであり、生きがいがないということは、飯の味がないということです。】と書いている。
12月2日 ▼「「総連執行部は退陣を」傘下の商工会幹部が批判的提言」02.12.02 asahi.com、【在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)傘下の在日本朝鮮人東京都商工会の李修吾(リ・スオ)・副会長(61)が朝日新聞社のインタビューに応じ、現在の朝鮮総連執行部が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の「出先機関」として「官僚化した」と批判、退陣と民主的選挙を求める声が相次いでいることを明らかにした。総連系団体幹部が名前を明らかにして本部を批判するのは極めて珍しい。/李氏は「70年代の後半、一時的に北朝鮮に渡航したあと、日本への帰国を許されないでそのままになった総連幹部を知っている」としたうえで、「(日本人拉致の)動機は理解できないが、あり得る問題だと思っていた」と話した。/さらに北朝鮮が「国家犯罪を犯したこと」に対して、「弁解の余地もなく、原状復帰、補償など迅速に解決されるべきだ」とした。/朝鮮総連の今後については、これまでの「失策や同胞離れ」の責任を取って「現執行部は退陣」し、「人事権を(北朝鮮から)同胞に移管し、無記名選挙を実施して代表を選出、政策決定する」ことを提案。「イデオロギー路線から脱却」し、「在日同胞の権利擁護団体という原点に戻る」ことを訴えた。〔…〕】。〔12.04補記:「在日朝鮮総連の傘下幹部「執行部は退陣を」」12.02(韓国)中央日報日本語版〕 ▼「ストップ有事法制に25000人(写真も)」02.12.01レイバーネット、【陸海空の20労組の呼びかけた12/1「有事法制」反対集会は、雨模様のなか25000人の人々が東京・代々木公園に集まった。政党・労組・各団体が主張の違いをこえて「有事法制」反対の一点で結集した。〔…〕】。「有事法制反対集会に2万5000人 東京・代々木公園」asahi.com 02.12.01付。▼総務省統計局統計センターのサイトに「労働力調査(速報)平成14年10月結果の概要」02.11.29公表、【完全失業者数は362万人。前年同月に比べ10万人の増加。19か月連続の増加】【完全失業率(季節調整値)は5.5%と,平成13年12月と並んで過去最高。前月に比べ0.1ポイントの上昇/・男性は5.9%と過去最高。前月に比べ0.1ポイントの上昇/・女性は5.1%と,前月に比べ0.2ポイントの上昇】。
12月1日 鄭勝云(ジョン・スンウン)『中野重治と朝鮮』2002年11月、新幹社。【中野重治の詩を評して、窪川鶴次郎は「わかれの抒情」と言い、小野十三郎は「反逆の抒情」として中野重治の抒情性に触れている。中野重治の強さでもあり弱さでもあろう〈感情の充溢〉は、中野重治の作品のなかでどのように出されているのであろうか。そして、この〈感情の充溢〉は〈朝鮮〉とどのように結ばれているのであろうか。なぜ中野重治は〈朝鮮〉のことをたくさん書いたのであろうか、ということを追究したかったのが、本書に取り組んだきっかけであった。以上のような疑問に対して、特に「雨の降る品川駅」を中心にして書いた】という鄭は【中野重治の「雨の降る品川駅」は水野直樹の反訳の中で、〈ᄯ〉「tt」を〈ᄐ〉「t」と読まれてしまった結果、〈뛰는피〉(迸る血)なのに、〈튀는피〉(反り血)になってしまい、この血が恰も天皇の血であるかのように読まれ、以来、〈天皇暗殺〉というテロリズムの詩であるという批判を浴びるようになった。よって、〈反り血を浴びて/温もりある復讐の歓喜に泣き笑へ〉の〈温もり〉は、天皇の血の〈温もり〉であるかのようにも読まれてきた。しかし、〈満身に迸る血〉と読むと、〈温もり〉は天皇の血とは関係のない、中野重治の階級革命の方法を示す言葉になり、暖かい人間愛を忘れない革命を提示していると言うことができよう。天皇制に象徴されていた日本帝国主義の惨い方法とは反対の方法である。中野重治の〈憎悪〉は〈天皇〉個人への低次元の〈憎悪〉ではなくて、〈制度・機構としての天皇制〉への〈透明〉な〈憎悪〉であったといえよう。】【中野重治が「雨の降る品川駅」のなかで、朝鮮人を悪く利用しようということを書いたとは考え難い。朝鮮プロレタリアートが〈日本プロレタリアートのうしろ盾まえ盾〉であるということは、「日本プロレタリアートのうしろ盾前衛」と読むべきであろう。〈前衛〉は軍隊用語としてではなく、芸術用語(アバンギャルド)として、または革命用語(リーダー)として解すべきであろう。〈山川イズム〉と〈福本イズム〉における〈前衛〉が大衆をリードするエリートであったことを参考にすると、〈日本プロレタリアートのうしろ盾まえ盾〉は〈日本プロレタリアートのうしろ盾先駆け〉と解釈することもできる。〈民族エゴイズム〉の表現ではなくて、朝日プロレタリアートの国際的な連帯意識の表現であったといえよう。/日本帝国主義が植民地の朝鮮人を強制労働のために連行し、昭和天皇の即位式の前に「不逞鮮人」として強制送還する中で、自分の身の上を案じる前に、〈底の底までふてぶてしい仲間〉である、朝鮮人の味方になってくれた中野重治の偉大さを評価せざるを得まい。】と指摘している。
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