読書録 2000年12月前半(敬称略)

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  • 12月15日 『週刊宝石』2000年12月28日号に「首切り自由の判決続々!――東京地裁判決で解雇を不服とした側は連戦連敗、労働者を取り巻く環境はここまで切迫している!」。【倒産、吸収合併…。労働者が派手な文言に浮き足立っている間に、企業の雇用に対する考え方は大きな変化を遂げた。行政、司法も後押しする「新自由主義」の名の下に労働者の競争、選別の激化が目論まれている。その大きな流れを我々は常に注視していなくてはならない。】という前文で始まる記事は【…判決要旨には、裁判官によって次のように記されていた。「解雇は本来自由になしうるものである」(今年1月31日、東京魚商業協同組合における解雇事件の判決要旨より)……●全労協全国一般東京労組東洋印刷分会→仮処分申請却下('99年10月4日)●同あすなろ保育園分会→仮処分申請却下('99年11月9日)●全労連全国一般ヒルトンホテル分会→仮処分申請却下('99年11月24日)●出版労連角川財団班→仮処分申請却下('99年11月29日)●同明治書院労組→仮処分申請却下('00年1月12日)●ナショナルウエストミンスター従業員組合→仮処分申請却下('00年1月21日)●東京魚商業協同組合葛西支部→解雇有効判決('00年1月31日)●出版労連廣川書店労組→仮処分申請却下('00年2月19日)●全国一般東京南部カンタス航空客室乗務員組合→仮処分申請却下('00年3月30日)まさに連戦連敗。……労働問題の専門誌『労働情報』の江藤正修編集長は、その流れの発端となった“仕掛け”があるという。「今日の流れを作り出したひとつのきっかけは、'95年に発表された日経連(日本経営者団体連盟)の“提言”ですよ。…」……じつは、そうした動きの片棒を大手企業の労働組合が担いでいるという指摘もある。抽象記号の労組で組織される、中小労組政策ネットワークの小谷野毅氏は言う。「大手組合のほとんどは、産業を守るためなら人員整理もしかたないと、自分たちの仲間の首切りまでやってのけたのです。経営側が労働者を低コストで使い捨てにしたいと考えるなら、労組の側もその風潮を呑んでしまった。だいたい日経連の提言に対しても、大手の組合はそれを認めたうえで、『セーフティネットを作れ』と言うだけ。なんら有効な反論ができていない。現在の時代的流れは、まさに労使がともに作り出したと考えるべきでしょう。解雇されても当然という雰囲気。司法はその空気に乗っただけですよ」…】と報じ、【自分でサラリーマン受難時代を演出しておきながら、消費マインドが冷え込むのはなぜかと首をひねる日本の経営者。この国の未来は、いったいどうなるのだろうか。】とむすんでいる。

  • 12月14日 「Incidents」に浜島望「「Nシステム」を追う(第2回)オウム捜査と警察の野望」(2000年12月13日)。【“国産”「オービス」の開発から遅れること十数年。成田闘争、よど号ハイジャック事件、浅間山荘事件など大事件の続発した70年代への反省をもとに開発された「Nシステム」は、ついにその姿を現した。「監視対象者」の移動を常に捕捉したい……。「公安警察」の悪しき願望に応えるかのように、その性能はめざましい進歩を遂げていく。そして1995年。またもや「オウム事件」捜査を口実に、「Nシステム」は大増殖を遂げる――。】として、浜島は追跡調査の結果をレポートしている。【このシステムの開発に力を入れたのは、科学警察研究所の1970年代からの交通部長・岡本博之氏で、この人は「オービス」導入時の責任者でもあった。きっと「ハイテク信仰」の傾向があったのだろう。もちろん当時は岡本氏でなくとも警察上層部、特に警備・公安関係者のハイテク願望は「対象者の捕捉法」(つまり具体的には「盗聴・盗撮法」)の面でも非常に強かった。それは1970年代を挟んでのいわゆる学園闘争、成田闘争激化、反戦運動高揚、よど号ハイジャック事件、浅間山荘事件、金大中氏拉致事件、内ゲバ摘発などの政治・社会状況や大事件の発生に対処していくための切実な要求だった。……1994年に起きた「福岡美容師バラバラ殺人事件」「富士写真フィルム専務刺殺事件」などの捜査を契機に、警察は「Nシステム」の存在を公にしはじめた。そして1995年、オウム事件捜査の過程で、「Nシステム」はその威力をまざまざと見せつける。】。

  • 12月12日 出版労連のページ(お知らせ)に、「個人情報保護基本法・青少年社会環境対策基本法・東京都青少年条例 二法一条例に対する連続反対集会 Let's Rally! part1 」。■日時 2000.12.13.wed. 18:30〜/■会場 出版労連会議室/■内容 ・講演:憲法学者 奥平康弘氏───なぜ今、表現の自由に対する法規制の強化なのか。黙ってしまってはいけない。1930年代を繰り返してはいけない。/・出版関係団体・メディア関係労組からの発言/・出版労連からの行動提起/■主催 日本出版労働組合連合会/■共催 マスコミ文化情報労組会議(MIC)/■連絡先 文京区本郷2-10-9冨士ビル3F 03-3816-2911(出版労連)
    【中央立法への道を阻止しよう  都青少年条例改悪反対と民主主義/規制には謙抑的とされてきた東京都青少年条例に、『完全自殺マニュアル』等を対象とした、出版物の内容に踏み込む規制や、販売店での区分陳列販売違反に対する制裁措置が加わろうとしている。たしかに今、メディア産業は、市民から多くの課題を問いかけられている。だが私たちは、それらが、公権力による規制によって解決するものだとは考えない。民主主義社会を進むために課せられた、私たち自身の責任だからだ。なぜ、公権力による規制が強化されようとしているのか。その狙いを掴まなければならない。言論・表現・情報・取材・報道・出版・流通に対する管理統制は許さない。管理統制社会の再来を、絶対に許してはならない。公権力からの規制には、反対と言おう。子どもたちを含め読者との対話の一歩を進めるために、みんなで集い、議論しよう。】

  • 12月11日 ビル・トッテンのページに、「デリバティブ取引、半年間で6.6%増加」(『デイリー・ヨミウリ』紙2000年11月14日付)。【国際決済銀行(BIS)が11月10日に発表した半期報告書によると、デリバティブ(金融派生商品)の店頭市場での取引残高(想定元本)は、2000年6月末時点で94兆400億ドル(約9,400兆円)に達し、1999年12月末に比べて6.6%増加した。……BISのデータは、イギリス、ドイツ、日本、米国を含む11ヵ国の主要銀行およびディーラーの店頭市場での取引残高(想定元本)総額の推定値を示している。またデリバティブの想定元本とは、デリバティブ取引の基盤となる資産元本の総額に相当する。想定元本の増加自体はリスクの増加にはつながらない。なぜならば、想定元本は、デリバティブ取引の計算のもとになる数字でしかないからである。/上記の数字によれば、現在主要11ヵ国のデリバティブ取引の合計は94兆ドル(9,400兆円)に達しており、これをそれら11ヵ国のGDP合計と比べると、デリバティブ取引がGDPの4倍に達していることがわかる。……このことから、世界経済が今や、モノやサービスの提供による経済から、お金からお金を生み出す博打経済に転じていることがよく理解できると思う。】。

  • 12月10日 『週刊金曜日』第343号、2000年12月8日付に新島洋「『野宿生活者をIOC委員に見せるな!』、大阪市が五輪誘致を前に『避難所』収容計画」。【二〇〇八年のオリンピック開催地に立候補した大阪市は、来年春に訪れるIOC委員の心証をよくしようと必死だ。来年は東アジア競技大会も開かれ、競技場が集中する長居公園に“住む”野宿生活者にはその期間中だけでもテントを畳んでいてほしい。そんな本音を隠して「避難所」収容計画が始まった。…一一月二二日、市職員三五〇人とガードマン一二五人を動員し、周辺住民の抗議を押し切って着工した避難所は、プレハブ平屋建ての宿泊棟一六棟、管理棟など四棟。定員は一棟二二人で合計三五二人。ベッドの間に仕切りをし、自炊設備、作業スペース、犬舎なども設ける。また、毎晩米飯を支給する。設置期間は三年で、一〇億円が投入される。…】。野宿者の急増する地方都市の福祉事務所などが生活困窮者に大阪までの旅費を渡して「やっかい払い」をしているということに対して【「釜ヶ崎医療連絡会議(医療連)」で相談活動にたずさわってきた寺尾正文さん(四九歳)はこう言って市のやり方を批判した。「黄疸がでて、腹も腹水がたまってパンパンに張っている人を目の前にしても、住居がないから医療保護はできないと、大阪市の職員は平然と言います。にもかかわらず、他市に行く旅費を大阪市も渡している。沖縄に帰りたいと言えば、帰りなさいと喜んで旅費を出す。そのカネを全部飲んでしまって、また(大阪市更生相談所に)行ってもまたカネを渡す。みんな押しつけあいとたらい回しをやっているんです」】。

  • 12月9日 ZDNetNEWS 12月7日付に「もうGIFもTIFFもいらなくなる──JPEG-2000」。【保存する画像フォーマットで悩むのは過去のことになるかもしれない。GIF,TIFF,さらには動画までJPEG-2000で置き換えられるのだ。…JPEG-2000では,圧縮の際に情報の劣化が起こらない「ロスレス圧縮」もサポートする。利用できる色数にも制限がない。また,画像の中の特定の部分だけをロスレス圧縮することも可能だ。】。

  • 12月8日 がんばれ国労闘争団のページ、闘争団・家族ネットワーク「貫徹」第21号(2000年12月5日)に【自らの力で解決するための決意と体制づくりを−完全に破産した「4党合意」−】。【「そして誰もいなくなった」ー舞台から姿消す四党合意の政党関係者】として【…「4党合意」は、7月1日の臨時大会で決められなかった時点で事実上効力はなくなっていたのだが、これまで至る間に社民党の伊藤、濱田両氏が去り、自民党・野中幹事長と彼からまとめ役を一任されていた甘利幹事長代理の両氏が退任することにより、「4党合意」は完全に破産した。従って、これ以上単なる紙屑になった「4党合意」に振り回される必要は一切ない。】と指摘、さらに【貧困な労務政策と人権感覚しかない日本政府を国際的に孤立させよう/新たな解決交渉づくりに向けてたちあがろう】と訴え【権謀術策を弄して黒を白と言い含めるしたたかな政府やJRに対し、「闘争団・家族の解決要求」をきちんと対置していく必要がある。日本版リストラのモデルとなり、解雇自由の社会的風潮が強まるなかで、国鉄闘争の結末を多くの労働者が注目している。……本気で解決を望むなら、誰や彼に期待するのではなく自らの手で解決させると言う決意と体制づくりが求められている。闘争団・家族が闘う決心を示せば、支援・協力を惜しまないと言う声は全国に満ちている。】とむすんでいる。

  • 12月7日 ▼『吉本隆明が語る戦後55年(1)』2000年12月、三交社。インタビューにこたえて吉本隆明が指摘している。【先日テレビで、親の世代と子の世代を集め、筑紫哲也が司会、野坂昭如がゲストの討論番組がありました。…そのなかでゲストの野坂昭如や司会の筑紫哲也が「このままでは日本国は滅びる」という意味のことを言ってました。僕からすると「何なんだいったい」ということになります。…筑紫哲也や野坂昭如は進歩的な人たちだったですよね、だから「日本国が滅びるか滅びないかは問題にならない以下の問題で、国民が現在より自由で豊かになるのが、第一義の問題だ」と言うかと思ったら、そうじゃないんですよ。「日本国が滅びないようにするためにはどうしたらいいか」と議論しているんです。…僕は日本国家が滅びたっていいじゃないかと思っています。少なくとも、日本国が滅びるか滅びないかという問題は第二義以下の問題です。国家が滅びたって民衆が現在より豊かになって自由になるならそれでいいじゃないか、それが理想じゃないかと、とことんまで言えば僕はそう考えます。……司会の筑紫哲也も、「いまの大人たちが次の世代に何を残すかで、日本が滅びるか滅びないかは左右される」といったことを言うんですよ。あらゆる問題が「日本国が滅びるか滅びないか」に還元されてしまうわけです。親子の世代的な相違についても還元するし、そこで通用する倫理の問題についてもそうです。……僕の本音を言えば「国家が滅びるからこれじゃいかん」というような発想は許せないっていうことになります。それはほとんど百%、政治的国家の担当者が、馬鹿かどうかの問題です。それは石原慎太郎や小林よしのりのようなナショナリストの考え方です。】。▼JAGAT(日本印刷技術協会)のページに、植田康夫「20世紀の印刷文化を振り返る」(2000年12月4日、――明治以降、木版から活版へ移行し,書籍や雑誌の種類も多様化し,発行部数も増大。活字メディアはマス・メディアとなる。)、泉和人「印刷技術から20世紀を振り返る」(2000年12月7日、――20世紀はこれまで人類が経験しなかったほど急速な技術革新を経験した世紀であり,印刷技術も例外ではない。)。

  • 12月6日 『読売新聞』2000年12月5日付が「生活保護を制限8割――都と79市、本社調査」「増え続けるホームレス、『最後の安全網』に穴」として、野宿者と生活保護の運用実態の調査報告を1面と34・35面で報じている。【長引く不況で厳しい雇用情勢が続く中、生活困窮者を救済する生活保護の適用を、法の趣旨に反して厳しく制限している自治体が主要都市の八割にのぼることが読売新聞社の調査でわかった。こうした運用がホームレス急増の要因になっているとの指摘もあり、早急な是正が求められそうだ。調査は、人口三十五万人以上をめどに、県庁所在地を含む全国の主要七十九市と東京都の担当者に実情を聞いた。その結果、「働く能力のある者は保護しない」「住居のない者は入院時以外保護しない」のどちらかに該当、国の法解釈に反する適用制限を行っている自治体が六十六にのぼった。…路上やテントで生活するホームレスの人々は、現在、全国に三万人ほどいると推定されており、九八年当時(約二万人)から急増している。……】【「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」。憲法25条の規定は「生存権」と呼ばれる。それを具体化した生活保護法は、無差別平等の適用が原則だ。/ところが、福祉事務所に出向くと「住まいがない」ことを理由に保護を受けにくくなるケースが目立つ。/ただ地域差があり、東京都や横浜市、神戸市などが簡易宿泊所滞在者を認める一方で、大阪市は病院か施設にいったん入ることを条件にする。福岡市、北九州市のように「住所不定の人の保護は、緊急入院した時だけ」とする自治体も相当数にのぼる。/病院を退院する際、住居がなければアパートの敷金支給もできるのだが、一方的に保護を打ち切り、すぐ働けない病みあがりの人を再び路上に追いやる事例もしばしば起きている。…】。関連して、「週刊かけはし」2000年12月4日付に「東京都は上野公園からの野宿者強制排除をやめろ、東部公園緑地事務所に抗議行動」。〔01.01.14付記:http://www1.jca.apc.org/aml/200101/20511.htmlに全文掲載〕

  • 12月5日 『週刊エコノミスト』2000年12月5日号(毎日新聞社)に、木村剛「『先送り』に敗れた金融庁行政、日本経済はまだ戒厳令下にある」。【各金融機関が自己申告している二〇〇〇年三月期の不良債権の合計は八一兆七〇〇〇億円で、GDPの一七%に達する。リスク管理債権に限っても八%ある。昭和大恐慌のとき、その比率は三%未満だった。九〇年代初頭の米国における金融危機の際でも不良債権はGDPの三%であった。客観的にみて、問題の深刻さを否定することはできない。……東邦相互銀行を処理するために預金保険機構のカネが注ぎ込まれたのは九二年。それから一〇年近くも経過しているのに、不良債権の総額が増え、不良債権の比率が高まっている。こんな国は世界中で日本のみである。恐るべきことは、この八一兆七〇〇〇億円という数字すら、ひょっとすると、不良債権処理予定額のように、後で膨張してしまいかねない計数かもしれないということだ。】と指摘する木村は、【不良債権問題は厳として存在している。改善の兆しはみえない。日本はまだ戒厳令下にあるのだ。……金融庁に対する期待は崩壊した。これからアナウンスされることは、どうせ嘘で固められた大本営発表ばかりに違いない。金融庁が問題を解決しないのであれば、いずれの日にか更に厳しい金融危機が日本を襲うであろう。国民は、自分で自分を守るしかない。それが厳しい現実である。】とむすんでいる。

  • 12月4日▼『日本経済新聞』2000年12月4日付が「雑誌創刊ラッシュ――逆風の中、今年4年ぶり200点超」と報じている。【低迷の続く出版界で、新雑誌の創刊ラッシュが続いている。主婦の友社、講談社、小学館などは高年齢者向けの生活情報誌や読者の低価格志向に対応した女性誌、男性誌を相次いで創刊する。今年の創刊点数は昨年の水準を上回り、四年ぶりに二百点を超えるのが確実となった。新雑誌の創刊ラッシュに伴い、書店やコンビニエンスストアの店頭では既存誌を含めた生き残り競争が激化している。】というリードではじまる記事は、【…ただ書店からの雑誌返品率は三割前後で推移しており、「改善の兆しはみえてこない」(出版科学研究所の佐々木利春主任研究員)。新雑誌の創刊がこのまま続けば、年明けには既存誌の休刊や廃刊が増えそうだ。】としめくくられている。▼『読売新聞』が【きょう四日から基本文字を大きくしました。これまでの文字と、新字を比べると、縦8.0%、横13.3%、面積で22.4%増となり、「大きく、くっきり」の印象を受けられたことと思います。】(1面の社告)。段数も15段から14段になり、同日付「編集手帳」が新聞の段数の歴史的推移についてふれている。

  • 12月3日 文化通信のページに、「ベールを脱いだ amazon.co.jp 長谷川純一社長インタビュー」。【――ネット書店の競争のポイントをどうお考えですか。/長谷川:最終的に顧客がどのサイトを選ぶかで決まると思います。米本社でも3―4年前にバーンズ&ノーブル(B&N)のオンラインストアと競争した時期がありましたが、ジェフ・ベゾス社長は直接的に競争するのではなく、顧客にベストのサービスを提供する方針をとりました。その結果、米本社はB&Nオンラインより企業として大きくなり、顧客数も獲得した。当社も日本の顧客にどのようなサービスを提供するかに焦点を絞りたいと思います。/――送料無料の理由は。/長谷川:2年前にサービスを開始したドイツと、今年8月にスタートしたフランスでも無料です。アメリカでは時間が掛かる方法と、早く届く方法という配送の仕方で送料を変えています。提供する「価値」と送料を組み合わせるビジネスモデルです。一方、再販制度下のドイツとフランスで提供できる「価値」が、送料無料ということです。/――今後有料にしますか。/長谷川:配送料や手数料を支払っていただける「価値」をいかに構築していくかで決まると思います。顧客が近くの書店で買える本を、わさわざオンラインストアで買うために提供すべき「価値」を見つける必要があります。日本の顧客がどんな「価値」を評価するのかを把握するために、年内はプロモーションとして配送料無料にしたのです。】

  • 12月2日 目森一喜のページに、目森一喜「少年法改正のこと」(2000年11月21日)。【2000年における少年法の論議は、日本が法律に対して倫理を求めている事、大人がまったく自信をなくしている事をあらわにした。/日本人が法に対して倫理による報復を期待するという事は、近代法に対する無理解を物語っていると同時に、日本人の日本の近代に対する絶望感の現れでもある。/その絶望感から、日本人の精神は後退を始めようとしているように見える。】と指摘する目森は、次のように書いている。【法は倫理とは別のものである。法と倫理は重なり合う場合もあれば、対立する場合もある。人が倫理をまっとうするときに、法を破る事があり得るのは例をあげるまでもない事だろう。その逆に、法を守って倫理に反する事もありえる。/こうした時に、人がどちらを選ぶかは人によって、またその時々によって違うだろう。/この事を見るだけでも、法と倫理を一緒くたにしてしまう事は、法にとっても、倫理にとっても危険な事だというのは明らかだろう。/法は恣意的なものとなり、倫理は国家を越える契機を失う事で普遍性をなくしてしまう。/法に倫理を担わせようとする事は、国家に倫理を代行させようとするのと同義だ。市民社会がそこまで後退すれば、そこには社会主義とうり二つの全体主義が生まれる。/私たちは少年法によって、つまり、未成年の子供たちを国家に引き渡す事によって、日本社会に全体主義を呼び込む方向に向かおうとしている。/この背後に、現状に対する絶望感がある。今、市民社会は、自分では何もなしえない気持ちになっている。そこで、手近な国家にあらゆる事を代行させようと思いついた。/だが、国家が自ら宣伝するように何から何まで代行する事などはできないのは明らかな事だ。いや、それどころか、これまで代行しているフリをしていた事で、やめさせるべき事が多くあるのだ。……今、市民社会は現在の価値観でもって良ければいい人だし、価値観にあてはまらなければ悪い人であるというような、きわめて人というものを見くびった、表面的な感覚を持っているように感じられる。/かつて坂口安吾は仏の弟子は元極悪人ばかりだったと書いた。/法然=親鸞は「善人なをもて往生す、いわんや悪人をや」と述べた。/今、私たちの社会は、こうした先人の位置から、あまりにも後退している。】