読書録 1999年8月前半(敬称略)

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  • 8月15日 「浅野健一ゼミ」のページで5年前の松本サリン事件の被害者のひとりでありながら「市民」から犯人扱いされた河野義行の証言1999.6.28 NEWS 23 in 松本を伝えている。【筑紫:河野さんも被害者の一人ですけれども。河野さんの場合についてお話すれば、加害者というのは考えれば、三つがあって、するとも、直接サリンを撒いたオウム人たち。それから、誤認をして河野さんを犯人にしようとした警察の捜査。それから、それをそのまま鵜呑みにして伝えた報道。この三つがあると思うですけれどもね。/河野:私の方はもう一つあるというふうに思ってます。そのもう一つが一番きつかったような感じがするんですよね。それがやはりその報道を信じてしまった人、一般市民ですよね、そういう人たちによって、無言電話が来たり、脅迫状が来たりというようなかたちですね。何を言っても、こう言い訳にしか取ってくれない。まあそういう状態ですよね。で私のことを人殺しと呼んだり、町から出ていけ、これは今のオウムの状態と全く同じ行動だと自分が思うですけれどもね。/筑紫:オウムの信者たちがなかなかその住民とトラブルを起こしてる問題、そのことをおっしゃているんです。/河野:そうです。彼らが何かをやったかといったら、まだやっていないうちに、人殺し、それからその町から出ていけ、これは私の方からすればですよ、それは住民の方に問題があるじゃないかと思います。】そうだ。だれでも「市民」から「出ていけ」と襲われる可能性があり、襲われたくなかったら、襲うことをやめる勇気を持つことからはじめなければならず、「オウム出て行け・住民大会」などという野卑な企てに加担する「住民」は魂をぬかれた哀しい奴隷にすぎないみずからの姿を知らねばならない。

  • 8月14日 中村正三郎「乳の詫び状(1999/08/12)」が盗聴法に言及。【昨夜は盗聴法の採決をめぐって国会が紛糾してましたが、野党はここになってやっと存在価値が出たような雰囲気。民主党の管が、昨年の暮れに勝負所を知っていれば、小渕内閣なんて八方美人のご用聞きで国民の血税を垂れ流しまくるデタラメ内閣は、とっくに潰れていたのに、管が馬鹿だったねえ。/小渕が垂れ流した穴埋めのため、消費税は15%くらいにしないとだめだろうし、ツケは全部国民が払うんだよね。企業のリストラ費用まで税金で出してやるなんて、そんなおんぶにだっこで企業に国際競争力が付くわけがないのにね。でも、選挙で票がもらえるから、銀行救済とゼネコン救済に何十兆円もぶちこんだわけだし、創価学会の票がほしいから馬鹿な地域振興券なんて税金の無駄遣いをやって公明党のご機嫌をとったわけだし、財界のメカケといわれる自民党なら、企業のリストラ費用を税金で出すくらい当たり前だよね。/大笑いなのは、リストラで自分の首は飛ぶのに、そのリストラ費用をあとから税金で搾り取られることね。首がないのに税金を払わないといけないわけで、国民は奴隷の代名詞だね。/だから国歌と国旗を法律で定めて、「おまーら、奴隷じゃけんね」ってはっきりさせて、でもって、税金をがんがん搾り取れるように、住民台帳の法律も改正すると。で、楯突く奴がいるとまずいから、盗聴ができるように盗聴法も作ると。/うまくできてますよね。国家はちゃんと考えてやってますよね。片や、ガングロ女子高生的「えーっ? わかんなーい。オブチ? なんとなく、いい人っぽい」の世界だから思うツボ。前回選挙のときといってることとやってることが全然違って、談合野合を繰り返しているのに、小渕が首相の権力にしがみつきたい一心で解散もせず、選挙で国民に信を問わないなんて、世間を馬鹿にしきってますね。つーことで、ここまでヤバイ世の中になってくると、そろそろ政治テロで腐れ政治屋、腐れ官僚はだいぶコロされても文句が出ないんじゃないかなんて思うけど、どうかな。^^;】

  • 8月13日 JCA-NET セキュリティ委員会・ネットワーク反監視プロジェクト (NaST)・盗聴法成立阻止ネットワーカー連絡会は8月12日、「盗聴法成立強行に抗議する――民主主義と基本的人権の蹂躙を許さない」を発表。【…私たちは異常な議事運営の連続で成立しようとしているこの盗聴法を日本の法律として到底受け入れることはできません。/なぜなら、まずこの法案が憲法で保障された通信の自由という基本的人権を侵すからです。また、この法案の矛盾点あるいはこの法案がもたらすであろうさまざまな問題点を指摘しても、政府側からはまともな回答が得られていません。さらに将来、この法律がどんな人権侵害を生み出すかも現時点ではまったくはかりしることができません。この法案が持つ問題点がこの法案の影響を受ける市民には十分知られていない時点で、国会内外の議論を打ち切り、成立が強行されたからです。/今回の盗聴法が持つ特徴は、高度に技術的なことを扱いながら、その技術について法の条文でまったく規定されていないところです。国会の中で技術者によってこの盗聴法の技術的な問題点の指摘がなされました。そして技術者からは異口同音にこの法案の成立に危惧が表明されたのです。……今後、テクノロジーの発達とともに、ますます大量な情報が通信ネットワークの中を流れる時代となっていきます。通信ネットワークをさらに発達させ、そこに自由な情報の流通を保障することが、今後の社会の発達にとって不可欠になっています。この時代的な要請を受けて、今やインターネットの国際的潮流はいかに情報を保護するか、プライバシーを守るかということに集中しています。また、政府の情報を公開させ、一方で市民のプライバシーを守るのは世界の政治の潮流と言っていいでしょう。/しかし、日本ではまさにこうした流れに逆らう法律を制定しようとしているのです。……一方、私たちはこの盗聴法を成立させた援軍として働いたマスコミを糾弾せざるをえません。本来、盗聴法が持つ問題を指摘し、広く知らせ、広範な関心を呼び起こすべき日本のマスメディアはその本来の役割を十分果たしたと言うにはほど遠いといわざるをえません。この盗聴法は、政府から自立したジャーナリズムの存在を危うくする、その意味でマスコミにとって深刻な問題であるにも関わらず、そうした姿勢を自覚的に明らかにした新聞社、テレビ局がどれだけあったでしょう? これが結果的に政府の盗聴法成立に対する多大な支援となりました。マスコミで働く人々に真剣な反省をよびかける次第です。】として、【私たちは、警察による巨大盗聴システムを成立させないために、インターネットおよび通信関係業界、技術者に通信の秘密を守ることを第一とし、技術協力などを一切行わない良心的不服従をよびかけます。/私たちは、この盗聴法と闘う中で、これまでにない市民運動の枠組みを越えた広範な人と人のネットワークを作り上げることができました。今後はこのネットワークを生かしながら、この盗聴法によって引き起こされるであろう諸問題を研究・調査し、そうした情報を今後とも市民に公開し、この盗聴法の実行を許さない活動を続けていきます。また、市民一人一人が自分のプライバシーを守れるように自衛していくノウハウを共有し、警察国家による管理を許さないネットワーク作りの活動を行っていきます。/政党を越え、この法律の問題点を共有しようとする議員とも協力し、この法律に反対する市民、企業、技術者とも連携して、この法律の施行を許さず、盗聴法の廃絶に向けた闘いを継続することをここで宣言いたします。】とむすんでいる。私はこの抗議文を支持する。

  • 8月11日 ▼宮崎学「全体主義化とアウトローの今後の道」(問題実話1999年9月号)。【日の丸・君が代があり、総背番号制があり、ガイドラインがあり、組対法3法があるという、明らかに全体主義化の方向というのは明確に見えてきている。/新しい全体主義化の社会というのは、清潔な市民みたいな論理が優先する社会になっていくと思うのだが、そうなれば、排除すべき人というのがいっぱい出てくる。/PTAのおばさんたちのやっているようなことが社会の中心的なアイデンティティーになっていった場合、まずオレが排除されるだろうし、つぎは「問題実話」が排除されるという、そういう方向に進んでいく時代の境目が今なのであろう。/アウトローもいまのアウトローからもう一度ドロップアウトして、真のアウトローになるということでしか生きていく道がないのかもしれない。/いまの社会の中でわけのわからない差別とかを受けて、アウトロー全体としては変則的なマフィア化する方向にいかざるを得ない。だがマフィア化することによって得られるものは何もないという、時代の境目は、アウトローの境目にもきたのだ、とこう思うね。】▼『噂の真相』1999年9月号に「警察OBによる盗聴利権会社の存在が発覚!」とのスクープ記事。【…もし彼らの思惑どおり、〔盗聴〕法案が成立、施行されれば、盗聴防止機器のニーズが高まるのは間違いなく、安全工学のような警察OB企業がボロ儲けするというカラクリである。世間ではこれを「マッチポンプ」と呼ぶ。まさに“ポスト・パチンコ利権時代”の幕開け、ともいえる。こんな不見識なワル連中に盗聴法など与えたら、何度でもいうが、ガイキチに刃物である。】

  • 8月10日 ▼参議院法務委員福島瑞穂・参議院法務委員中村敦夫が8月9日、緊急プレスリリース「盗聴法案の採決は行われていない」を発表、全文以下のとおり。【本日、参議院法務委員会で、「良識の府」参議院にあるまじき暴挙が自民・自由・公明の3党によって行われた。/そもそも、本会議休憩後の参議院法務委員会理事会においてからも、野党理事・オブザーバーの到着前に、委員長が与党理事の出席だけで理事会を開き、本日の委員会議事を決定するという、不正常な状態であった。/また、円より子理事(民主党)の質疑で荒木清寛委員長が「後刻…」と答弁中に、鈴木正孝理事(自民党)が何かの動議を出したようだが、それが何かを誰も聞き取れないまま、委員長が「挙手」と発言した。しかし、そもそも採決というためには、可否の結果を宣告する必要があるが、それも一切なかった。ましてや本来、審議終息の採決、3つの法案それぞれの採決と、4つの採決が必要であったにもかかわらず、これらも一切なかった。/その証拠に、速記官が20分ほど委員会室の速記官席に座ったままであった。これらは、明らかに審議が終わっていないことを示している。/こうした状況における盗聴法の採決は、全く存在しないものであるし、仮にこれを認めるとするならば、議会制民主主義に対する冒涜である。/このような盗聴法案の採決が強行されたとされているが、実際には盗聴法案の採決などどこにも存在していない。報道機関はみずからが自分の目で見た事実を正確に報道して欲しい。】▼JCJ 8.15集会 記念講演:辺見庸「私たちはどのような時代に生きているのか」〔とき:8月15日(日)午後1時30分から5時まで、ところ=エデュカス東京;千代田区二番町12-1、電話03-5210-3511、地下鉄有楽町線「麹町」から2分、JR地下鉄「市ヶ谷」「四谷」から約7分、日本テレビ向かい、参加費=会員・予約・学生1、000円、当日1、300円〕主催=日本ジャーナリスト会議(JCJ)e-mail: jcj@tky.3web.ne.jp、電話:03-3291-6475(JCJ) FAX:03-3291-6478(JCJ)

  • 8月9日 毎日インタラクティブ8月8日付報道によると「住民基本台帳法:自民、委員会採決省略を検討」。【住民票に10ケタのコード番号をつける住民基本台帳法改正案は参院地方行政・警察委員会での審議が大詰めを迎えているが、11日の参院本会議で可決・成立を目指している自民党は国会法第56条の3の規定を使い、委員会採決を省略する方向で検討している。同委員会の委員長が民主党のため9日の委員会採決が困難と判断したためで、民主党の参院国対レベルでは「やむを得ない」との反応が支配的だ。しかし委員会段階では民主、共産、社民3党の理事らは「委員会軽視」と強く反発している。/国会法第56条の3は、委員会採決がなくとも、委員会審議の中間報告を受けることで本会議で採決できると規定している。参院では戦後13例があるが、最近では1975年の「選挙二法」以来行われていない。 地方行政・警察委員会の小山峰男委員長が民主党で、与党側が審議を打ち切って採決に持ち込むなどの強行手法を取れないため、24年ぶりの採決方法が浮上した。】民主主義や議会というものはブルジョアジーがその意思を貫く道具だということがよくわかる。住民基本台帳法も盗聴法同様、人民の私生活、経済活動のすべてを管理しようというブルジョアジーの階級解体戦略の一環である。

  • 8月8日 ビル・トッテンのページに「数字が示す貧富の差:平均に達していない典型的米国人」。ビル・トッテンは「日本のメディアは米国の好景気ぶりを連日のように取り上げ、米国民すべてが豊かな生活を送っているかのような幻想を作り上げています。しかし実際は、…最上位1%の米国人家庭の資産が、下位95%の総資産額を上回るというのが米国の実態」だとして「Too Much, Spring 1999」の記事を紹介している。【1995年、ニューヨーク大学の経済学者、エドワード・ウォルフは、米国で最も金持ちの最上位家庭1%の資産は平均で、なんと787万5,000ドル(約9億4,500万ドル)だと語った。そしてこの最上位家庭1%の資産を総計すると、米国人家庭の最下位から95%の財産をすべて合わせたものをさらに上回る。……典型的な米国人家庭がどれほど裕福か、またはどんなに貧乏かを知るためには、「中間値」と呼ばれる統計値を見なければいけない。統計学者が、中間値となる家庭の資産を計算する時の問いは単刀直入で、最上位と最下位の間で、ちょうど真ん中にくる家庭の資産はどの程度か、となる。この中間値にくる家庭が、実際、米国のもっとも典型的な家庭である。全家庭の半数はこの中間値の家庭よりも多くの富を所有し、また半数は少ない資産しかない。1997年、この中間値の家庭の金銭的な財産はわずか1万1,700ドル(約140万円)で、これは1989年よりも1,300ドル(約15万円)以上少ない。換言すると、この10年間で典型的な米国人家庭は経済的に後退しているのである。】

  • 8月7日 日本規格協会符号化文字集合(JCS)調査研究委員会(芝野耕司委員長)はこのほど7ビット及び8ビットの2バイト情報交換用符号化拡張漢字集合(案)」文字集合最終案公開。お知らせによると【…符号化文字集合規格では,他の規格と同様に国際整合性を確保することが重要です。国際整合性を確保するためには,ISO符号化文字集合の国際登録簿に登録するとともに,インターネットでの利用を可能にするためのIANA(Internet Assign Number Authority)への国際登録及びISO/IEC JTC1/SC2で開発を行っているISO/IEC 10646への情報処理学会情報規格調査会(SC2専門委員会)を通じての国際提案活動を行うことが必要です。/こうした登録情報を規格本文中に取り入れることが必要なことから,登録及び提案活動は,規格の制定に先立って行う必要があります。このため,文字集合の最終案が確定しましたので,国際登録及び国際提案活動を行うとともに,国際登録及び国際提案情報をインターネットを通じて,国内外でも一般に公開することとしました。/既に国内外の有力な企業や業界団体から新規格を制定と同時点で,いち早く実装するための情報公開も求められております。こうした要望も勘案し,今回インターネットを通じて,文字集合の最終案を公開することとしました。/また,公開に当たっては,ISO,IANA,Unicodeなどへの提案資料も含めることとしました。/新規格自体は,1999年9月に日本工業標準調査会情報部会で審議を行うことを予定しており,この審議の結果,内容に変更が生じる場合もあります。また,情報部会の承認を得た後,新規格の制定及び発行は,2000年初めを予定しております。】

  • 8月6日 ▼8月5日、盗聴法案反対運動において、民主党が公明党につづいて「ブルジョア政治の本質と中間勢力の果たす役割」とは何か、を事実として示す生きた教科書となりつつあるようだ。憲法違反の盗聴法を許すな! 必読URL 8月6日付「国怪フォックス通信」27号―盗聴法最後の通過関門を開いた民主党は2度死ぬ―宮崎学「民主党―未来から吹く生臭い風の正体」▼8月4日、盗聴法案を含む組織犯罪対策3法案に関する参院法務委員会の中央公聴会が開かれた。毎日インタラクティブ8月4日付によると【…通信傍受法案をめぐっては、暴力団による薬物・銃器取引など組織犯罪を摘発するために傍受制度の導入を求める声と、市民のプライバシー侵害など傍受の危険性を指摘する意見が真っ向から対立した。…弁護士でも意見は割れた。神奈川県警による共産党幹部宅盗聴事件を扱った小口克巳弁護士は、法案審議の前提として「違法盗聴に関する全容解明、責任の明確化、再発防止策」の必要性を主張したが、暴力団対策に取り組んできた村橋泰志弁護士は「組織犯罪に立ち向かう最大、最強の部隊は警察以外にない」と述べた。】また、反対意見は【佐高信氏(評論家)…悪事をしなければ聴かれてもいいとの声もあるが、松本サリン事件で無実の人を犯人に追い込んだ。公明党は、昨年11月に浜四津敏子氏が「盗聴は目的を逸脱して歯止めが利かない」と主張した。法案修正は歯止めにならないのになぜ賛成に回れるのか。……小口克巳氏(弁護士)…共産党幹部盗聴事件で東京高裁は警察の組織的盗聴と認定したが、警察は民事裁判でも知らぬ存ぜぬを通した。警察には自浄作用がなく、通信傍受の運用を全面依存するのは認められない。刑事法原則を踏み外して巨大な人権侵害が発生することを恐れる。……小倉利丸氏(富山大経済学部教授)…法案はインターネットで深刻なプライバシー侵害を引き起こす。電子メールは犯罪と関係ない人も含めすべて読まれる。携帯電話も政府などが盗聴を可能にするというが、そうしたプログラムが組み込まれているだけで日本の通信事業者の国際的競争力は落ちる。】

  • 8月5日 「メディアの辺境地帯」のページの「辺境旅日誌:1999年8月」で大住良太が安田弁護士への不当な身柄拘束の問題と盗聴法問題に言及。【さらに盗聴法推進派は、決定的な切り札を用意している。それは盗聴対象から報道機関を除外すること。/『取材源の秘匿が守れない』ことを理由に盗聴法に反対してきたマスコミ企業、報道関係者はどうするのだろうか。心あるジャーナリストには、このページを真剣に読んでほしい。とくに、『ドイツの法律で報道関係者は盗聴対象から除外されているということをたてにとった反対運動では「報道の自由」は守れないと思います』というくだりを。(ただし、この切り札が出されぬまま盗聴法が通ってしまう可能性も高い。)/日本は本当に危険になってきた。安田弁護士は次のように語っている。/借金を返済するか否かという民事以外の何ものでもない問題でさえ、声高に天下・国家を云々され、あるいは倫理に悖(もと)るとされて、断罪され、また、オウムというだけで住むことを拒否され、また家宅捜索を受ける事態を目の前にして、正直言って、私たちが有していた価値観と行動様式は、もはや存在できなくなった、すでに時代が変わったのか、とさえ実感させられます。/『オウムというだけで住むことを拒否され』るというのは、言い換えれば相手が非合法なら非合法で対抗しても構わないということだ。一方で、盗聴法のように法の精神から逸脱したものを無理矢理合法化しようとする動きがある。また一方で、和歌山毒カレー事件や安田弁護士事件のように、あくまで合法的に物事を解決しようという弁護士たちを中傷し、転覆させようという動きもある。それらは水面下で根深くつながっているようである。/この社会からは、『私たちが有していた価値観と行動様式』すなわち近代法の理念と精神が逆さまにみえる。「真っ暗森の世界」へズルズル突入してゆく日本は20世紀末を乗り越えられるのか? 日本に21世紀は本当に来るのか?】

  • 8月4日 1999年8月3日付各紙夕刊によると法務省は報道機関を盗聴法案の運用対象から除外するということで取り込みをはかろうとしている。『東京新聞』は「通信傍受法案、報道機関は原則除外―法務省方針、範囲や基準は示さず」と題して【犯罪捜査に盗聴を導入する通信傍受法案の運用について法務省は二日までに、傍受の対象から新聞社、テレビ局など報道機関を原則として除外する方針を決めた。報道の自由が侵されるとの批判を受け、正当な取材活動をしている報道機関については、仮に容疑者との通話が確認できても傍受を打ち切ることにした。しかし報道機関だけを特別扱いすることへの疑問や、除外する報道機関の範囲など難しい問題も残されており、「法案の通過に向けた報道機関への懐柔策」との批判も出ている。……】と報じ、『毎日新聞』は「報道機関の電話、傍受対象外にも―法務省刑事局長答弁」と題して【……一方で、松尾局長は、取材の電話であっても犯行を自供したり犯罪内容を打ち明けるような通信の場合は対象外としない考えを示した。法案修正ではないことから実効性には疑問が残りそうだ。】と報じている。すでに6月16日、私が毎日新聞労組の「第31回ジャーナリズムを語る会緊急シンポジウム―『盗聴』法案にレッドカードを!」で【ドイツの法律で報道関係者は盗聴対象から除外されているということをたてにとった反対運動では「報道の自由」は守れないと思います。対象がオウムやヤクザ,過激派ならば盗聴されても仕方ない,という論理の容認につながるからです。】と警告したとおり、“正当な取材活動”を盗聴するのはけしからんが“不当な犯罪行為”を盗聴するのはやむをえないという「論理」は、何が正当で何が不当かを決める力を政府・国家権力が排他的ににぎっているという現実をおおい隠す空論でしかない。ジャーナリズムが、国家権力のお情けで盗聴対象からはずしてもらったと喜んでいるとすれば、あまりにもおめでたく、そこには在野の批判精神はかけらもない。ジャーナリストならば、菅生事件(1952年)の“正当な”捜査活動が実は“不当きわまりない”警察自身による謀略だった事実をスクープした故斎藤茂男の仕事をこそ範とすべきだろう。この国の法律はいま、事実行為を対象とするという建前をかなぐりすてて、「犯罪」を犯しかなねないと予定された「都合の悪いヤツ」をあらかじめ管理し監視するというファシズム法体系へと再編整備されつつある。
    【借金を返済するか否かという民事以外の何ものでもない問題でさえ、声高に天下・国家を云々され、あるいは倫理に悖るとされて、断罪され、また、オウムというだけで住むことを拒否され、また家宅捜索を受ける事態を目の前にして、正直言って、私たちが有していた価値観と行動様式は、もはや存在できなくなった、すでに時代が変わったのか、とさえ実感させられます。】(99.7.24 安田弁護士メッセージ)
    【なぜオウムを信心してたらパソコン売ったらいかんのか,なぜヤクザやってたら事務所を使うのも自由でないのか,いまの世の中,いくら不満がたまってるからといって,そんな「いじめ」にはけ口を求めていたら,明日は我が身! ではないでしょうか。何か大切なことが忘れられてるのではないか,私はそう感じています。「市民」が松本サリン事件の第一通報者を「犯人」に決めつけた悲しい事件を二度と繰り返さないためには,襲われる側にも襲う側にも立たず,自分の目でみて心できいて判断し,行動する以外にありません。】(99.6.16 私の発言)

  • 8月3日 毎日インタラクティブ1999年7月31日付が「盗聴法:過半数が「反対」 九州・山口地区電話調査」と報じている。【組織的犯罪を捜査する手段として電話や電子メールなど通信の傍受を認める通信傍受法案について、毎日・世論フォーラムが7月17、18の両日、九州・山口地区の有権者1000人に電話で調査したところ、過半数が「反対」と考えていることが分かった。反対は53%、賛成は38%で、反対が賛成を15ポイントも上回っており、最近1カ月間で反対が増えていることも分かった。反対の内訳は「あまり好ましくない」が27%、「必要ではない」が26%だった。賛成は「必要だ」が13%、「やむを得ない」が25%だった。法案は6月1日に衆院を通過し、参院で審議中。衆院通過後の6月12、13日に毎日新聞社が全国で実施した世論調査では、反対45%、賛成44%と賛否はほぼ同率だった。この時は、九州と沖縄の対象者に限っても賛成41%、反対45%だった。】

  • 8月2日 Ken Mizuno「ハングル工房 綾瀬 − 朝鮮文学の部屋」の今日の格言に【文学に対する軽蔑と白手への嘲笑がいつよりも深刻化していると思われる今、人間精神の最も熾烈な作業の場である文学を守るということは、我々に与えられた、これ以上 言うまでもない貴重な、自己覚醒の闘いである。文学のない時代は、精神の死んだ時代である。文学は、ある民族が、それを通じてその痛みを再確認する、常に裂けたままの傷口にも近いものである − 金允植/kim hyeon 共著 『韓国文学史』, 1973, 序文, 訳 水野】。ただし、この「今日の格言」はJavaScriptで書かれておりアクセスするたびに異なる「その瞬間瞬間の格言」なので同じ文を確認できる保証はない。

  • 8月1日 『実話時代』1999年9月号「山口組最新情報」が「二人の若頭補佐の銃刀法裁判」を報じている。【七月二日…ボディーガードの組員が拳銃を所持していたとして銃刀法違反罪の共犯に問われた三代目山健組・桑田兼吉組長…に対する論告求刑公判…懲役十年を求刑した……ガードの組員が組長からの指示を一貫して否認し、もちろん本人も容疑を完全否認したにもかかわらず、東京地検は「拳銃所持は組長護衛が目的なのは明白だから、組長本人が所持していなくても、組長との共謀関係が成立する」という解釈によって、起訴……】に対して【懲役十年の求刑というのは、銃刀法違反事件では極めて重い、異例の求刑と言わざるを得ない】と評し、また【同様の銃刀法違反事件で逮捕・起訴された司忍・弘道会会長…が七月九日午後、保釈金十億円で拘留先の大阪拘置所を保釈出所】に対して【十億円の保釈金は史上二番目の高額保釈金で、被害額が巨額な経済事件以外では極めて異例なこと。十億円という額が奈辺からの判断から出されたものなのか、興味がひかれるところ】と評している。安田好弘弁護士に対する保釈請求が三度、東京地裁が認めたものを7月30日、東京高裁が却下(最高刑2年の強制執行妨害罪容疑に対してすでに勾留8か月)という事態は、支援運動の一部にあった“そこまではやらんだろう”という幻想を事実でうち破ったが、無数の「異例」は関連しあっており、国家権力の内的再編成の反映、すなわち日米ガイドラインにそった周辺事態法や内なるガイドラインとしての盗聴法などすべてファシズムへの構造的な法的整備の反映として一体のものである。「安田弁護士よりのメッセージ」は【借金を返済するか否かという民事以外の何ものでもない問題でさえ、声高に天下・国家を云々され、あるいは倫理に悖るとされて、断罪され、また、オウムというだけで住むことを拒否され、また家宅捜索を受ける事態を目の前にして、正直言って、私たちが有していた価値観と行動様式は、もはや存在できなくなった、すでに時代が変わったのか、とさえ実感させられます。】ときわめて的確に指摘している。民事不介入の権利を守りぬこう! 幻想を捨てて闘争を準備しよう!