8月31日 「ル・モンド・ディプロマティーク」日本語・電子版のサイトに、アントニオ・ネグリ、吉田徹訳「イタリア左翼の再建に向けて」。[日本語版編集部]による【〔…〕共著『帝国』は、ネグリ自身による解説によれば、グローバル市場での秩序形成の本質が、国民国家の枠組では制御できなくなった労働運動に対する資本の再編による「帝国」の構築にあるとし、プロレタリアートに代わる運動主体として“multitude”という概念を用いつつ「帝国」の理論化を試みた著作である。その具体的実践が「ジェノヴァ」以降の社会運動の中にあると彼は見る。】との紹介文が付され、ネグリは【2001年の夏を起点として、戦争に対し、またイタリア社会へのネオ・リベラリズムの導入拡大に対して、絶え間ない闘争の季節が始まっているのである。ジェノヴァはその根底にあり、現在に至るまで原点となり続けている。】として【現に起こっている運動の多くは、左翼の再建には全く新しい人々に依拠することが必要だと考えている。正規労働者だけでなく、疎外者や貧困にあえぐ者。工場労働者だけでなく、知的労働者。そして白人男性だけでなく、女性や移民たち。これらの人々を含まなければならない。これが、現在の運動の最大勢力である反グローバリゼーション運動が描く第3のシナリオだ。つまり、新しい福祉国家と所得保証、普遍的な市民権、移住の自由を基本プログラムとし、エコロジーにおいて、生産生活において、そして「バイオポリティックス」において擁護・促進すべき共通善を定義し直すことにより、左翼の再編を目指すのである。〔……〕社民主義は、もはやその歴史的使命を終えた。社民主義路線からの脱却、工場労働者と他の労働者や社会的に排除された者との団結、社会化された「プレカリアート(疎外者層)」と生産の知的諸力が持っている多大な政治的役割の認知により、運動を再建しなければならないという声が、いまやどの集会でも聞こえてくる。/さらに多くの場所で強く表明されているのは、抗議勢力の新たな団結を体現できるような新しい社会闘争の形態を模索する、知的で強靭な意志である。非物質的労働の職場でのストライキ、インターネットを通じた闘争の告知、主要都市に対する指令系統の解体などが試みられている。このような方法により、このような方法によってのみ、左翼の再構築は可能となる。】と述べ、【ヨーロッパで、社民主義左翼の失敗の後に、イタリアほど意味ある抵抗活動が生まれた事例はない。ここで見られるのは、ある種の意識の跳躍である。それは名状しがたいものではあるが、闘争と世界の変革のために、多数性がもはや社民主義を必要としないということを裏付けている。「諸運動の運動」は理論的地平と具体的運動の双方で新しい表現方法を求め、新しいヘゲモニー装置を作動させようとしている。イタリアという実験場が再び動き始めたのである。】とむすんでいる。
8月30日 ▼「労働力調査(速報)平成14年7月結果の概要」(02.08.30公表)、【完全失業者数は352万人。前年同月に比べ22万人の増加。16か月連続の増加/完全失業率(季節調整値)は5.4%と,前月と同率】。▼原子力資料情報室「東京電力の不正報告について」(02.08.29)。▼レイモンド・ウィリアムズ、椎名美智・武田ちあき・越智博美・松井優子 訳『完訳 キーワード辞典』2002年8月、平凡社。たとえば【technology テクノロジー・科学技術】の項は【technology は一七世紀から用いられ、技芸(art。芸術を参照するとよい)の系統立った研究や特定の技芸の専門用語のことをいった。この語の前形は近代ラテン語のtechnologia およびギリシア語のtekhnologia(系統立った処置)で、語源はギリシア語のtekhne(芸術ないし技術)である。一八世紀初頭における technology の代表的な定義は、「技芸、とくに機械にかかわる技芸についての記述」(一七〇六、メカニカルを参照するとよい)というものだった。technology が「実用技術」という専門的な意味で完全に用いられるようになったのは、主として一九世紀半ばのことだったが、それは technologist(科学技術者)の時代でもあった。科学( science )と科学者( scientist )が新たに専門的な意味を獲得したのに伴って、特定の分野内で知識( science )とその実地での応用( technology )という、現代ではおなじみの区別がなされるようになった。この区別によって、technical(じっさいの建造にかかわる事柄)と technological(多くの場合、同じ意味で用いられるが、logy という語尾があるために系統立てて扱ったものという意味も残っている)とのあいだにちょっとした不具合が起こった。じっさい、この二語のあいだにはまだ区別をつける余地がある。technique は特定の建造技術、方法をさし、technology はそうした手段や方法の体系のことをさす。そうなると technological は、あらゆる生産においてきわめて重要なさまざまな体系をさすことになり、特定の「応用」とは区別されることになる。〔……〕】と書いている。
8月29日 ▼『文藝春秋』2002年9月臨時増刊号特別版「美しい日本語」が全篇書下ろし116人の「言葉をみがく」ヒント。米原万里「言葉に美醜なく貴賎なし」。【「美しい日本語」って、いったいどういう意味を込めて、この特集のタイトルを決めたのだろう。ふつう「美しい」という形容詞は、「五感に快い」「姿形が整っている」という意味で用いる。「美しい日本語」があるってことは、「汚い日本語」があるってことか。「五感に不快」で「姿形が醜い」日本語。たとえば、罵り言葉。最近の「ウザイ」「キモイ」「ムカツク」なんて、まさにそれ。決して所謂「美しい」部類に入る言葉ではなさそう。/ときどき大まじめで、「美しい日本語」からは、そういう汚い語彙は排除しようなんて主張する人がいる。そんなことは土台無理だし、まさか本特集の編集者が、そんなことを考えているはずはないと思うが、念のため、他人のフンドシでではあるが、異議を申し立てておこうと思う。】という米原は、ジャック・ロンドンの『北方物語』の「くたばれ!(Go to hell!)」という一語をひきつつ【〔…〕要するに言語の使命は、決して美しく整っていることなんかではない。世の中の森羅万象、それに複雑怪奇な人の精神を描き出し、罵り、分析し、弾劾し、解釈し、批判し、祝福し、呪うためには、美しい言葉だけではとうてい間に合わないというもの。/評判の悪い「ウザイ」「キモイ」「ムカツク」だって、今の若者たちのそういう心の状態を実にみごとに的確に表現しているではないか。そして、言葉にとっては、それこそが命なのだと思う。】と書いている。▼浅田彰・柄谷行人「第III期『批評空間』の終刊と批評空間社の解散に向けて」02.08.20。
8月28日 『現代思想』2002年9月号が“知的所有―情報は誰のものか”を特集、小倉利丸×立岩真也「情報は誰のものか」。小倉は【人間自身の側に起こる身体的な変化に往々にして無自覚だけれども、コンピュータの問題だったら、マイクロソフトのOSのインターフェイスをつかってコンピュータの操作をする人間がいるわけで、人間が技術と接することによって、人間は変わらざるを得ない。マイクロソフトのOS前提に必要とされる知識の標準化がかならず生じる。だから、検定試験なんていう制度がなりたつと同時に、OSのプログラムの内部を覗いたり改造するような行為は違法行為に分類されてしまう。こうして知識はある局面で奪われると同時に、企業に占有される。何が技術の側に選択されて標準化されて私はどのように変わってしまうのか。そういう部分も含めて技術の問題はあるんだろうなと思います。】と指摘している。他方、【ここでとりあえず言えることはとても単純なことで、技術がもたらす利益の所有の形態を基本的なところから、いまわれわれが前に進まなければいけないとされている方向と違う形で、再規定していくことです。〔…〕一番基本的には、個人にも企業にも、あるいは国家にも所有権はない、と言うべきだということです。】と指摘する立岩は【労働論がしばらく流行っていないようなんですが、それはとてもいけないことであって、とりわけこれから何十年か、私たちは労働の話をしなければいけない。〔…〕知的な生産物であろうとなかろうと、それが生じさせる利益は、利益を得る権利は生産者に独占的に帰属しないということです。〔…〕むしろ、利益を取得する権利としての知的所有権は、そのような知ったり作ったりすること自体の楽しみや意義というものが十分に作用しない場合に、仕方なく、それなら褒美を与えて仕事をしてもらおうかという手段でしかないということです。ですから、この権利のことや、国際競争のことや、科学技術立国のことをことさらに言う人たちはむしろ、労働や知識の価値を否定しているのであり、引き下げているのです。】と指摘している。
8月27日 ▼情報処理学会(IPSJ)のサイトに8月19日、「コンピュータ博物館」が日本の歴史的コンピュータ160余点の写真と解説を加えリニューアルオープン。日本のコンピュータパイオニア/年表と日本の歴史的コンピュータ/参考文献、など。URLは、http://www.ipsj.or.jp/katsudou/museum/index.html。【〔…〕海外,特に米国ではいくつかのコンピュータ博物館があり,行き届いた保存と展示が行われているが,我が国ではまだ専門のコンピュータ博物館はなく,国立科学博物館の一部でその役割を担っているに過ぎない.それでも2001年になってから,国立科学博物館による特別企画展「情報世紀の主役たち」が開催され,また本学会でも創立40周年を記念して「情報技術のエポック展」を行った./しかし学会では,継続的に歴史的な実物や資料を保管することは困難であり,歴史特別委員会では今年から委員として参加をお願いしている国立科学博物館に協力して,これらの実物や資料の収集を行うとともに,本学会のウェブページに「コンピュータ博物館」を設置し,我が国での情報処理関連パイオニアの紹介と,年表に関連付けた歴史的なコンピュータの写真と解説を掲載することとした.〔…〕情報処理学会歴史特別委員会委員長・高橋茂】。▼『日経ビジネス』No.1155(02.08.26)が特集「辺境から変わるニッポンの金融 武富士“狂気の経営”」。消費者金融最大手武富士の原風景 もう1人の渋沢栄一/武井保雄会長が語るわがビジネスの神髄/消費者金融 強さがもたらす危機と矛盾/異端児が生み出す革新的手法。【消費者金融の市場開拓が限界に達しつつある〔…〕待ち受けるのは、闇金融の罠だ。全国庶民金融協議会によると、金利が1000%を超えるような悪質業者が、東京・神田駅周辺の半径300m内だけで394社(2001年9月時点)にも上るという。そして自己破産申請件数の増加が止まらない。2001年には前年比15%増の16万件に達した。サラ金地獄のピークの2万4000件(1984年)の6.7倍にもなる。】という状況下、インタビューでは【「失敗は成功のもとと言うけれど、そんなことはない。失敗すれば、それで終わり」/1つの失敗も許さない――。だから、武井は周囲がいくら決断を促しても、首を縦に振らない。「みんなが同じことを言う時ほど、危ないんですね」。】という武井の経営が語られている。
8月26日 asahi.com 08.24付「法務省「共謀罪」創設へ 「謀議」だけで訴追対象に」、【法務省は、実際に犯罪が行われなくても、その謀議に加わる行為そのものを罰する「共謀罪」を創設する方針を固めた。来月開かれる法制審議会に諮問する。同省原案によると、組織的犯罪処罰法を改正して導入することとし、最高刑を懲役5年と定めている。目に見える犯罪が存在しなくても捜査当局が「謀議」とみなせば訴追できる法制度になるため、弁護士会などには慎重な意見が強く、論議を呼びそうだ。〔…〕】。「政府、組織犯罪条約来年批准へ」(08.19読売)。これに対して、さざなみ通信のサイト(トピックス)は08.24付「法務省が「共謀罪」創設の方針を決定」で【〔…〕これは、最高刑を懲役5年とし、組織的犯罪処罰法の改正によって導入しようとしている。日本の法体系では、競輪競馬での八百長行為や内乱などのごく一部を除いて、基本的に実際に犯罪が行なわれた場合にのみ処罰される仕組みになっている。だがこの「共謀罪」では、実際に犯罪行為が行なわれていなくても、その相談をしたり支持したりするだけで逮捕されて、最高で懲役5年が課せられることになる。これは、新たな弾圧立法であるというだけでなく、この「共謀罪」を「発見」するために盗聴行為をいっそう蔓延させるだろう。(S・T編集部員)】と批判している。〔09.05追記:山下幸夫「国連国際組織犯罪条約の批准と「共謀罪」新設について考える」02.08.27〕
8月25日 『週刊読書人』02.08.30付に、「東アジア 越境する知――孫歌氏に聞く」(聞き手・丸川哲史)。【冷戦構造が流動化し、もう一度「アジア」が語り直されるチャンスに来ている。】という丸川のなぜ竹内好かとの問いに対して【竹内は生涯「正しい基準」でものごとを測ったことがなかったと思います。〔…〕彼は生涯「左翼/右翼」という基準で考えたことがなかった。竹内は「良心」という位相で自分の仕事を設定したわけでもなかった。この人が一貫してとった立場は、「激動する歴史の真実を追求する」というところにあったと思います。竹内のように精神力が強い人物はめったにいないと思います。彼は歴史のもっとも激動的なところに入って、そこから直観だけでは絶対に迫れないような問題をどんどん練り上げています。後の時代の人が、その精神力を感じ取ることができず、ただ彼の行為の中で正しい部分と錯誤の部分を分けるだけなら、彼の本当の魅力を捕まえることはできないでしょう。何しろ竹内の生きていた時代は、今日よりはるかに厳しかったのですから。彼が試行錯誤であれだけの模索をしたのは、本当に賞賛すべきことですね。】と述べる孫はまた【彼が勘でつかまえた問題は根本的な問題です。中国研究者というよりは思想家として原理的な問題を扱ったのです。/例えば「近代とは何か」というテクストについて、これまでの読み方は回心と転向をキーワードとしてきました。ですが、それはキーワードではないと私は考えています。キーワードは「賢人と馬鹿と奴隷」の物語の中に出てきた奴隷です。魯迅は馬鹿でも賢人でもなく「奴隷」だ、と断言した竹内自身も「奴隷」です。奴隷とはどういう存在かというと、常に自己批判、自己破壊をしながら、しかも憧れの相手に同化しない。自分を肯定しないし、かといって自分以外のものになろうともしない。拒絶する。その中で抵抗が生じます。その自己解体が、私のイメージしている「アジアを語ることのジレンマ」なのです。私のイメージしている我々のアイデンティティなのです。いろいろな要素を考え、選択しながら、矛盾することを承知で自己形成をする。その自己形成は常に自己破壊を伴います。こういう立場がいったん出来上がると、世界認識の構造そのものも変わります。丸ごとの西洋などは論じられなくなって、新たな知的関係を東西にわたって構築する試みが可能になるかもしれないですね。】と述べている。関連:読書録07.14付。
8月24日 金子勝『長期停滞』ちくま新書358、2002年8月、筑摩書房。【大恐慌の歴史研究書ではない。必要なかぎりで大恐慌期との比較を念頭に置きながら、あくまでも現在の長期化するデフレ不況を理解することが本書の目的】との立場から【市場原理主義は論理破綻した】とする金子は【主流経済学(広い意味での新古典派経済学をさす)では、できるかぎり市場に任せた方が、経済活動が活発になると信じられている。しかし、それはむき出しのイデオロギーであって、永久に論証不可能な命題だ。景気がよくなれば、規制緩和政策のおかげ。景気が悪化すれば、規制緩和が足りないといった具合だ。】【日銀の量的緩和政策も同じだ。〔…〕日銀の量的緩和政策をより系統的に展開するために、インフレ・ターゲット論が使われるようになった。最初にこうした議論を持ち込んだのは、“小さなケインズ”ポール・クルーグマンだ。論者の間でも市場原理への信頼には濃淡があるが、明らかに市場原理主義を主張していた者の中からも、それに乗っかる者が現れた。そして彼らは、かつて「市場に任せろ」と主張していたにもかかわらず、いつの間にか自分が「人々の期待をコントロールせよ」という主張に変わってしまったことにさえ気づかない。こうした主張は、人々のマインド(期待)までをもコントロールできるという「テクノクラート独裁」を意味するのだ。】と批判し、【〔…〕転機はIMF=GATT体制が崩れてゆく一九七〇年頃であった。日本では、田中角栄によって「ケインジアン保守」という世界に稀なる政治スタイルが生み出された。欧米では雇用を重視して「大きな政府」を容認するケインジアンは、基本的には社会民主主義が担ってきた。ところが、日本では、社会民主主義が未形成だったために、「ケインジアン保守」が財政赤字による公共事業で景気対策をとる一方、後藤田正晴や野中広務に典型的に見られるように平和主義の立場を担ってきた。〔…〕他方、これに対抗して同じ自民党内部に出てきたのは、タカ派路線と市場原理主義を結合したニューライト(新自由主義)であった。〔…〕一九七〇年代以降、欧米諸国で闘わされた「ケインジアン社民」対「ニューライト保守」の対抗図が、自民党内部における派閥対立として取り込まれたのが日本の政治なのである。〔……〕相変わらず、この時代錯誤の対立軸に拘泥したまま出口のない泥沼へと沈んでいる。日本だけでなく世界的に見て深刻なデフレ期にもかかわらず、ニューライト(新保守主義)路線に立つ「小泉経済改革」を人々が選択してしまったことを指している。】として、【大恐慌期に生まれた対抗理念の有効性が失われつつあることこそが、この閉塞状況の根底にある本当の問題なのである。そのために、一九二〇年代と同様に行き詰まっては、より過激な市場原理主義に逆戻りせざるをえなくなる。〔…〕本当に問われているのは、社会哲学に裏付けられた、市場原理主義の暴走を食い止める新たな政策体系と対抗思想なのだ。】と指摘している。
8月23日 ▼ビデオアクトのサイトに、【VIDEO ACT!/PMN(民衆のメディア連絡会)合同企画「STOP! 戦争 9.11以降、ネットは何を伝えたか?」】、2002年9月3日(火)18時30分開場18時45分スタート、パネラー:米沢泉美「反戦・平和アクション」「今こそ平和を!5・3アクション」/ユビキタスマンカワイ「ip2000」(現在サーバー移行中)/小林アツシ「ビデオアクト反戦プロジェクト」、参加費500円、飯田橋セントラルプラザ10階AB会議室東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)JR線・地下鉄飯田橋駅下車徒歩1分、問合せ:PMN(民衆のメディア連絡会)03-3530-8588/ビデオアクト上映プロジェクト03-5261-2229、090-3471-7475。【あの9.11からそろそろ1年がたとうとしている。マスメディアから洪水のように流された映像は、世界になにをもたらしたのだろうか?9.11以降、世界は、この国は、どこに向かおうとしているのか?/この1年は、ネット環境でもブロードバンドの急速な普及という非常に大きなターニングポイントとなった年だった。はたしてネットは、マスメディアとは一線を画したメディアとして充分に機能したのか? 市民からの情報発信の可能性は?、到達点は?、そして課題は?/9.11以降、怒濤のように世界に押し寄せた「戦争」への道筋に対して、ネットを使って平和への道を唱えた3人のパネラーを中心にこれまでの動きを検証し、今後われわれになにが出来るのかを探る。】。〔08.24追記:911関連催しは読書録8.17付も〕。▼がんばれ国労闘争団のサイトに「共産党が「四党合意」問題で路線転換か !」(02.08.21)。
8月22日 八木雄二『イエスと親鸞』講談社選書メチエ245、2002年7月、講談社。【親鸞の教えの核心が何だったのか】として八木は『歎異抄』を要約する。【〔…〕人はやはり縁一つで、人殺しもすれば、盗みもするのだろうか。/阿弥陀仏を信じて念仏するとは、極悪人であると自覚することであった。そしてこの自覚は、じつは業縁を切るのである。戦争で人を殺すのは、殺さなければ殺されるからである。しかし、極悪人となれば、殺されて当然である。それゆえ、極悪人の自覚をもつなら、戦争であっても、あえて人を殺す理由はないことになる。したがって、殺されるだけである。殺すことはしない。同じことは、盗まなければ生きていけない、という強迫観念についても言える。極悪人であれば、生きていけないのが当然である。極悪人が楽に生きていけたら、世の中おしまいである。したがって、どれほど生きていくのが大変であっても、ものを盗まなければならない理由がない。死んでいいのである。それは浄土への道でもある。こうして、極悪人の自覚は、悪い縁をすべて切ってしまうことになる。〔……〕人間は何でも自分が決めていると思い込んでいるが、それはたんなる思い込みであり、じつは幻想なのである。むしろ悪縁によって決まってしまったことに、判断が引きずられているだけなのである。そして、その悪い縁というものは、わたしたちが執着をもつことで生まれてくる。執着は、欲望である。〔…〕それゆえ、執着を断つことが、もとから罪をほろぼすことになる。〔……〕悪いことをするのは、自分の欲望に引きずられている本人の責任だ、ということは言えるのであるが、悪縁がつながっていてたまたまある人がその縁に引っかかってしまうことは、かならずしもその人の責任ではない。たとえば戦争中に生まれるかどうかは本人の責任ではない。戦争中に生まれて兵士となり、人を殺さざるをえなくなっても、それは本人の責任ではない。〔…〕それゆえ、仏陀とならずに、それでも悪いことをしないできたことを自分の良さと勘違いすべきではないし、反対に、悪いことをしてきてしまった人間を見て、本人の責任だと非難することも間違いだ、と親鸞は言うのである。】。
8月21日 MSNジャーナルのサイトに『百年の愚行』。【人類はこの100年に何をしてきたのか――。20世紀を100枚の写真で振り返る『百年の愚行』(Think the Earthプロジェクト)がこの春の発売以来、着実に売れ続けている。世界有数のフォトエージェント、マグナムとコービスのフォトグラファーによる、環境破壊や戦争などの決定的な瞬間をうつした写真集。どの作品も衝撃的だが、同時にこれからの人類の進むべき道を示唆してくれる点が高く評価されているのだろう。MSNジャーナルでは100枚の中から特に重要と思われる8点を抜粋して毎週1枚、掲載。7月6日に東京六本木のTHINK ZONEで行われた、作家いとうせいこうさんと同写真集エディトリアル・ディレクターの小崎哲哉さんによる同写真集の出版を記念したトークイベントでの討論とあわせてご紹介する。】。「第6回:アパルトヘイトに反対して結集した黒人に、発砲する白人警官」(08.21) / 「第5回:ボスニア紛争の爪痕」(08.14) / 「第4回:史上初めて核爆弾が爆発した「トリニティ・サイト」の爆心地」(08.07) / 「第3回:収穫量が多すぎて投棄されたカナリア・トマト」(07.31) / 「第2回:枯葉剤を撒布する米軍機」(07.24) / 「第1回:森林皆伐の傷跡」(07.17)、必見!〔追記:「第7回:セントルイス号」(08.28) / 「第8回:遺棄されたルワンダ難民の子供」(09.04)〕
8月20日 ▼田中宇「誰が自衛隊機を壊したか」02.08.20付、に注目。▼ブレッド&ローズ公開記念「ケン・ローチ映画祭2002」、8月24日(土)―8月30日(金)、銀座シネ・ラ・セット(JR有楽町駅中央口銀座側すぐtel.03-3212-3761)、料金:1000円均一/ナビゲーターのみ一般1800円学生1500円小人・シニア1000円会員1200円、配給:シネカノン。【イギリス映画界が世界に誇る至宝ケン・ローチの『ブレッド&ローズ』がいよいよ公開されます。マイク・リーが“心の支え”と讃え、キェシロフスキがオーソン・ウェルズやフェリーニ、ベルイマンと並び称し、そしてアニエスb.やノエル・ギャラガー、モリッシーなど数多くのアーティストから敬愛される巨匠ケン・ローチ。ファン待望の『ブレッド&ローズ』公開を記念して『ナビゲーター ある鉄道員の物語』(01年)の先行上映を含む代表作を一挙公開!!リアルを見据えながらも温かいまなざしと独特のユーモア溢れる映像世界をご堪能下さい。】。
●上映作品:A ナビゲーター ある鉄道員の物語(2001年/96分)【イギリス、南ヨークシャー。国鉄民営化の波にのまれ、失業の危機に怯えながら過酷な選択を強いられる鉄道労働者たちが、組織に立ち向かい、互いの友情、それぞれの家族の絆を見つめるヒューマン・ドラマ。】、B ケス(1969年/112分)、C 大地と自由(1995年/110分)、D カルラの歌(1996年/126分)、E マイ・ネーム・イズ・ジョー(1998年/108分)
| | 土 | 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
| 11:30〜 | B | C | C | B | E | A | D |
| 14:00〜 | E | A | D | E | A | C | B |
| 16:30〜 | A | B | E | D | C | B | E |
| 19:00〜 | D | E | B | A | B | E | A |
8月19日 ▼批評空間のサイトに柄谷行人「弔辞 内藤裕治を悼む」(2002.05.21、08.12up)。▼阿満利麿『国家主義を超える 近代日本の検証』1994年7月、講談社。【本書は、近代日本の文化的枠組みを再検討し、国家中心主義を超える道がどこに、どのように用意されていたかをさぐろうとする試み】という阿満は【近代天皇制国家が、〔…〕フォーク久しく内在してきた現世主義的傾向と、思想史的には、近世はじめから明確になってくる現世中心主義の必然的な帰結ではないか】として【フォークの歴史、広く民族史でいえば、中国文明と接するまでの日本では、現世と他界とは拮抗していた。いや他界の方が現世に優越してもいた。〔…〕この世と他界の間を、人間をふくむあらゆる存在が、自由に往来できるとも信じられてきた。それが、いつのころか、他界の比重が薄れはじめ、他界は、もはや思慕するしかない世界となってしまう。代わって、現世のなかの楽土が大きな意味をもちはじめる。〔…〕現世における権力者の力が強大になるにしたがい、他界は、あの世からこの世のなかにずれこんでくることになったともいえよう。ヤマトの場合、現人神である天皇の存在が楽土を構成する不可欠の条件であった。/それ以来、日本のフォークでは、あらゆる種類の他界は、この世のどこかに、霊山にしろ海彼にしろ、存在することになった。他界は、現世との連続性において構成されたのであり、断絶においてではなかった。亡き人が、「草葉の陰から見守っている」という表現が、そのことを集約的に物語っている。現世を否定し、現世を超越したところに他界を求めることは、日本のフォークにとって馴染みがあるとはいえない。】と指摘し、また【〔伊藤〕仁斎の朱子学の否定のプロセスに、その現世主義の特色がよくうかがわれる〔…〕仁斎の日常主義は、今風にいえば、日常の聖化といってもよい〔…〕その一つは、死の排除であり、もう一つは、心の内奥を探求することの放棄であり、三つ目は、非日常、神秘の抑圧である。〔……〕/本居宣長にいたって、仁斎によって排除された死の問題も、神秘の世界も、ともに神の「御所為」ということで一挙に解決されたばかりか、現世が現世でありうるのは、「神代」に決められた天皇支配という秩序原理に基づくのだということが明確となった。〔…〕現世を貫く秩序に対する願望が、徂徠の非合理的な「天命」を経由して宣長の天皇にいたったことが、近代日本の悲劇であった。〔……〕/現世主義自体が、歴史の必然であるとしたら、現世のなかに依拠するに足る秩序を見いだそうとする試みはつづくのであり、この世における絶対的権威が再生する可能性も強い。それだけに本居宣長の到達した天皇至上主義は、十分に検討、克服される必要がある。】と書いている。
8月18日 ▼『Web Site Design』vol.5(2002年9月、技術評論社)が、特集1・そんな言葉では伝わらない−伝わるテキストのつくり方、特集2・初めてでもカンタン!レイアウト5つの法則、特集3・毎日のサイト更新を効率化しよう。▼〔URL変更のため再掲〕エディカラー解説書プロジェクト編、住友金属システムソリューションズパブリッシングシステム部監修『エディカラーでいこう! 簡単に効率よく高品質のDTP』印刷出版研究所、B5変形328ページCD付、本体2850円、ISBN4-87086-204-2。
8月17日 ▼連続公開講座「9・11一周年記念集会」話と討論:板垣雄三+芝生瑞和、9月11日18:30、〔飯田橋〕東京ボランティア・市民活動センター会議室B、資料代・参加費:800円(先着40名まで)、主催:日本パレスチナ医療協会、連絡・お申込はハガキ、FAX、E-mail等で:〒164-0001東京都中野区中野6-5-1ブランペンション1-G 日本パレスチナ医療協会TEL/FAX:03-5330-9679 jpma@mx6.ttcn.ne.jp http://www1.ttcn.ne.jp/~jpma/ ▼『チョムスキー9・11』完成披露上映&トークライブ「あのテロはモーニング・コールだった」ゲスト:鶴見俊輔+C・ダグラス・ラミス、9月11日〔映画14:30/17:00/20:20、トーク18:40〕、〔溜池〕国際交流基金フォーラム、料金:映画のみ1500円当日1800円/映画+トーク2500円当日3000円、共催:シグロ(03-5343-3101)、リトル・モア
8月16日 帝国データバンクのページ(倒産速報&集計)に「全国企業倒産集計2002年7月報」、【倒産1814件、7月としては戦後最悪/負債1兆2035億1700万円、7月としては戦後3番目の高水準】。動向分析のうえで「今後の問題点」として【米国発の株価下落と米国経済の急減速が、再び日本経済をリセッションへと導こうとしている。8月6日の日経平均株価が一時9500円を割り込み、バブル崩壊後の最安値寸前に迫った。株安・円高は、人件費削減や不採算事業のリストラ、輸出頼みなどによる企業業績の「V字回復シナリオ」を大きく狂わせ、企業マインドの萎縮や個人消費の一段の冷え込みにつながる。〔……〕今春からスタートしている大手銀行の貸出金利の引き上げ交渉を巡って、銀行と融資先企業とのせめぎ合いが激化の一途を辿っている。〔…〕「融資打ち切りを前提として、金利引上げを要求された」(中小建設業者)、「引き上げに応じなければ、整理回収機構(RCC)への債権売却を示唆された」(中小卸売業者)、「手形の割引金利の上乗せを求められた」(中堅メーカー)など、中堅・中小を中心とした企業経営者の悲鳴は日増しに高まっている。〔……〕7月の企業倒産は1814件で、前月比では増加件数としては過去最高の399件増(28.2%増)となり、前年同月比では15.8%増となって3ヵ月ぶりに増加に転じ、3月の1788件を上回り今年最悪となった。戦後10番目、バブル崩壊後で4番目、7月としては戦後最悪である。倒産は本格的な急増への兆しを見せている。負債総額は1兆2035億1700万円で、前月比71.2%増、前年同月比61.1%増とそれぞれ大幅に上回り急増傾向を示した。デフレ、信用収縮圧力が極限に達しているなか、企業業績のさらなる悪化と資金調達難、歯止めのかからない上場企業倒産、ペイオフ全面解禁撤回で露呈した金融不安の増幅懸念とそれに伴う金融機関の債権回収、そして貸出金利引き上げの動きも企業切り捨ての呼び水になりかねないなど、倒産の増加要因には事欠かない。倒産は9月中間決算、そして年末に向けて、年間2万件ラインを大きく超える戦後最悪のペースで推移するものと見られる。】と指摘。
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