読書録 2002年4月後半(敬称略)

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  • 4月30日 人権・報道・インターネットのページ(情況に対して発言する)に、山下幸夫「誰のための有事法制か−有事法制三法案について考える」(02.04.28)。【4月16日、政府は臨時閣議で、外部からの武力攻撃事態(有事)に対処するための有事法制三法案(武力攻撃事態法案、自衛隊法改正案、安全保障会議設置法改正案)を閣議決定し、翌17日に国会に提出した。戦後初めての有事法案の国会提出である。〔……〕/〔…〕今回の有事法制三法案については、日米安保体制と周辺事態法との関係を抜きには考えられない。/すなわち、1999年8月25日に施行された周辺事態法(周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律)により、日米安保体制は大きく変質させられ、米軍が行う戦争について、日本が後方支援をすることが認められるとともに、米国に対する義務にもなった。/その結果、米国が戦争を始めた後、我が国が周辺事態法に基づいて後方支援を開始したことに対して、敵国から我が国(特に米軍基地がある沖縄)に対して攻撃が加えられる危険性は十分にあり、このような場合に武力攻撃事態法案が発動される可能性がある。/〔……〕武力攻撃事態法案は周辺事態法と連動して働く可能性が高く、小泉首相も今国会の答弁で「事態の進展によっては両者が並存することはあり得る」と率直に認めている。/小泉首相は、有事法制三法案が今国会で成立することを急いでいるように見えるのは、「有事」は間近であるという認識を持っているからであると思われる。そして、そうであるならば、小泉首相が有事法制三法案の成立を急いでいるのは、決して国民のためではなく米国や米軍のためであることも明らかである。/個人情報保護法案や人権擁護法案などのメディア規制法が次々と国会で審議入りし、今国会での成立を目指すとされていることも併せて、一気に、我が国が、いつでも戦争ができる戦争国家へ一気に変貌させられようとしていることを見抜かなければならない。/既に成立している周辺事態法と併せて、今回の有事法制三法案は、戦前の国家総動員法の再来であり、個人情報保護法案や人権擁護法案は治安維持法への地ならしであると考えられる。/これらの法律が成立したら、もはや我々市民は戦争への協力を強制され、それに反対する者は異端者として排除されていくことになってしまう。/我々市民としては、戦争国家に向けた動きを止められるのは今しかないとの決意で、この動きにいかに抗していくことができるかをみんなで考え、連帯して反対する行動をすることが求められている。】。

  • 4月29日 ▼4月26日、自民、公明、保守の3与党は「JR不採用問題に関する声明」を出し、社民党に対して国労問題「4党合意」破棄の最後通告を行った。これに対し翌27日、1047名の不当解雇撤回、国鉄闘争に勝利する共闘会義(二瓶久勝議長)と鉄建講談訴訟原告団(酒井直昭団長)とは連名で「3与党声明に対する見解」を発表した。▼『日本経済新聞』02.04.28付「サイエンス」欄に「言語の起源に「歌う動物」 雄鳥が雌を魅了、文法誕生に新説」(編集委員・滝順一)。【鳥やクジラの仲間には巧みに歌をうたう者たちがいる。歌い手は雄で、人間社会と同様、歌がうまいほど雌にもてるらしい。雌の厳しい耳に鍛えられて、雄の愛の歌はより複雑に、微妙なニュアンスを表現できるようになってきた。そんな研究の中から、人間の言語の起源も見えてきた。/鳥かごの中で軽やかにさえずる雄のジュウシマツ。「彼らの歌には文法がある」と長年、その歌声に耳を傾けてきた千葉大学の岡ノ谷一夫助教授は話す。〔……〕クジラより人間に近い知能を持つといわれるチンパンジーは食物を見つけると声をあげて仲間に知らせ、様々な感情表現もできるが、文法を持たない単純な「発声」にとどまる。逆にジュウシマツの歌はある種の文法によって複雑に変化しても、それは異性を魅了する以上の意味はない。/文法のないチンパンジーの言葉と、意味を持たないジュウシマツの歌(文法)。クジラの歌がどれほどの意味を持つかは不明だが、チンパンジーとジュウシマツの鮮明な対比を見た岡ノ谷さんは、「人間の言語は言葉と文法が別々に生まれ、それらがどこかの時点で合体したのでは」と推測する。/これまで言語の起源は、まず単純な言葉が生まれ、その後、言葉同士を結びつけて複雑な意味を作り出す文法が生じたと考えられてきた。岡ノ谷さんの見方は「言語の起源論に新しい光をあてる」と、進化論が専門の長谷川真理子早稲田大学教授はみる。】。

  • 4月28日 永井良和『風俗営業取締り』2002年4月、講談社選書メチエ。おもに敗戦後の風俗統制の推移と警察権力の拡大を【取締の手法に生じてきた質的な変化に注目】してまとめた労作。学校空間の安全を問う契機となった大阪教育大学付属池田小学校事件(2001年)にふれて【門を閉じ、外からの人の出入りを監視する。生徒と教師、そしておヤは学校内に入れる。しかし、悪者の侵入は排除する。安全のため、授業時間内は、生徒が外に出ることを禁止する。監視カメラやセンサーで「武装」した学校。これはしかし、かつて遊郭がとっていた構造の「ネガ」である。昔は、道徳的に問題のある空間が囲われていたのだが、現在は守るべき空間が囲われている。図と地が逆転したといってもよい。さまざまな問題を特定の場所に閉じ込めておくことができなくなり、社会全体に「悪」が拡がってしまった状態では、保護対象施設のほうが「隔離」されたかっこうになる。】とする永井は、監視カメラにふれて【子どもへの携帯通信機器の普及の経緯をたどってみると興味深い事実にいきつく。携帯電話の前には、ポケベルというものが普及していた。子どもたちにこの機械をもたせたのは、誰だったか。それは、親であり、教師たちなのだ。〔……〕危険な外界に出ていった生徒の動向を知り、子どもの安全を確認する装置として、これらの技術は利用されてきたのである。テクノロジーは、そのような意味で「お守り」として機能している。〔……〕技術は、子どもを守ることもできるし、危険に晒すこともある。結果を左右しているのは、技術を使っている人間のほうだ。また、監視カメラの映像を誰が管理し、その情報が何のために利用されるかについても注意を払う必要がある。〔……〕私たちの暮らす社会では、テクノロジーによって人間の行為をコントロールしようという傾向がじょじょに強くなっている。】と指摘している。

  • 4月27日 憲法違反のメディア規制3法案(個人情報保護法案、人権擁護法案、青少年有害社会環境対策基本法案)反対! 『毎日新聞』02.04.27付に「個人情報保護法:自民の内閣委員が辞任 問題指摘し造反」。【個人情報保護法案を審議する衆院内閣委員会の理事を務めていた自民党の阪上(さかうえ)善秀氏=近畿比例代表選出=が、「法案に賛成できない」として26日、委員を辞任した。阪上氏は「表現・報道の自由への懸念を表明した日本新聞協会の緊急声明も理解できる」などと理由を述べた。自民党内からも公然と法案批判が出てきたことは、今後の法案審議に影響を与えそうだ。〔…〕】。▼総務省統計局統計センターのページに「労働力調査(速報)平成13年度平均結果の概要」(02.04.26公表)。【[就業者]・就業者数は6389万人と,前年度に比べ64万人の減少。4年連続の減少/・男女別にみると,男性は3770万人,女性は2618万人で,前年度に比べると,男性は45万人の減少と,4年連続減少。女性は20万人の減少に転じた。また,就業者のうち雇用者は5354万人と,前年度に比べ18万人の減少/[完全失業者]・完全失業者数は348万人と,前年度に比べ29万人の増加/・男女別にみると,男性は213万人,女性は135万人と,前年度に比べ男性は18万人の増加,女性は11万人の増加/[完全失業率]・完全失業率は5.2%と過去最高。前年度に比べ0.5ポイントの上昇/・男女別にみると,男性は5.3%,女性は4.9%と男女ともに過去最高。前年度に比べ,男女ともに0.4ポイントの上昇】。関連:「最新の詳細結果表(平成13年度平均)」。▼LCR政治局の声明「フランス大統領選第1回投票結果について」〔週刊かけはし02.04.28〕。

  • 4月26日 転入届不受理裁判を支援し、「オウム信者」の生活権を考える連絡会(転入届不受理裁判支援連絡会、連絡先:東京都豊島区池袋3-26-6オフィスY)『あたりまえのことをあたりまえに』No.9(02.04.06)に「「オウムに何でもあり」はここまで来た」。【転入届不受理等の取消訴訟は、昨年10月の大阪地裁判決以来、地裁レベルでは計7件の勝訴判決が出ている。中でも東京地裁民事第3部では、原告の請求した損害賠償額の2分の1にあたる50万円の損害賠償支払いを立て続けに被告に命じた(…)。〔……〕/しかし、こうした司法判断にもめげることなく、転入届不受理を宣言した自治体は、確実に不受理処分を行い続けている。住民登録業務を所管する総務省も例外ではなく、相変わらず自治体の判断と訴訟の動きを関心を持って見守るのみで、問題解決に向けて何もしようとはしていない。〔……〕/こうした中、杉並区でアレフの東京道場を監視するためにカメラを設置していることが明らかになった。カメラ設置はもとより、杉並区職員の人権意識の低さは本文の山際さんの報告を参照していただくとして、この監視カメラ撤去と損害賠償を求める民事訴訟も、教団と東京道場に住む信者によって提起された。/また、一部のマスコミで報道されたが、九州大学が元信者Aさんの入学を取り消すという。これまた前代未聞の措置を行った。理由は、「地下鉄サリン事件など社会的に厳しく糾弾された教団の最高幹部の一人として、当時指導的立場にあったことは報道で明らか。生命の尊厳と医の倫理を尊重する研究者を養成する医学部に入学させることは不適切で、九大の教育憲章にも違反している」(桑野九大医学部学長 「西日本新聞」の報道)。このAさんは、旧オウム真理教に所属し、逮捕歴もあるらしいが、いわゆる一連の「オウム事件」では立件さえもされていない。「生命の尊厳」を語る大学教授たちが「報道で明らか」などと非科学的かつ低レベルな現状認識をさらけ出すことはなんとも情けない限りだ。この1年間、99年にあったような「オウム排斥運動」は陰を潜めているが、「オウムには何でもあり」の事態はここまで来ている。】。

  • 4月25日 憲法違反のメディア規制3法案(個人情報保護法案、人権擁護法案、青少年有害社会環境対策基本法案)反対! 「河北新報ニュース」のページ02.04.24付に「両法案に「断固反対」 新聞協会が緊急声明」、【国会で個人情報保護法案と人権擁護法案が本格審議を迎えたことについて、日本新聞協会(新聞、通信、放送計154社加盟)は24日、「憲法で保障された『表現の自由』に政府が介入する道を開くもので、断固反対する」との緊急声明を出した。/声明は、「繰り返し『報道の自由』に十分配慮するよう求めてきたにもかかわらず、両法案はわれわれの主張をほとんど無視した」と指摘。/「個人情報保護や人権擁護を名目にして、報道の自由を不当に制約したり、報道機関を監督する主務大臣を置いたりするなど報道機関の死活にかかわる」と強調した。】。「毎日INTERACTIVE」02.04.24付「日本新聞協会:個人情報保護法案と人権擁護法案で緊急声明」に【<新聞協会の声明全文>/個人情報保護法案と人権擁護法案について、日本新聞協会は繰り返し「報道の自由」に十分配慮するよう求めてきた。それにもかかわらず、政府提出の両法案は、われわれの主張をほとんど無視し、憲法で保障された「表現の自由」に政府が介入する道を開くものとなっている。/個人情報保護や人権擁護を名目にして、報道の自由を不当に制約したり、報道機関を監督する主務大臣を置いたり、取材・報道活動を独立行政委員会の裁量にゆだねるなど、報道機関の死活にかかわり、断固反対する。/報道による人権やプライバシー侵害の問題は、報道機関の自主的な対応で解決を図るべきである。民主主義の根幹をなす国民の「知る権利」はあらゆる機関から独立したメディアが存在してはじめて保障されるとわれわれは固く信じる。】。

  • 4月24日 ▼レイバーネットのページに「全労協・有事法制反対の宣言を発表」。【憲法違反の「有事法制関連3法案」に反対する声明/小泉内閣は、4月17日、不当にも「有事法制関連3法案」を国会に上程した。〔……〕明らかなように「有事法制法案」は、「武力攻撃事態」と判断すれば憲法や国内法の規定に拘束されず、自衛隊や米軍が自由に軍事行動ができるようにし、それに民間の土地や家屋・物資も自由に使用できるという財産権を侵害し、関係する地方自治体・公共機関・民間業者や職員・社員が戦争協力を強制されることに示されるように「基本的人権」を制限するものであること。まさに、「戦争を戦える国家体制」への国民総動員体制を確立することを狙うものである。/〔……〕この「有事法制」化=「戦争を戦える国家体制」創りは、大きくは2つの狙いがある。その1つは、海外で米軍の戦争行動に対し、自衛隊が共同行動をできるようにすることである。これは、以前から集団的自衛権の行使ができるように国内法の整備をすることを米軍から要請されていたのである。もう1つは、経済のグローバル化で多くの日本企業が多国籍企業として海外進出しているが、この日本企業を現地の反乱・暴動から防衛するために「企業の安泰=日本の安泰」と称して自衛隊の海外派兵をできるようにするためである。/そして当然、この「有事法制法案」は、戦争放棄を唱った日本国憲法に違反することは明らかである。だから、「有事法制法案」の推進者は、「憲法の改悪」を射程に入れて推進しているということである。/全労協は、このような「憲法違反」の有事法制、「基本的人権」を制限する有事法制、「言論・出版・集会・報道の自由」を制限する有事法制、「戦争を戦える国家体制」を創る「有事法制3法案」には反対である。/全労協は、今回、国会上程された「有事法制関連3法案」を阻止するための多くの市民団体・宗教者団体・労働団体等と共同行動(共同戦線)を取り組み全力で闘うものである。/以上、宣言する。/2002年4月17日/全国労働組合連絡協議会(全労協)】。▼野田敬生「パクられた公安部長は裏ガネ告発者!」〔02.04.22《公安情報 ESPIO!》Vol.123〕。

  • 4月23日 「AdobeInDesignの永い旅」(02.04.23 JAGAT)▼辺見庸「反時代のパンセ 連載第36回 (番外)有事法制」〔『サンデー毎日』2002年5月5・12日合併号所収〕。【政府が有事法制関連三法案を閣議決定した。来るものがついに来たのだと思う。〔……〕急遽内容を差し替え〔…〕四月十六日夜記す】として辺見は【〔…〕私には鬱勃とした怒りがある。だが、それはかならずしも小泉内閣だけへのものではない。この国の愚昧な好戦家たちがここまでやることぐらい、ずいぶん以前からわかりきったことだったからだ。では、マスコミへの怒りか? いや、そんなものはとうにいい厭きている。マスメディアへの腐敗はいまにはじまったことではない。〔…〕では、いたいなにに私は怒っているのか。ほんとうのところ、よくはわからない。だが、煎じ詰めれば、怒りの矛先は、私自身、私の周辺、それらを包む日常に向けざるをえない。〔……〕空虚だ。あまりにも空虚である。記者が編集者がディレクターが、連夜、飲み屋で評論している。「うちはだめになった」と皆がいう。「うち」ってなんだ、うちって。出社すれば、だが、だれもルーティンワークに逆らいはしない。有事法制などなんの関係もなくなる。日常のイナーシア(慣性)が、自他のすべてを制していく。皆で中身のない“勤勉合戦”をはじめる。有事法制が閣議決定された夜だってそうだった。抵抗を抑圧する不当な強権が別して発動されたわけではない。抵抗そのものが皆無だったのだ。皆が数十年来のイナーシアに夢遊病のように従っていた。闘わずして安楽死である。この国のマスメディアで有事法制反対を口にするのは、たんに月並みな知的お飾りにすぎない。口先でいうだけで、なにか失う覚悟なんかありはしないのだから。ファシズムの透明かつ無臭の菌糸は、よく見ると、実体的な権力そのものにではなく、マスメディア、しかも、表面は深刻を気取り、リベラル面(づら)をしている記事や番組にこそ、めぐりはびこっている。撃て、あれが敵なのだ。あれが犯人だ。そのなかに私もいる。】と書いている。

  • 4月22日 イ・ヨンスク「国語学・言語学・国学」〔『言語』30周年記念別冊「日本の言語学 三〇年の歩みと今世紀の展望」2002年5月 所収〕。【明治時代以降の日本の「国語学」をどのように性格づけるかは、たいへんむずかしい問題である。大局的に見れば、「国語のために国語学をつくりだし、それにこれを奉仕せしめようとする」「そういう精神の学問が、明治以来日本の正統の国語学であった」〔…〕と言うことはできるだろう。】として【〔…〕上田万年以降の「国語学者」たちは、江戸時代の国学を超克すべき文献学と見なしたうえで、ヨーロッパの言語学者が古典文献学に向けた批判を、そのまま江戸時代の国学に向けて繰りかえしたのである。すなわち、かれらの国学批判は、実はヨーロッパにおいて言語学が文献学に投げかけた批判の反復にすぎなかったといえよう。〔……〕時枝は、国学者の研究の方が西洋言語学よりも「科学的精神」に立脚しているとさえいう。「観察的立場」を排し、あくまで「主体的立場」から言語理論の構築をめざした時枝は、「国学」の学説を、日本語話者が「主体的立場」にたって日本語にいだいた言語意識の展開として評価するのである。〔……〕国学と国語学の関係、言語学と国語学の関係について、時枝は橋本と真っ向から対立する見解をもっていたことがわかる】と橋本と時枝とを対照するイは、【一方からは「日本の学問的伝統」として称賛されるものが、他方からは「前科学的なもの」として否定される。たしかに評価の方向は正反対であるが、どちらにせよ対象とされる「伝統的なもの」は、後から作りだされた虚構的系譜なのではないだろうか。それはまるで肯定されたり否定されたりするために呼び出される亡霊のようなものである(そして亡霊のなかでもっとも強力なのが本居宣長であろう)。/おそらく、日本の明治以降の言語思想史は、国学からも「科学的国語学」からも距離をおいた地点から書かれるほかはないであろう。そこでは、言語学の「科学性」も国学の「伝統性」も、おなじように相対化されるにちがいない。とりわけ「亡霊」に対して過剰な反応をすることは避けなければならない。「亡霊」を否定するために「亡霊」をもう一度呼び寄せると、今度こそ「亡霊」が息を吹き返してしまうおそれがあるからである。】と書いている。

  • 4月21日 ▼4月19日、東京・日比谷野外音楽堂で「あつまろう ! こえをあげよう ! STOP有事法制4.19大集会」が開催され、5000人の参加者が有事法制反対の声をあげた。【有事法制に5000人の怒り……有事法制上程の日である4月19日には日比谷野音に党派をこえて政党・労働組合・市民団体など各界各層から総結集し、会場はぎっしり埋まった。戦争協力に危機感をもつ医療労働者や航空労働者が会場の中心に座った。「戦争の加害者にも被害者にもならない」というアピールを採択し今後の運動を大きく広げる出発点の集会になった。】としてレイバーネットのページに「有事法制反対 ! 4.19集会の写真速報」「有事法制に抗する労働者〜4・19大集会フォトレポート2〜」。▼4月16日、東京・大井町「きゅりあん」で「1047名の不当解雇撤回、国鉄闘争に勝利する共闘会議」の結成集会が1000人の参加でたたかいとられた。たたかう国労闘争団のページに「「1047名の不当解雇撤回、国鉄闘争に勝利する共闘会議」発足、1000人が参加して4・16結成集会/人間復権の運動として市民を含めた幅広い結集を!大衆闘争の大きなうねりを!」

  • 4月20日 ▼浅井久仁臣「その後の“人間の盾”」(02.04.18、黒 La Nigreco)▼『毎日新聞』02.04.19夕刊・文化欄に「『天皇と王権を考える』シリーズ刊行始まる/二項対立を超えて、多元的な視点を提供/編集委員の安丸良夫氏に聞く」。【天皇制は日本独特の古いものだと従来説明されていたが、近代国民国家の類型という考え方が強くなってきた。今、国家が動揺していることは事実だが、何かにとって代わられる方向に進んでいるわけではない。確かに国家間の関係は変化しており、米国との関係でしか個々の国は存在しえないような状況になっている。だがそれで国家の力が弱体化したとは言えないし、国家による暴力的な抑圧が目立たない場合も権威的編成は行われていると思う。】と指摘する安丸は、「天皇制対近代・民主主義という二項対立から転換するよう訴えられていますね」との問いに答えて【戦後の学問は敗戦体験と天皇制への反省から生まれた。啓蒙的近代を対置するパラダイムで議論が行われたから、社会を近代化する考え方が説得力を持っていた。しかし実際は江戸時代末になって天皇制が再浮上したし、啓蒙主義的モデルと考えられたフランス革命にしても「国民」になるよう、地方の少数民族を抑圧した。天皇を神と信じることは合理主義に反するが、国家神道の形成に伴い迷信を打破したことも近代天皇制の重要な要素だった。二項対立で考えられたものを再検討する必要があると思う。】と発言している。

  • 4月19日 ▼「4・19革命」42周年!▼映画「友へ チング」(監督脚本・クァク・キョンテク、配給・東宝東和)のパンフレット(02.04.06)に佐藤忠男「そんな男の、その男なりの切なさ。」。【これは凄い映画だと思う。/内容的には単純なものである。小学生の頃、かわいいが悪ガキ仲間的なところもあった四人の友達がいて、高校時代には本格的に不良化する。三度のメシより喧嘩やナンパが面白いような日々である。そんな成りゆきでとうとうそのうちの二人は大人になると本物のやくざになってしまう。二人は別々の組に入っていたので、組の対立抗争になると行動隊長同士のようなかたちで殺し合いになり、目をおおいたいような悲惨な結末に至る。しかしまじめにエリート・コースを進んだ者、堅気の社会人になった者も含めて、四人の友情に変りはなく、どうしてこんなことになってしまったのか、幼い頃の無邪気な友情を思うとほんとうに切ない。/ストーリーのうわべだけ見れば日本映画の非行少年ものや現代やくざものなどにもよくあったような内容である。〔……〕しかし、この映画には凡百の日本のこの種の映画とは決定的に違う何かがある。それは実に深い悲しみであり、日本のやくざ映画が格好よさやヒロイズムで置き換えてしまうところを、そんなところには逃げずに、痛ましさをただひたすら痛ましさのままに深めてゆく強い意志である。/やくざの息子で、父親に反撥していながらその環境に導かれるようにしてやっぱり自分もやくざの道に進んでゆくジュンソク(ユ・オソン)。彼は自分がそんな生き方しかできない人間であることに心に痛みを持っており、やくざの義理、やくざなりの信義といったものを考えて自分に納得しようとしている。そんな人間のみじめさを、脚本・監督のクァク・キョンテクはきっちり描き込みながら、その人間像の底からキラリと光るものを拾い出そうとしている。みじめであればあるほど、幼い頃からの友情という一点の真実を自分の良心の最後のよりどころにする、そんな男の、その男なりの善の切なさ! これこそが凡百のやくざ映画が到達できない感動なのである。〔…〕】。
    いつか会えるだろう 一緒に見たいくつかの夢に/君のつらそうな目をみたら 手を差し伸べよう/いつか会えるだろう 夢中で追いかけた全てのものに/でも今の僕には何もできない だから友よ今は さよなら/共に過ごしたなつかしい日々が 今悲しい記憶に変わろうとしている/共に過ごした時間は もう二度と戻らないのだろうか

  • 4月18日 ▼広河隆一「死者の数」(02.04.16)。▼田中宇「日本の有事法制とアメリカ」(02.04.18)。▼オウム裁判対策協議会のページ(論評)に、山際永三「多発する冤罪」(02.04.14)。【冤罪が多いということは日本の社会が、どこかおかしい、ゆがんでいる、日本の根幹である司法制度が病んでいるということ】という山際は、免田さん、谷口さん、斎藤さん、赤堀さんの4人が死刑から無罪になった意義について【私に言わせれば、やはり戦後民主主義のひとつのいい面がやっと出てきた。戦後民主主義というのは1960年ごろには、どちらかといえば風化してしまって、戦後民主主義とあまり言われなくなってきたわけですね。/それに対してむしろ、戦後民主主義の欺瞞性を見直すという形で、いわゆる70年闘争があった。にもかかわらず80年代になって、やっと戦後民主主義のある種の積極面というか、無実の人を殺してはいけないという、このあたりまえのことが、やっと実現するという形が1980年代になってにじみ出たというか、日本の社会制度の中で搾り出されたというのか、やっと実現された。それがこの4人の無罪だったように思います。/これは法律的には、最高裁判所が出した「白鳥決定」、それと「財田川決定」という大きな前進があった結果です。それまで再審というのは、いわゆる新証拠がないといかんという、その事件の裁判中に出ていた以外の新しい証拠で、まったく明白な証拠が出てこないと再審は通らないのだということになっていたわけだし、今でもそうなのです。】と指摘、それ以降の逆流を批判して【〔…〕冤罪をなくすことで、私は日本の社会も少しは変わって行くのじゃないかとさえ思っています。冤罪がこんなにある限り、日本の社会がいいわけがないと思います。】と訴えている。

  • 4月17日 ▼帝国データバンクのページ(倒産速報&集計)に「全国企業倒産集計2001年度報 2001年4月〜2002年3月」、全文必読(とくに「今後の問題点」の項)。▼『図書新聞』2002年4月20日付に「ヴェトナム反戦世代、弁護士の闘い――インタビュー内田雅敏氏に聞く『敗戦の年に生まれて』」(聞き手・米田綱路)。【〔…〕「周辺事態法」「テロ対策支援法」という名の戦争協力法、つまり参戦の制定という憲法体系の破壊が起こる。〔……〕戦争を放棄した憲法第九条は後ろ向きのものではなく、本来創造的なものです。しかしそれを骨抜きにしていく。これは法の下克上であり、議会の多数派による立憲主義否定のクーデターに他ならない。】という内田は次のように発言している。【今年はサンフランシスコ講話〔講和〕条約締結五〇周年にあたり〔…〕新聞各紙が五〇周年ということで特集を組んでいますけれども、つい先日、「中日新聞」の記事を読んではっとさせられたことがありました。その記事のなかでは、ドイツの場合にはヴェトナム反戦運動がナチスの戦争責任に発展したが、日本では戦中の侵略責任が主体的に問われ〔た〕のは華青闘の告発以降だと書いてあります。〔…〕記事には一九七〇年七月七日、東京・日比谷の日比谷野外音楽堂で、全国全共闘主催の蘆溝橋事件をめぐって催された集会のことが書かれています。有名な話ですが、この集会で華青闘の血債要求が出るんです。華青闘の青年が「集会に参加された抑圧民族としての日本の諸君」と呼びかけ、「我々は戦前戦後、日本人民が権力に屈した後、我々を残酷に抑圧したことを指摘したい。言葉においては諸君を信用できない」と発言したわけですね。/それを会場の片隅で聞いていた大道寺将司氏が、華青闘の告発から四年後の一九七四年八月三〇日、三菱重工本社爆破をやるわけです。そして七五年五月一九日に彼らが一斉逮捕された。私は七五年の四月一日から弁護士登録していて、彼らの事件にどういうわけか関わるようになった。そのなかで、戦争責任の問題や天皇制の問題にぶち当たり、彼らとともに考えていく。その延長線上で花岡事件に関与するようになりました。そうして一昨年の一一月に、花岡事件における一つの解決があったわけですね。〔……〕華青闘の突き上げ、三菱重工爆破、そして弁護人として花岡事件に関わるというかたちで、この三つがトライアングルのようにつながっているのだということに気づいて、感慨深いものがありました。〔……〕私は、東アジア反日武装戦線・狼の連中と出会ってすぐさま彼らの主張に共鳴したわけではない。彼らと話し合っていくなかで、それからその後の日本国内および日本を取り巻くアジアの状況を見て行く中で、彼らの問題提起の鋭さを実感していったわけです。】。

  • 4月16日 JCJのページ(リレー時評)に、桂敬一「不審船と有事法制の不審な関係」(02.04.15)。【〔…〕12月26日の読売によれば、12月に入って米軍筋から「工作船」らしい船の出港を探知したとの軍事衛星の情報が、さらに事件数日前には北朝鮮のらしい暗号無線の傍受情報が、自衛隊に伝えられていたという。/29日になると、朝日も同様の記事を載せた。/そして、極め付きは今年3月6日の朝日の報道だ。米軍筋が12月19日までには沈没「不審船」の出港情報を自衛隊に伝えており、さらにそのころ、同型船が中国軍港に寄港していた衛星写真も日本政府に提供していたというのだ。1月11日の読売(夕刊)は、アーミテージ米国務副長官との会見記事で、彼が「船は北朝鮮のものと確信している」と、米側として初めて明言、あわせて日本側の対応を評価した、と報じた。/米軍の軍事情報技術は、この手の不審船の動きをいつも探知していたはずだ。なぜ今回だけ急に、日本政府・自衛隊に手の内まで明かし、不審船に強硬な行動をとるよう促すかの行動に、米国は出たのだろうか。謎はそこにある。/事件前夜、すでにタリバン政権は崩壊、12月22日にはアフガン暫定行政機構の発足が予定されていた。米軍のアフガンでの戦争を支援する日本のテロ特措法は、2年間の時限法。年明けの大統領教書で「悪の枢軸」と長期にわたるたたかいの方針を表明するアメリカとしては、自分の戦争政策に、時限的にではなく、恒久的に協力できる日本になってもらう必要がある。それには本格的な有事法制を日本に整えさせるしかない。自分が直接、外敵からの攻撃の脅威にさらされれば、日本も有事法制の実現に踏み切るだろう。アメリカはそう思ったのではないか。/事件前、すでに公然と提起されていた有事法制論議は、果たしてこの事件後、急速に大きく盛り上がった。読売の推進論は、「不審船」の領海侵犯や銃撃戦を伴う危険な行為から日本の安全と利益を守れ、とする文脈が備わった。普天間から名護市への米軍海兵隊基地移転は、メディアの大きな議論なく、決まった。そして3月16日の朝日は、日本政府が「ゲリラの侵入やミサイルの着弾」も「武力攻撃」として有事法制の対象に含めることにした、と報じた。〔……〕】。